2015年度中学入試 国語で問われた新しい力とは

2015年度中学入試 国語で問われた新しい力とは今年(2015<平成27>年度)の首都圏中学入試にはどんな傾向が見られたのだろうか。中学受験の分析を行っている森上教育研究所主催のセミナー「平成27年度 首都圏中学入試の結果と分析」での、平山入試研究所の小泉浩明氏による「国語」入試問題の分析結果をお伝えする。

 

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文章の種類で見ると、物語文+説明的文章で9割、韻文(詩・短歌・俳句)+随筆が1割という比率に大きな変化はありませんでした。今回目立ったのは、「哲学」を扱った問題文が多く出題されたことです。毎年数校で出題されていますが、今年は難関校、一般校で広く取り上げられました。テーマは多様化傾向にあり、中でも、言語・コミュニケーションや文芸論が伸びています。「ことば」という抽象度の高いものについても、論理的に考える力が求められているのです。

 

2015年度は、森絵都さんの作品が計6校で出題されたのが目立ったくらいで、「頻出」といえる作品はありませんでした。2014年度多く出題された、あさのあつこさんや重松清さんなど、同時代の作品を取り上げる傾向は、今後も続いていくと考えられます。もっとも、テーマの多様化に伴い、「これを読めば受験に役立つ」といった考え方は通用しなくなってきています。

 

文章表現について選択肢で問う問題も近年増えており、9校で出題されました。表現の特徴をとらえるには、会話文や比喩の使い方、情景描写や言葉のリズム、説明的文章なら論理展開のしかた等に注意を払いながら丁寧に読んでいく必要があります。いわば「批評的に読む」力が問われているといえます。

 

長文記述や作文は特に成績上位校で増加し、字数も増加傾向です。文章の内容を踏まえて自分の考えを書き、自分の言葉で説明する表現力が求められています。また、今年度は120字を超えるような長い選択肢も多く見られました。精読する集中力が問われるものであり、今後増えていく可能性があります。

 

空欄に共通する漢字や言葉を入れるパズルのような問題や、慣用句や言い伝えなどから連想される動物を答える問題など、豊かな語彙(ごい)や発想力が求められる問題も数多く見受けられました。広くさまざまな言葉に触れ、やわらかく考える力が必要です。

 

今後、大学入試で求められる「論理的思考」や応用力、表現力を問う問題は、中学入試においてたしかに「増えている」といえます。それらはすべて、国語の基本である正確に「読む」、言いたいことを人に伝わるように「書く」ことで伸ばすことができます。読んで、書いて、考える–それが結局、志望校合格への近道ではないでしょうか。

 

出典:速報! 2015年度 首都圏中学入試の傾向と分析 国語 -ベネッセ教育情報サイト

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