速報! 2015年度 首都圏中学入試の傾向と分析 算数
2015年度の首都圏中学入試にはどんな傾向見みられ、どんな力が問われたのでしょうか。
森上教育研究所主催のセミナー「平成27年度首都圏中学入試の結果と分析」での発表をもとに、受験生の動向と、各教科試験問題の傾向についてお伝えしていきます。
悠遊塾主宰の金廣志先生による「算数」の分析です。
※以下は同セミナーでの金さんによる分析を抄録したものです。
■基礎を問う問題から大学入試レベルまで
全体として、出題傾向や難易度がこれまでとまったく変わった、といった大きな変化は見られませんでした。ただし、基礎問題を中心に出題する学校と、手ごわい難問を出題する学校の差は大きくなってきているようです。中には、難関大学の入試問題レベルといった問題もありました。ただし、正答率は、極めて低かったと思われます。そのような問題は、「今までふれたことのない課題に対し、考え方を自ら編み出してほしい」という、いわば受験生への未来に向けたメッセージを発しているともいえます。
■新傾向の問題 --立体、数列など
たとえば栄東・東大クラス(特待I入試)では、立方体、正二十面体、サッカーボールの形という3つの立体について、「立体から展開図を作るとき、少なくともいくつの辺を切り開けばよいか」という問題が出されました。これは、今までにあまり見られなかった新傾向の問題で、面と面をつないでいる辺、つまり“切らなくてよいところ”に注目して規則性を見つけるのがポイントでした。
また、駒場東邦では、4けたの整数のうち、各位の数字がすべて異なる整数を「おもしろい整数」と呼び、その数や並び方について問う問題が出ました。これは、しらみつぶしに条件に合う整数を探す作業と、そこから規則性を探して計算する力の両方が必要な良問ですが、非常に難しく、まさに大学入試レベルといえます。
その他、筑波大駒場や桜蔭では、約数の個数と因数の関係に関する知識が必要となる、手ごわい問題が出題されています。いずれも、「問題の条件を整理」→「条件を満たすための規則性を探す」という流れが基本となります。
■頻出問題の応用 --ポピュラーな解き方を知り、さらにそれを応用できるか
見たこともないような新傾向問題は、毎年少しずつしか出題されません。一見歯が立たないように見えても、中学入試でよく出題されるポピュラーな問題の解き方に慣れておけば、その応用で解ける問題が数多くあります。
たとえば、立体の組み立て(立教新座など)や図形の中の面積を求める問題(暁星、立教新座、開成など)、いわゆる「時計算」の応用(立教女学院など)が、今年度も数多くの学校で出題されました。また、豊島岡(6)で出題された、「1辺が1cmの小立方体を組み合わせてできた直方体について、その対角線は小立体の辺や頂点と何か所で交わるか」を問う問題は、2009年度の早稲田(5)の問題と似ているものの、さらに難易度が上がっています。
応用力を付けるために必要なのは、ポピュラーな解き方の手順を「覚える」だけでなく、なぜそうなるのかじっくりと理解しながら、繰り返し類題を解いてみることです。
なお、今年巣鴨中学で出題された「封筒と中身」(封筒取り違え、モンモールの数)の問題は、少しずつ形を変えてよく出題され(2008年度・渋谷教育学園幕張、2007年度・慶応普通部など)、定番化しつつあります。このような問題は、解き方の流れを頭に入れつつ、知識として覚えておくとよいでしょう。
■「難問」に正答できるのは、難関校合格者の中でも少数
中学入試を考えている保護者のかたにぜひお願いしたいのは、この時期、塾の入試報告会などでよく目にする難関校の「難問」を見て、あまり焦らないでいただきたいということです。難問の正答率はそもそも低く、そこで差がつくケースはまれです。まして来年度以降に受験する5年生以下の子どもが解ける問題は、決して多くありません。
それよりは、計算力や図形の知識など、基礎の考え方をしっかり身に付けることを心がけていただきたいと思います。どんな難問も、基礎の組み立ての上に成り立っています。
そのうえで、志望校が求めているのはどんな力で、そこまで到達するには何が必要かを考えておくことが大切です。
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