最近の教育に関する話題から 国立大学進学は「狭き門」[高校受験]

■ますます進む受験生の国立大学志向



■国立大学志向は学費から……

長らく景気が低迷し、ご家庭の財布事情が厳しいこともあって、大学受験においてはこのところ国立大学志向が顕著です。これを読んでおられるご家庭でも、我が子にはできれば国立大学に行ってほしいと考えているのではないでしょうか。その傾向は、特に理系志望の場合に顕著になるといえます。

■国立大学が減っている理由は?

■大学数と在籍者数の変化                   (在籍者数の単位は万人)

年度 国立大学 公立大学 私立大学
  大学数 在籍者数 大学数 在籍者数 大学数 在籍者数
1993年度

98

56 46 7 390

175

2003年度 100 62 76 12 526 206
2013年度 86 61 90 15 606 211


公立大学、私立大学の大学数が増えている理由は前回お話ししました。国立大学の数が減っているのは大学の統合が主たる理由です。同一県内に大学と医科大学があった場合に統合したケースが多く見られますが、そのほかにも、次のような例があります。
 ・東京水産大学+東京商船大学→東京海洋大学
 ・大阪大学+大阪外国語大学→大阪大学
 ・神戸大学+神戸商船大学→神戸大学

この20年で、公立大学は8万人、私立大学にいたっては36万人も増えているのに対し、国立大学は5万人しか増えていません。よく見ると、この10年では逆に1万人減っていることにお気付きだと思います。国の「大学院重点化」政策で、国立大学は学部を縮小し、大学院の定員を増やす方向にあるからです。とりわけ難関大学ほどそうした方向にあります。皆さんが我が子を進ませたいと願う難関国立大学ほど募集人員が減っているのです。

ただし、2013年度入試で見ると、国立大学の募集人員は8.1万人で、このうち難関とされる10大学(北海道、東北、東京、東京工業、一橋、名古屋、京都、大阪、神戸、九州)の募集人員は2.2万人ありましたから、割合にすると国立大学の募集人員の約27%になります。なぜなら、難関国立10大学のほとんどが総合大学で、規模が大きいからです。国立大学の募集人員は減っていますが、4人に1人以上が難関国立大学に進んでいるのが現状です。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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