1人当たりの受験校増加 短期決戦型受験生も増えた2015年度中学入試

1人当たりの受験校増加 短期決戦型受験生も増えた2015年度中学入試今年(2015<平成27>年度)の首都圏中学入試にはどんな傾向が見られたのだろうか。中学受験の分析を行っている森上教育研究所主催のセミナー「平成27年度 首都圏中学入試の結果と分析」での発表をもとに、受験生の動きと全体的な傾向をレポートする。

 

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2015年度入試の、特に女子の受験において大きな焦点となったのは「サンデーショック(チャンス)」です。これは、首都圏入試解禁日の2月1日が日曜日に当たる年は、キリスト教系の学校で、受験日を2月2日にずらすところが多くなる現象です。2015年度は、多くのキリスト教系進学校で2日に入試が行われた影響もあり、2日が第一志望校の受験日になる女子の受験生が増えました。その影響で、2日の入試では、志願者が減少した学校も見受けられました。2016年度入試では、2日に移行していた入試日が1日に戻ることで「揺り戻し」現象が起こると考えられます。なお、難関男子校の志望者動向には、例年とさほど大きな差はありませんでした。

 

近年、1名当たりの受験校数は徐々に増え、出願が平均7校程度、実際に受験するのは5校程度となっています。また、早い時期に合格を勝ちとり、入学する学校を決定しようとする「短期決戦傾向」が見られ、3日以降の受験者は減少傾向にあります。さらに、東日本大震災以降、通学に無理のない「地元志向」が高まり、併願のしかたにも変化が見られました。たとえば神奈川県在住の女子で、県内有数の進学校であるフェリス女学院を志望する受験生の場合、都心の難関校を併願する人は減少傾向にあり、県内の進学校を併願する割合が増加しています。

 

都立中高一貫校は、昨年と同様数多くの志望者を集めており、平均受検倍率は6.22倍と、昨年より微減という結果となりました。私立大学附属校は、早稲田・慶応の系列を除き、全体としては志望者が減少する傾向にあります。これは、大学進学先を中学入学時に決めてよいのか、決定はもっと先でよいのではないかという意識の表れでしょう。

 

男女とも、新校舎の建設や学校改革の詳細、進学実績の向上など、積極的に情報発信を行っている学校に志望者が集まっています。また、以前と比べて、「学力さえ高い学校であればいい」といった極端な難関志向はあまり見られなくなり、子どもが居場所を見つけられる「オンリーワン」の学校を選ぼうとする保護者が増えているようです。

 

出典:速報! 2015年度 首都圏中学入試の傾向と分析 全体的な傾向 -ベネッセ教育情報サイト

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