最近の教育に関する話題から 競争させられる学校[高校受験]

■「進学指導重点校」の取り組み

雑誌等には、大学合格者数による高校のランキング記事がしばしば掲載され、実際に前年春の大学合格実績が、翌年の入試の応募者数に影響しています。ですから、塾・予備校だけでなく、学校も競争にさらされているといえるでしょう。
このところ公立高校でも、各都府県が大学進学に力を入れる特定の高校を選定する制度が広がってきました。そこで、今回はそうした方向での自治体、学校の取り組みについて、東京都を例に取ってお話ししましょう。

■東京都の「進学指導重点校」の選定基準は高い

東京都では2001年度に日比谷、戸山、西、八王子東の4校を「進学指導重点校」に選定し、その後、青山、立川、国立の3校を追加選定しました。また、「進学指導特別推進校」として小山台、駒場、新宿、町田、国分寺の5校が選ばれました(2013年度からは国際が加わりました)。さらに、現在、次に挙げる13校が「進学指導推進校」に指定されています。三田、豊多摩、竹早、北園、墨田川、城東、小松川、武蔵野北、小金井北、江北、江戸川、日野台、調布北。

さて「進学指導重点校」の選定基準ですが、下記のようになっています。


〔基準1〕センター試験結果(現役)

 (1) 5教科7科目で受験する者の在籍者に占める割合が、おおむね6割以上

 (2) 難関国立大学等に合格可能な得点水準(おおむね8割)以上の者の受験者に占める割合が、おおむね1割以上

〔基準2〕難関国立大学等(※)現役合格者数 15人

※難関国立大学等:東京大学、京都大学、一橋大学、東京工業大学、国公立大学医学部医学科


実は、難関国立大学現役合格者数が足りず、昨年度「進学指導重点校」から外されそうになった高校があります。この春はこの基準をクリアし、選定が継続されることになりましたが、公立高校といえども危機感を持ち、競争せざるをえない現実があります。

■公立高校が中学校を越えて小学生に働きかけ

大学合格実績を上げるには学力が高く、しかも教育熱心な家庭の生徒に入学してもらうことが最も有効な策です。私は受験分野の仕事をしていて、「高校における大学合格実績の7割は、一定の学力がある生徒を入学させることで決まる」という感触を持っています。ですから公立高校も、いかに学力が高い生徒に受験してもらうかが最重要課題です。しかし、首都圏は中学受験率が高いために、高い学力を持った層ほど中学進学段階で国立、私立、公立中高一貫校に進んでしまう傾向があります。

公立高校としては、高学力層の公立中学校→公立高校のルートを確保しておかねばなりません。そこで小学生とその保護者に、公立高校のよさを知ってもらおうと考え始めました。上に挙げた「進学指導重点校」の中でも西、戸山は数年前から小学4年生以上対象の説明会を開いていますし、青山、国立も今年から始めました。東京都だけではありません。埼玉県では浦和第一女子、浦和が同様のことを行っています。

こうした公立高校の説明会に参加した小学生のご家庭では、速い時期から公立高校の受験情報、学校情報を収集しています。高校受験を控えた中学生のご家庭でも、少しでも早くさまざまな情報に接して、合格につながる受験生活を送ってください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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