中学での新生活に向けて [中学受験歳時記コラム ~いま取り組むべきこと~ 第32回]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。6年生を対象に、「中学での新生活に向けて」をテーマに取り上げます。



■6年かけて、自分らしさを磨く場所に

中学受験、本当にお疲れさまでした。
長い間がんばってこられたお子さまを見守り、励まし続けた保護者の方々はいま、さまざまな思いで結果を受け止めていらっしゃることと思います。何はともあれほっとした、というかたも多いかもしれません。
とはいえ、中学への入学はゴールではなく、新しい生活の始まりでもあります。今回は中学での新生活に向けて、心にとめておいていただきたいことについてお話しします。

ご存じのとおり、お子さまが大学受験を迎える2020年度に、大学入試が変わります。最も大きく変わるのは、学力だけでなく、その人の個性や人間性が重視されるようになるということ。海外の大学入試のように、小論文や面接、学部によっては作品提出やパフォーマンスが評価の対象となり、今の推薦入試やAO入試に近い形式になると考えられます。学科試験は教科別ではなく、総合入試的になるといわれています。これを見据え、10代の勉強の仕方にも、見直すべき点が出てくるでしょう。
入試改革に伴い、大学受験用に難しい応用問題をマスターしたり、知識を詰め込んだりする必要はなくなるため、教科の学習では基礎力の養成に集中できるようになると思います。その一方で、自分の強みをいかに磨くかということが重要になってきます。これは大学入試のためだけでなく、キャリアや生き方に直結する問題です。つまり、自分らしさを発見し、それを磨いていくことが、この6年間の課題といえます。それを最初から意識しておくことは、とても大切だと思います。



■「自分で決める」力がなければ、自分の強みは見えてこない

自分の強みを見つけるために欠かせないのが、自己決定力です。学校でのクラブ活動や生徒会活動、学校外での習い事や社会活動など、興味を持ったことを自分から選んでチャレンジしてみなければ、自分らしさは見えてきません。また、スポーツの試合や演奏会、発表会など、チームで何かを成し遂げる場合も、皆の意見をまとめるのが得意な人、相手の立場になって考えられる人、深く考えておもしろいアイデアを出せる人など、さまざまな個性が必要となります。目的を達成するために、自分ができることは何かを自ら考え、進んで行動していくことで、少しずつ自分の強みが見えてくるのです。
今の日本の12歳は、「自分で決めなければどうにもならない」という局面に立たされる機会が少ないためか、幼い印象の子どもが多いと感じます。保護者のかたにはぜひ、お子さまが自己決定力を育てていけるよう、意識して「大人扱い」を心がけていただきたいと思います。思春期を迎えた子どもたちから、目は離さずに、なるべく手は離し、自立を促すことが大切です。



■ゴールデンウイーク明けまでに、生活と学習の土台づくりを

合格発表から入学式までの間に、親睦を深めるためのレクリエーションの機会を設ける学校もあれば、いきなり大量の課題を出す学校もありますが、とりあえず今は大いに解放感に浸れる時です。新学期が始まってもオリエンテーション等が多く、授業が本格化するのはゴールデンウイーク明けになるでしょう。そこまでにクラブ活動などの所属が決まり、お友達ができて、お子さまにとって心地よい居場所ができると安心です。心を許せる友達の存在ほど、心強いものはありません。
また、そのころまでに、定期テスト勉強は2~3週間前に始めるなど、勉強の基本ルールはしっかりとご本人に考えてもらい、守るように約束させてください。定期テスト対策を早めに始めれば、よい成績をキープできます。
地元を離れた新しい学校での生活には、たくさんの不安があると思います。まずは学校に慣れることと、学習のペースをつかむこと。保護者のかたはぜひ、そのバックアップをしてあげてください。

お子さまにとって、これからの6年間が実り多いものであることをお祈りしております。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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