サバが入試問題に? 2015年度中学入試で登場した理科の問題とは

サバが入試問題に? 2015年度中学入試で登場した理科の問題とは今年(2015<平成27>年度)の首都圏中学入試にはどんな傾向が見られたのだろうか。中学受験の分析を行っている森上教育研究所主催のセミナー「平成27年度 首都圏中学入試の結果と分析」での、小川理科研究所の小川眞士氏による「理科」入試問題の分析結果をお届けする。

 

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2015年度の傾向として、小学校の教科書に載っている基礎事項を確認しつつ、そこから掘り下げて思考力を問う、データ分析中心の「思考の理科」へという方向性が見られました。また、実験データや観察記録などの読み取りが多いため、問題文の字数が増えてきています。

 

生物・地学・物理・化学の分野別に見ると、4分野からまんべんなく出題されています。
<生物分野>
教科書に出てくるおなじみの動植物や人体を扱いながら、実際にそれらをよく観察していないと解けない問題、実験データを絡めて解釈させる問題が多く出題されました。
<地学分野>
「天体」では、基礎事項である太陽・月・星の動きは確実におさえておく必要があります。「気象」では、天気図や湿度、前線などの問題が増え、地震や火山に関する問題も増加しています。
<物理分野>
例年多い「てこ」や「ばね」の問題に、浮力を絡めた問題が目立ちました。また、手回し発電機やLED、コンデンサーに関する問題も増えています。
<化学分野>
水溶液・物質・気体の性質などの基本事項がよく出題されています。気体の発生や中和、グラフや表の解釈が中心となります。また、ガスバーナー、顕微鏡、上皿てんびんなど、実験器具の扱い方も数多くの学校で出題されています。

 

2015年度の特徴的な問題は、身近なものを題材にして、科学的なものの見方を問う「生活の中の理科」です。たとえば、よく食卓に上るサンマ・アジ・サバの問題(渋谷教育学園幕張)。これは日頃これらを食べたり、観察したりしているかが問われる食育を絡めた問題といえます。時事問題では、2015年度は2014年の出来事だけでなく、過去の自然災害や事件に関する問題も目立ち、トピックとしては、月食、火山、気象災害、デング熱、富岡製糸場の世界遺産登録などが取り上げられました。社会との融合問題も多くなっています。

 

このように、中学入試の理科は確実に「思考力を問う」方向にあります。教科書に出てくる基礎事項は確実にチェックする必要があり、そのうえで、身のまわりのものや時事問題など、さまざまな題材に目を向けて観察・観測、考察を行うことが求められています。表、グラフなどで与えられる数値やデータを読み取り、提示される観察記録などの文章をしっかり理解したうえで、科学的に考察する力が必要とされているのです。

 

出典:速報! 2015年度 首都圏中学入試の傾向と分析 理科 -ベネッセ教育情報サイト

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