2015年度中学入試の算数 傾向は変わらずとも出題レベルに大きな差が

2015年度中学入試の算数 傾向は変わらずとも出題レベルに大きな差が今年(2015<平成27>年度)の首都圏中学入試にはどんな傾向が見られたのだろうか。中学受験の分析を行っている森上教育研究所主催のセミナー「平成27年度 首都圏中学入試の結果と分析」での、悠遊塾の金廣志氏による「算数」入試問題の分析結果をお伝えする。

 

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全体として大きな変化は見られませんでしたが、基礎問題を中心に出題する学校と、手ごわい難問を出題する学校の差は大きくなってきているようです。中には、難関大学の入試問題レベルといった問題もありました。そのような問題は、「今までふれたことのない課題に対し、考え方を自ら編み出してほしい」という、いわば受験生への未来に向けたメッセージを発しているともいえます。

 

見たこともないような新傾向問題は、毎年少しずつしか出題されません。一見歯が立たないように見えても、中学入試でよく出題されるポピュラーな問題の解き方に慣れておけば、その応用で解ける問題が数多くあります。

 

たとえば、立体の組み立てや図形の中の面積を求める問題、いわゆる「時計算」の応用が、今年度も数多くの学校で出題されました。応用力を付けるために必要なのは、ポピュラーな解き方の手順を「覚える」だけでなく、なぜそうなるのかじっくりと理解しながら、繰り返し類題を解いてみることです。なお、「封筒と中身」(封筒取り違え、モンモールの数)の問題は、少しずつ形を変えてよく出題され、定番化しつつあります。このような問題は、解き方の流れを頭に入れつつ、知識として覚えておくとよいでしょう。

 

中学入試を考えている保護者のかたにぜひお願いしたいのは、この時期、塾の入試報告会などでよく目にする難関校の「難問」を見て、あまり焦らないでいただきたいということです。難問の正答率はそもそも低く、そこで差がつくケースはまれです。まして来年度以降に受験する5年生以下の子どもが解ける問題は、決して多くありません。それよりは、計算力や図形の知識など、基礎の考え方をしっかり身に付けることを心がけていただきたいと思います。どんな難問も、基礎の組み立ての上に成り立っています。そのうえで、志望校が求めているのはどんな力で、そこまで到達するには何が必要かを考えておくことが大切です。

 

出典:速報! 2015年度 首都圏中学入試の傾向と分析 算数 -ベネッセ教育情報サイト

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