夏をどう過ごすかで合否が決まる 第2回 「夏期講習」の選び方[高校合格言コラム]

「夏期講習」の選び方

 前回は夏休みの計画の立て方についてお話ししました。今回は「夏期講習」についてお伝えします。

 夏休みの30日間、40日間もの間、ペースを守りコンスタントに勉強を続けるのはけっこう大変です。よほど意志の強いお子さまでない限り、難しいのが現実です。
 勉強のペースを持続させるため、「夏期講習」に通うということも一つの方法です。そうかといって、ただ通えばいいというものではありません。そこで、夏期講習の選び方を考えてみましょう。

●お子さまの学力状況をチェック
 夏期講習に通うかどうかを決めるのは、お子さまと勉強について話し合うよい機会になりますから、中1・中2の時の通知表、実力テストの成績表などを材料に、お子さまの学力を総点検してください。本人の苦手教科は何か、そのなかでも、特に苦手な単元と意識しているものは何かについて、中2での通知表と照合しながら話し合うとよいでしょう。中3になってから受けた模擬試験、1学期の中間テストの答案などが手元にあるでしょうから、読解はちゃんとできているか、記述問題もちゃんと書けているか……など、各教科・各単元の理解・知識だけでなく、答案作成上の読解力・記述力などまでチェックしたいものです。

 そうしたうえで、この夏休みは何に重点を置くか決めましょう。それによって、どこの塾のどのような内容の講習にするかが絞られてきます。

●公立が第一志望か、私立が第一志望か
 上記の学力状況チェックによって、特別な弱点克服のためのテーマ別特訓、志望校別特訓、記述特訓、思考力特訓などのオプション講習を受けることもあるでしょう。そうしたものを受けない場合、一般的には下記のことが大原則になります。

 ◆現段階で、私立高校が第一志望ということが決まっていれば、英語・数学・国語の3教科の講習を選びます(一部の私立高校では5教科入試の学校がありますが、大半は3教科です)。
 ◆公立高校が第一志望でも、理科・社会は自分でやれるのであれば、3教科の講習を選べばいいでしょう。
 ◆公立高を第一志望にしているお子さまが多いと思いますが、その場合は5教科すべて受けたほうが無難です。ひと通りの範囲をカバーできますから、学習し忘れの単元が生まれないことが安心材料です。

 夏期講習の最終日には、学習したことが身に付いたかどうかの確認テストがあることが多いので、2学期が始まるまでの家庭学習でやっておきたいことが明確になります。

●本人の意思を確認して
 注意していただきたいのは、保護者のかたが先回りしてあれこれ準備しないことです。熱心な保護者のかたは、夏期講習のパンフレット集めから手続きまで、保護者のかたになりがちです。
 本人に「夏期講習に通って勉強するのは自分だ」という自覚がないまま、保護者のかたに言われて通うようでは、効果はあまり期待できません。「保護者のかたに言われたから」では、高い講習料を払っても何も身に付かないことになります。夏期講習のためのお金を出すに際して、金額を示して本人の覚悟を促すことをおすすめします。

●大半の期間を講習で埋めない
心配性な保護者のかたが講習のネーミングにひかれて、「この講習も受けておいたほうがいいのではないか」「ここでケチって失敗したら元も子もない」という心理になり、いくつもの講習を受講させるケースがあります。が、夏の暑さで体力を消耗させ、秋になって夏バテとして出ることがあります。
 勉強は、自分自身で復習して初めて身につくものです。教わりっ放しでは一向に身に付きません。「あれもこれも」とたくさん受講することをおすすめできないのは、講習を受けっ放しになりがちだからです。

 夏休みの最大の目標は、「これまでやってきたことの総復習」と「苦手教科、苦手単元の克服」です。講習以外の期間にこの2つに力を尽くすことが肝心です。

 次回は、夏休みに参加しておきたい、高校の「オープンキャンパス」についてお伝えします。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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