将来建築を学びたい学生へ、その心構えを伝授します!

建築学といえば、設計を思い描きますが、構造や材料などの工学的な面と、デザインや歴史を研究する芸術や文化的な面があります。また都市計画などを考えるときは時代背景なども考慮しながら、ライフスタイルなど、幅広い視野も必要になります。建築というと、どうしても見た目のかっこよさや装飾的な部分に眼が向いてしまいがちですが、じつは「構造」が非常に重要な要素なのです。

 

地震の多い日本だからこそ「構造」が大事

 構造は、地震や災害から建物を守る大切な部分。耐震性を高めるために、鉄骨構造などで柱と梁(はり)を一体化したラーメン構造が有名ですが、あのサグラダ・ファミリアのような巨大な建築をガウディはアーチ架構(かこう)で成立させているとか。構造を考えてこその建築、というのがうなずけます。日本はとくに地震など災害の多い国です。海外の地震のない場所に建てられる物以上に構造部分の重要性が高く、その需要も多いようです。耐震技術がまだそれほど高くなかった頃に建てられた物や、すばらしい建築だけど老朽化して耐震性が危ぶまれる建物も日本には数多くありますが、現代の建築構造学者たちが構造学的な視点から補強し、安全で長く利用できる建物へ昇華している例もあります。

 たとえば、世界的に活躍されている建築家、今川憲英氏は、横浜の赤レンガ倉庫の耐震改修を行いました。ただ補強するだけでなく、デザイン性にも配慮することで、老朽化した建物をより現代的に、魅力的に甦らせることができるのです。

 これは、歴史ある建物を壊してしまうことなく、地球に優しい建築の形といえるのではないでしょうか。

 

 

個性が発揮できるのが建築の面白さ

 その今川憲英氏も、「これからの建築家に求められるのは、アート面だけでなく、構造も理解しているゼネラリスト」だと話していました。また、アート、ライフスタイル、構造を考える際には、素材についてまで、幅広く考えていく必要があるのが建築。

 それゆえに、いろんなものに興味を持ち、多方面から吸収した知識を自分の個性として大いに発揮できるのが建築家の面白さでもあるのでしょう。

 

 いずれにしても、個性は多彩な知識によって際立ってくるもの。日本文化、海外の文化、近代的な建物、歴史的建造物など、目の前に広がる世界に興味を持って飛び込んでいくことで、これまでの概念とは異なる、進むべき道が見えてくるはずです。

プロフィール



素材と骨格の個性が生きる建築を造る専門家。日大建築学科卒。東京電機大学教授、TIS & PARTNERS代表。i CO2 Lab. CEO。 CO2を吸収して瞬時に固まるCO2エコストラクチャーを開発。20カ国全都道府県で2千以上建築を実現。日本建築学会賞、IASS坪井賞、「横浜 赤レンガ倉庫」でユネスコ文化遺産保全のためのアジア太平洋遺産賞(日本初受賞)、 南三陸復興支援「あさひ幼稚園」の設計で、こども環境学会 こども環境デザイン賞受賞。

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