2014年の政治の動きを振り返る
第二次安倍内閣が発足した2年目、2014年は年末には消費税増税にからむ解散総選挙など、日本の政治が激しく揺れ動きました。今回、中学入試でも問われる可能性があるこの1年間の日本政治の動きを振り返ってみましょう。
クイズde基礎知識
2014年11月21日に衆議院が解散されましたが、これを受けて2014年12月14日に実施される衆議院議員総選挙で選出された議員数は何人?/2014年6月に「日本国憲法の改正手続きに関する法律(国民投票法)」が改正されました。これによって、憲法改正の国民投票における選挙権は何歳以上になった?/2014年に閣議決定された、武器に関する原則は?/安倍内閣が憲法解釈の変更を閣議決定したのは何?/安倍内閣は衆議院解散を前に、いつからの消費税率10%への引き上げを断念しましたか?
時事問題を学ぶきっかけになる題材をクイズ形式でご紹介します。基本情報の整理に、親子で時事問題について話題にするきっかけに、入試・適性検査対策に、お役立てください。
Q1
2014年11月21日に衆議院が解散されましたが、これを受けて2014年12月14日に実施された衆議院議員総選挙で選出された議員数は何人?
A.242人
B.295人
C.475人
A1 正解は 「C.475人」 です。
安倍晋三首相が衆議院の解散を決定し、2014年11月21日に衆議院が解散されました。2012年の公職選挙法改正において規定された小選挙区の「0増5減」が実施されるため、2014年12月14日に投開票される第47回衆議院議員総選挙から衆議院の議員定数は475人(小選挙区選出が295人、比例代表選出が180人)となりました。なお、242人は参議院の議員定数です。
衆議院の解散は、衆議院で内閣不信任案が可決または信任案が否決された場合(日本国憲法第69条に基づく)と、天皇の国事行為の一つとして内閣の助言と承認を受けて行う場合(日本国憲法第7条に基づく)があります。
なお、衆議院が解散されると、解散の日から40日以内に総選挙が実施され、総選挙の日から30日以内に特別会(特別国会)が召集され、内閣総理大臣の指名が行われます。
Q2
2014年6月に「日本国憲法の改正手続きに関する法律(国民投票法)」が改正されました。これによって、憲法改正の国民投票における選挙権は何歳以上になった?
A.16歳以上
B.18歳以上
C.20歳以上
A2 正解は 「B.18歳以上」 です。
日本国憲法第96条は、第1項で「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」と規定していますが、日本国憲法制定後、国民投票についての具体的な法制度は定められていませんでした。そこで、2007年に「日本国憲法の改正手続きに関する法律(国民投票法)」が制定され、国民投票の有権者については20歳以上の日本国民とされました。ただし、この時点でも将来的には対象年齢を18歳以上に変更することが規定されており、2014年6月の国民投票法改正によって、4年後に有権者が18歳以上の日本国民に変更されます。
Q3
2014年に閣議決定された、武器に関する原則は?
A.非核三原則
B.武器輸出三原則
C.防衛装備移転三原則
A3 正解は 「C.防衛装備移転三原則」 です。
2014年4月に、政府はそれまでの武器輸出三原則にかえて、武器等の輸出に関して防衛装備移転三原則を閣議決定しました。防衛装備移転三原則では、「移転を禁止する場合の明確化」「移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開」「目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保」という三つの方針を決定しています。これによって、武器輸出三原則で基本的に禁止されていた武器の輸出や国際共同開発が原則的に認められるようになり、禁止する場合や審査に関しても明確に規定されました。
なお、「非核三原則」とは、核兵器を「持たず、つくらず、もちこませず」という、核兵器に対する日本の方針のことです。
Q4
安倍内閣が憲法解釈の変更を閣議決定したのは何?
A.集団的自衛権
B.個別的自衛権
C.先制的自衛権
A4 正解は 「A.集団的自衛権」 です。
集団的自衛権とは、ある国が武力攻撃を受けた際に、直接攻撃を受けた国だけでなく、攻撃を受けた国と密接な関係にある第三国も協同して防衛を行う権利のことです。
国際連合憲章はすべての国が集団的自衛権を持つことを規定していますが、日本国憲法制定後の歴代内閣は戦争放棄を規定している日本国憲法第9条のもとでは集団的自衛権は認められないとしてきました。しかし、第二次安部内閣は2014年7月に憲法第9条の解釈を変更し、集団的自衛権の行使は認められるとの閣議決定を行いました。
Q5
安倍内閣は衆議院解散を前に、いつからの消費税率10%への引き上げを断念しましたか?
A.2015年4月
B.2015年10月
C.2016年4月
A5 正解は 「B.2015年10月」 です。
2012年8月に成立した「社会保障と税の一体改革関連法」では、消費税の税率を2014年4月に5%から8%へ、2015年10月には8%から10%へ、それぞれ引き上げるとされていましたが、付則に景気の状況によっては税率引き上げを中止する「景気条項」が盛り込まれていました。
2014年4月に消費税率は8%に引き上げられましたが、安倍首相は2014年11月18日に、「景気の腰折れを回避し、デフレ脱却を確実にするため」という理由で、2015年10月からの消費税率10%への引き上げを1年半延期して2017年4月とすることを表明すると同時に、増税延期の信を問うとして衆議院の解散・総選挙も表明しました。
親子でやってみよう
まずは政治の基礎知識を調べ、気になる話題は深掘りする習慣を身につけよう。
政治の話題を取り上げるとき、前提となる国会や行政の用語・仕組みについて知っていることが求められます。まずは基本となる情報が得られる書籍やサイトをあたって、基礎知識の理解を深めましょう。
新聞やテレビなどから気になる情報を見つけたら、深く掘り下げてみることが大切です。情報の発信者(執筆者や解説者など)によって意見が異なるので、いくつかの媒体を見比べて情報を整理すると、事実を客観的にとらえる思考力が身につきます。事実をつかんだうえで、自分ならどう思うかをノートなどにまとめる習慣をつければ、論述問題対策にもなります。
気になるジャンルごとにファイル(パソコンならばフォルダ)やノートをつくっておくと出来事の経緯を追うことができるので便利です。
政治の話題についてはニュースなどで見る程度で、日常生活ではなかなかお子さんたち自身が当事者であることを実感しにくい分野かもしれませんが、親子で政治問題について会話したり、住んでいる市区町村の広報などを見たりすることから始めて、興味の幅を広げていきましょう。
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