公立中高一貫校という選択肢 [中学受験 4年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。4年生の秋にぜひ一考していただきたい、公立中高一貫校という選択肢について取り上げます。



■公立中高一貫校とは?

4年生の秋は、志望校について再考するのにふさわしい時期です。そろそろお子さまの適性が見え始める頃ですし、今なら余裕を持って路線変更することも可能だからです。ここでぜひ注目しておいていただきたいのが、公立中高一貫校という選択肢です。
公立中高一貫校は10年ほど前から設立ラッシュが続き、現在は全国で180校以上にのぼります。難関大学への高い進学実績を誇る学校も多く、学費の安さも大きな魅力となって、志望者が急増しており、倍率10倍以上という学校も少なくありません。公立中高一貫校は今後も増えていくとみられます。首都圏では、進学校として名高い千葉の東葛飾高校は2016年、スーパーサイエンススクール(SSH)の雄として圧倒的な人気を誇る横浜サイエンスフロンティア高校は2017年に、併設中学を開校すると発表しています。



■試験は私立中学とどう違う?

公立中高一貫校では、「適性検査」問題と作文、それに報告書(小学校の成績など)によって選抜が行われます。適性検査は教科横断型の総合問題です。たとえば、提示された資料から何がわかるか読み取る、必要に応じて計算を行う、身近な社会問題や環境問題について自分の考えを書くなど、思考力や表現力が問われるわけです。私立の試験問題は正解・不正解がはっきり決まっており、減点式で選抜されるのに対し、公立の適性検査は「正解のない問題」が多く、加点式で選抜が行われます。つまり、選抜の考え方が根本から違うため、対策のしかたもかなり異なってきます。



■公立向き? 私立向き?

私立難関校の場合、小学校の授業だけで受験に臨むのは難しいでしょう。受験直前までには、時間内に正しい答えを導き出すテクニックを身に付けておくことも必要です。
一方、公立中高一貫校の適性検査は、小学校で学ぶ算国理社の教科知識をうまく「使う」ことが求められます。教科横断の総合問題ですが、基本となるのは小学校の授業で学ぶ基礎の範囲ですから、4年生の後半5年生になってから準備を始めても十分間に合います。

公立中高一貫校に向くのは、どちらかというと大器晩成型でのんびりしたお子さまといえます。逆に早熟で目的意識がはっきりしており、競争も楽しめる気質なら、私立のほうがよさそうです。受験準備を始めるのが遅かった場合、あるいはこの時期になってもなかなか気持ちが勉強に向かない場合は、ぜひ一度、公立中高一貫校も検討してみてください。お子さまと一緒に、学校見学に行くのもよいですね。
ただし、前述のように公立中高一貫校は非常に競争率の高い学校も多く、加点式ゆえに合格可能性がみえにくいという特徴がありますので、公立を第一志望とする場合、第二志望の選択が重要となります(第二志望選びについては、回を改めて述べます)。



■「考える」「書く」訓練を

公立中高一貫校入試の対策として必要なのは、自分の考えを「書く」「言葉にする」訓練です。自分の考えを、気軽に言葉にする癖をつけるといいですね。手段はメールでもいいのですが、適性検査は手書きなので、ファックスやはがきがよりおすすめです。
たとえばおじいちゃんやおばあちゃんに、最近読んだ本について伝えるファックスを送る。離れて暮らす友達やいとこに、最近の面白い出来事を伝えるはがきを送るなど。ファックスはすぐに送れてすぐに返事が返ってくるので、「伝える」楽しみを実感しやすいと思います。保護者のかたが話題を設定してあげ、送り先の親戚や友達にも事情を話して、協力を仰ぐとよいでしょう。



■切り込む「糸口」を見つけるには

適性検査では、身近な政治・経済・社会問題について、子どもの考え方を問うものも多く出題されます。まずは適性検査の過去問題を見てみてください。子どもの解答例が示された問題集があればおすすめです。扱われている問題の多くは、現実に大人が困っている課題であり、模範解答はないに等しいのです。大人でも、まったく関心のない社会問題について突然「あなたの考えを述べよ」と言われたら、立ち往生してしまいますよね。重要なのはまず、関心を持つことです。
あらかじめ与えられた正答を探すのではなく、自分の興味とひきつけながら、その問題に切り込む糸口を見つける。その手助けをするために保護者ができることは、子どものすべての発想を認め、ほめてあげること。そして「こういう考え方もできるんじゃない?」と、発想を広げる例をいろいろと示してあげることです。
適性検査風の問題に取り組んでみることは、私立のみ受験する場合も、決して無駄にはなりません。
この時期、ぜひ、広い視野を持って志望校について再考してみてください。

プロフィール



「ベネッセ教育情報サイト」は、子育て・教育・受験情報の最新ニュースをお届けするベネッセの総合情報サイトです。
役立つノウハウから業界の最新動向、読み物コラムまで豊富なコンテンツを配信しております。

お子さまに関するお悩みを持つ
保護者のかたへ

  • がんばっているのに成績が伸びない
  • 反抗期の子どもの接し方に悩んでいる
  • 自発的に勉強をやってくれない

このようなお悩みを持つ保護者のかたは多いのではないでしょうか?

\そんな保護者のかたにおすすめなのが/
まなびの手帳ロゴ ベネッセ教育情報サイト公式アプリ 教育情報まなびの手帳

お子さまの年齢、地域、時期別に最適な教育情報を配信しています!

そのほかにも、学習タイプ診断や無料動画など、アプリ限定のサービスが満載です。

ぜひ一度チェックしてみてください。

子育て・教育Q&A