夏休みの重点課題(1) 総復習・苦手克服 [高校受験]

先月は、「高校合同説明会」の上手な参加の仕方についてお話ししました。
今回は、夏休みの学習について取り上げます。



■夏期講習の位置付けを考えて予定を組む

夏休みの重点課題は、「総復習」と「苦手克服」です。
夏期講習を受けるかたも多いと思いますが、ただ漠然と受けるのではなく、何を学んでくるか? たとえば、夏期講習を総復習のまとめとして役立てるのか、特定の単元や記述問題集中講座など、テーマのある講習を受けて苦手克服に役立てるのかなど、しっかり位置付けをすることが大切です。どちらにせよ、「受けっぱなし」は禁物です。
夏休みが40日間、そのうち夏期講習が10日間あれば、その10日間は、夏期講習の予習・復習に集中し、残りの30日で何をするか、しっかり計画を立てておきましょう。



■夏期講習だけでは、「総復習」は完成しない

夏期講習の内容が「総復習」であっても、授業時間が限られていますから、内容はかいつまんだポイントのみに絞り込んであることがほとんどです。夏期講習のテキストは、あくまで総復習のための「とっかかり」です。そこに、自分で教科書や参考書を見て細かなポイントを書き加えるなどして、内容をふくらませ、理解を深める必要があります。

夏期講習は、「行った」だけではあまり力になりません。教わってきたことを家でもう一度やり直してこそ力が付きます。「自分なりに復習する時間がいちばん大切」であることを、ぜひ伝えてあげてください。復習の時間をたっぷり取るためにも、計画には余裕を持たせることが大切です。



■苦手教科・単元は段階を踏んで克服を

まずは、これまでの定期テストの結果や成績表などを子どもと一緒に見ながら、苦手な教科や単元、分野などを確認してください。夏期講習を利用するなら、「数学の一次関数と英語の疑問詞と、国語の読解を補強してこようね」というふうに声をかけておくと、子どもの目的意識もはっきりします。
苦手教科は、基礎でつまずいていることが多いので、中1・中2の教科書や参考書を見直すことから始めましょう。夏期講習では、あやふやなところは先生に質問して解決していくこと。数学などは、基礎問題の解き方が理解できたら、類題は必ず自分の力で解くようにしましょう。
最近、すぐに「答えを教えて」という子が増えているように思います。解答・解説を見て解き方を覚えているだけでは、考える力が育たず、応用力が付きません。一つの問題について徹底的に考えてみて、わからなければ翌日もう一度取り組む。そのくらいの経験があってこそ、考える力は付きます。取り組む問題数は少なくても構いません。時間のある夏休みこそ、「自分の頭でじっくりと考える」ということをやってほしいですね。



■時事問題や記述への苦手意識をなくす

以前もお話ししたとおり、大学入試改革の影響で、高校入試問題でも、時事問題や身近なものを題材に考えさせる記述問題が増えてくると予想されます。時事問題は夏までのものが出題されやすいので、ぜひ新聞を読むことを勧めてください。
また、一緒にスーパーに買い物に行ったら、「これ、嬬恋(つまごい)高原産のレタスだって。嬬恋高原って何県だっけ?」「どうしてそこでたくさんつくられているのだと思う?」というふうに、食品の産地や種類、値段などについてちょっと話題にしてみるといいですね。自分なりに考えるための題材は、身近なところにたくさん転がっています。
記述が苦手な場合は、問題集の中から、20字記述くらいの簡単な問題だけ抜き出して取り組むことをお勧めします。入れるべきキーワードの見つけ方など、コツは取り組んでいくうちに身に付きます。記述が苦手な子は、自己採点の仕方からしてわからない場合が多いので、できれば保護者のかたが見てアドバイスしてあげてください。
また、息抜きを兼ねて美術館や博物館見学に出かける、工場地帯の夜景などを見に行くなど日常と離れてみることも、想像力や思考力を働かせるきっかけになります。



■学力はコンスタントに鍛えて、伸ばす

学力は筋力と同じように、コンスタントに鍛えることで伸びていきます。夏休みは時間があるので、「明日まとめてやればいいや」とだらだらしたり、逆に興に乗って深夜まで勉強してしまったりしがちですが、深夜の勉強というのは、非常にやった気にはなるけれど、実際はあまり実にはならないものです。また、夏はとにかくバテやすいですから、がんばりすぎると秋以降に疲れが残ってしまいます。体力が落ちると、気力も落ちます。
日曜を予備日にするなど、学習計画には余裕を持たせて、1日の最低限の学習量は必ず守ることが大切です。保護者のかたは、学校がある時と同じ生活のリズムが守れるよう、気を配ってあげてください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A