2015年度入試に学ぶ [中学受験 5年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。 5年生を対象に、今年度の入試で参考にしてほしい点、6年生の新学期に向けて準備しておきたいことについて取り上げます。



■「あと1年」を自覚する時期

今年は、首都圏の受験解禁日である2月1日が日曜日と重なる、いわゆる「サンデーショック」の年でした。ミッション系の学校は日曜日を受験日とすることを避けることから、例年と入試スケジュールが変わってしまうため「ショック」というわけですが、2016年度以降の受験生にとっては「チャンス」ともいえました。小学校がお休みなので、お子さまと一緒に志望校に赴いて、これから入試を受けに行く受験生の様子を見学させる保護者のかたもかなりいらっしゃいました。今年度は少数ですが、別室で5年生に入試を体験させてくれる学校もありました。来年以降は、そのような学校も増えてくると見られます。
また、2月後半~3月初旬にかけては、多くの塾で「入試報告会」が開かれ、2015年度の受験生の動向や、入試問題の傾向についての解説が行われます。
この時期は、まだ受験というものをあまり現実的にとらえていない子どもも多いので、「あと1年で本番」という意識を高めるためにも、このようなイベントに親子で参加するとよいでしょう。



■志望校の傾向を知って、受験本番ムードを高める

入試報告会では、代表的な学校の受験問題用紙・解答用紙に触れられる場合もあります。問題集などで、志望校の入試問題を見たことがあるかたも多いと思いますが、解答欄の空白の大きさや問題用紙の量などが実感として迫ってきますので、この機会に実物に触れておくとよいでしょう。
また、受験本番ムードを高めるためにも、志望校の最終決定のためにも、2015年度の大まかな入試傾向は注意して聞いておきましょう。
今回の受験生の学年から、大学入試が変わります。その影響もあり、今後は記述問題が増えていくと考えられます。特に女子校の難関校で記述が多くなる傾向にあるようです。記述する力は、1年間で十分に付いてきますので、今できなくても慌てる必要はありません。しかし、記述力を養うことを意識するとしないとでは、まったく違います。
教科別でいえば、ここ数年、国語は変化が大きくなっています。夏目漱石、芥川龍之介といった名作からの出題は減っており、子どもにとっても親しみやすい、現代作家の作品からの出題が増えています。少し前は『ナイフ』『流星ワゴン』などの作者重松清さん、最近は『カラフル』などの作者森絵都さんが多かったですね。また、「家族の愛情」「思春期の異性への心情」など、共通するテーマを持った文章を出題する学校もあります。国語の傾向を聞いておくと、今後の読書指導にも役立ちます。算数にも、出題の仕方にトレンドがありますし、理科・社会では時事問題や環境問題が出題されることがほとんどです。



■この1年で、入試にチャレンジする力を付けるために

ただし入試問題に触れても、今の段階ではまだ習っていないことも3分の1以上ありますし、分量も多いので、よくできる子でも歯が立たないケースがほとんどだと思います。お子さまがショックを受けてしまわないよう、「今はできなくて当たり前」だということをくり返し伝えてあげてください。たとえば算数の場合、計算問題と基礎的な文章問題など、「5年生でもできるはずの問題」を塾の先生などに聞いて、取り組んでみるとよいですね。
いちばん大切なのは、今できることと、できないことをきちんと把握しておくことです。考える力を高め、記述のトレーニングをし、問題を解くスピードを上げるなど、課題はたくさんあると思います。そのうえで、保護者のかたはお子さまが無理なく日々の学習のペースをつくれるよう、サポートしてあげてください。お子さまが「今は難しいけれど、1年かけてチャレンジしよう」と前向きな見通しを持てれば最高です。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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