夏をどう過ごすかで合否が決まる 第4回 ご家庭で意識してやっておきたいこと[高校合格言コラム]

ご家庭で意識してやっておきたいこと

前回は、高校の「オープンキャンパス」参加についてお話ししました。今回は、夏休みの家庭生活で気をつけていただきたいことをお伝えします。

●入試では生活が問われる
 ある塾の先生に聞いた話ですが、国語の文章読解の時に、「武夫はしかたなくしぶしぶベッドに向かった」という文章があり、塾生の1人が挙手したそうです。
 「しぶしぶベッドって、どんなベッドですか?」
 下記の例は高校入試ではありませんが、今年の中学入試ではこんな問題が多数出題されました。


・「目を皿のようにして」、「ままならぬ」の意味として最もふさわしいものを選びなさい。
・文中、「浴衣一枚」とありますが、お箸、桜の花はどのように数えますか。
・一般的な和食の「一汁一菜」の献立を配膳する場合、正しいものを選びなさい。


 先生が、文章を読解するときに前提となる生徒の語彙(ごい)が足りないことに悩んでいて、また部活の合宿時に、お子さまが家事を手伝っていないことに気が付いて、あえてこうした問題を出しているのです。
 受験勉強というと、机に向かってテキストをやることをイメージしがちですが、最近の入試問題の中には、このように身の回りのものへの観察力、社会への関心度、社会常識等を見るものが増えています。
 普段の生活の仕方自体が入試につながるのだと考えてください。

●家の中では意図的に大人の言葉で会話して
 夏休みは普段よりずっとお子さまと接する時間が多いと思います。ですからこの夏こそ親子での会話を増やしてください。その時に、言葉遣いをお子さまに合わせるのではなく、むしろ、あえて慣用句、故事成語などを盛り込んでください。保護者のかたどうしで話す時も、お子さまがそばにいる時は、極力そのようしてはいかがでしょう。
 大人にとっては当たり前の語句がお子さまにわからないのは、今のお子さまは大人と接する時間がなくなっているからです。買い物に行っても、行き先はもっぱらスーパーやコンビニですから、レジでも会話がありません。電話・メールも、自分の部屋で携帯やスマホで同年代とするだけです。以前のようにリビングで親がよその大人と話していることを耳にすることもなくなっています。さらに、保護者のかた自身も親戚や近所の人を家に上げなくなっています。
 つまり、お子さまが大人の会話を耳にする機会が激減しているのです。ですからお子さまの語彙が増えないのもやむを得ない環境なのです。ですが、このままでは、本を読んでも新聞を読んでもわからない言葉だらけになります。
 ですから、この夏は意図的に(保護者のかた自身も背伸びしてでも)難しい言い回しをしてみてください。

●中1・中2なら祖父母のかたを訪ねさせよう
 お子さまが中1・中2なら、お子さまだけで祖父母のかたを訪問させてみてはいかがでしょう。年配のかたが暮らす家の家具、生活習慣、年配のかたとの会話が、お子さまの語彙を増やし、視野も広げてくれます。なお、前もって、古いものを見せたり、わざと古臭い言い方をしたりしてくれるよう頼んでおくのもよいでしょう。
 保護者のかたには失礼な言い方になるかもしれませんが、今の日本では、年配のかたほど、きちんとした日本語を使っている傾向があるようです。そうした点からも、年配のかたの家に泊まりがけで出かけさせることをおすすめします。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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