最近の教育に関する話題から 「大手予備校」の事業縮小の背景は?[高校受験]

■受験生の状況はどんどん変わっている

少子化により受験生の数が減っており、各学校段階で学校間、塾・予備校間の受験生獲得の競争が激しくなっています。また、学校選択において就職までを意識する傾向が広がっていたり、女子の理系志向が高まっていたりと、このところ教育に関する話題が豊富です。こうした状況を踏まえて、文部科学省の教育再生実行会議でも諸々の提案がなされています。
これらのなかから、いくつかの話題を取り上げてみましょう。

■18歳人口が減っているのに大学は増加

少し前になりますが、某大手予備校が全国に約30ある校舎のうち20校舎を閉鎖するというニュースが大きく報道されました。
この予備校が大幅に事業を縮小する背景として、メディアでは以下のような理由を挙げていました。

 ・少子化に伴う受験人口の減少
 ・浪人しなくなっている
 ・大学受験が国立大学志向、理系志向になっており、この予備
  校が主たる市場としてきた私立大学文系の志望者が減少  

が、ここで忘れられていることがあります。それは大学数が増え続け、結果として大学に入りやすくなっているという点です。1992年の18歳人口は約205万人でしたが、2013年には約123万人にまで減少したのに対して、大学数は523校(1992年)から782校(2013年)と大幅に増えているのです。企業における一般職の雇用が減ったため、一般職への就職が多かった短期大学の多くが4年制大学に変わったこと、高齢化社会を迎えて地方の自治体が地域の医療・福祉に従事する人材を養成しようと、こうした分野に特化した大学を設置していることが、大学数が増えている主たる背景です。

■受験生のメンタリティーの変化

お子さまを観察して、以下のことお感じになったことはないでしょうか。
 ・自分に注目してほしがる→大教室では授業に集中できない
 ・部活・行事が忙しいので、自分のペースで勉強したい
 ・友達から学ぶという姿勢が弱くなっている
こうした受験生のメンタリティーの変化が、大手予備校のような大教室での授業スタイルの予備校を敬遠させたという側面もあります。通信教育・オンライン予備校というような個別対応を好む時代になっているのです。

■多様化は予備校の世界でも

今、世の中はさまざまなジャンルにおいて多様化が進んでいますが、予備校の世界もまったく同じです。「現役生専門予備校」「医学部進学予備校」「留学予備校」「推薦・AO入試対策予備校」……と、ある分野に特化した予備校が続々と誕生しています。
こうしたことも総合型予備校が苦戦になった要因です。

どうでしょう。「大手予備校の大幅な事業縮小」という一事からも、教育環境に関するいろいろな側面が見て取れるのではないでしょうか。高校受験をするにあたり、教育界全体のことを踏まえ、その先の大学受験のことも頭に入れつつ、志望校選択をしていただきたいと思います。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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