「専門職大学」って、どんな大学?

この春から、新しいタイプの大学である「専門職大学」制度がスタートしました。目指す職業に直結した理論と実践の両方を学べるのが特徴で、初年度はまだ少数ですが、来年度以降は開学する大学が続くと思われます。大学や専門学校との違い、教育内容や卒業後の進路の可能性についてみていきましょう。

高度な職業人の育成を目指す

社会の変化のスピードが速い時代には、どのような仕事に就いたとしても、時代の変化に対応する創造性が求められます。特定の職業のプロフェッショナルになる場合でも、即戦力となる知識や技能だけでなく、より高度で優れた専門技能や理論を身に付けて、新しい価値やサービスを生み出せる人材育成が必要になってきました。
従来、特定の職業に直結した職業人教育は、専門学校が担ってきました。しかし専門学校では、基礎的な知識や技能を学ぶことはできますが、理論に裏付けられた高度な専門性を身に付けることを目的としていません。一方、大学は学術研究をベースにした教育が行われ、理論や幅広い教養を身に付けるのが目的で、創造性を発揮する実践の場が少ないことが課題でした。

そこで、専門学校や大学のよいところを組み合わせ、高度な実践力と理論に裏打ちされた創造的な職業人を養成する機関として、専門職大学(4年制)や専門職短期大学(2年制または3年制)が創設されたのです。高等教育機関が新たに作られるのは、短大が制度化されて以来55年ぶりとなります。
高度な専門性が求められる分野とは、医療や保健、情報、観光、農業のほか、マンガやアニメ、ゲーム、ファッション、食に関連する「クールジャパン分野」など、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)を活用した技術革新が国際競争の中で求められる分野が想定されます。特徴としては、(1)単位の3~4割が実習・実技の科目に充てられる(2)研究者と実務家の両方から授業を受けられる(3)産業界と連携したインターンシップが充実している(4)関連する他分野も学び、応用力が身につけられる(5)学士または短期大学士(専門職)の学位が取得できる……などです。

進路の選択肢の一つとしても

先ほど挙げた分野を学ぼうと思っている高校生には、教育内容だけでなく、入試や学費についても気になることでしょう。
入試に関しては、入学者の多様性に配慮した選抜が努力義務化されたため、書類審査や適性検査、面接検査などが各校で実施されています。一般の大学で導入予定の「大学入学共通テスト」を採用するかは、各学校の判断となります。共通テストそのものが新しい制度だけに、すぐに活用することには慎重になるところも多いと予想されます。学費に関しては、日本学生支援機構の奨学金が受けられます。

今春に認可され開学した専門職大学・短大は、まだ3校です。教育機関として大学と同じ扱いになるため、施設や教育水準を一定に保たねばならないことが、高いハードルとなっています。2020年度開学を目指して認可申請中の教育機関でも、学校説明会などで「あくまでも開校は予定。進路選択の際は幾つかある進学先の候補の一つと考えてほしい」と慎重に説明をするところもあるようです。
それでも、既存の高等教育の枠組みを超えた、新たな進路選択の一つとして、専門職大学への期待は高まっていくことでしょう。文部科学省がホームページやスマホサイトで動画などの情報提供をしていますので、ご覧になってみてはどうでしょうか。

(筆者:長尾 康子)

※文部科学省 専門職大学
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senmon/index_pc.htm

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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