中学生の英語のつまずき3位「単語を覚える」2位「英語の文を書く」1位は?家庭でできる苦手克服の声かけ

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中学校の英語学習で、つまずきやすい「時期」は?

ベネッセ教育総合研究所(以下、ベネッセ総研)のこれまでの研究で、子どもはその学びの過程で、英語が得意になったり、苦手になったり、その意識は変化することがわかっています。
しかし、いったん英語に苦手意識を持つと、それを引きずって自信を失い、授業がますますわからなくなってしまうことも心配です。中学校の授業でつまずくと、高校以降の英語学習でも苦労することになりかねません。
そこで、中学生がつまずきやすいポイントを探るとともに、家庭でできることを考えていきましょう。

ベネッセ総研の調査(2018年3月)では、中3の時に英語が「とても苦手」「やや苦手」と回答した生徒の約半数は、中1の終わりまでに苦手になっており、中1後半がそのピークとなっています。

ベネッセ教育総合研究所「中3生の英語学習に関する調査」(2018年3月)

出典:ベネッセ教育総合研究所「中3生の英語学習に関する調査」(2018年3月)
https://berd.benesse.jp/up_images/research/Tyu3_Eigo_Keizoku_web_all1.pdf

この調査結果は数年前のものですが、現在は、小学校5・6年から英語を教科として学習するようになりましたので、中学校の入学前から英語に苦手意識を持つ児童がさらに増えることも懸念されます。

中学校の英語でつまずきやすいポイントは?

英語に苦手意識を持つ生徒は、どういった点につまずいているのでしょうか。ベネッセ総研の調査(2014年)では、中1生が英語につまずきやすいポイントについて、12項目中、次の3項目が上位に挙がりました。

  • 1 文法が難しい 70.1 %
  • 2 英語の文を書くのが難しい 63.6%
  • 3 単語を覚えるのが難しい 62.9%。

出典:ベネッセ教育総合研究所「中高生の英語学習に関する実態調査2014」
https://berd.benesse.jp/up_images/research/Teenagers_English_learning_Survey-2014_ALL.pdf

中学校の英語の先生にお聞きすると、2位の「英語の文を書くのが難しい」は、英語の文を書く時には、文法の知識が必要となるので、広い意味で文法につまずいているのと同じだと考えられるということです。

英語と日本語では、文法のルールが違います。また、英語の文法事項には、「be動詞」「一般動詞」「現在進行形」のように形も意味も似ているようで違うもの、ルールが複雑なものもあります。

文法の学習を始める中1の初めは初歩的な内容が多いのですが、中1の後半からは、そういった難しい文法をたくさん学んでいくうちに、頭の中が大混乱して、授業についていけなくなってしまうことが考えられます。小学校5・6年で英語が教科となっても、小学校では文法を教えません。ですから、中学校1年で初めて文法を学ぶ時に、文法が苦手にならないようにすることが重要です。

英語教育の専門家 太田洋先生にお聞きしました!
中1後半で英語学習につまずかないために家庭でできること

小学校では英語に親しむ活動が多いのですが、中学校に入学すると文法などの学習量が一気に増えます。
中1の中盤から後半にかけて、頭の中が混乱して英語に苦手意識を持ってしまうのは、むしろ自然なことです。この段階で「たくさん習った文法を全部完璧にできなくちゃいけない」という意識を過度に持たせず、英語に触れ続け、使い続けるうちに、次第に頭の中が整理されていくことをお子さまが体験できるとよいでしょう。
そもそも、言語は、間違えながらも学習を繰り返し、少しずつ上達するものです。間違えるのは当たり前という気持ちで、地道に学習に取り組めるように励ましてください。

一方で、定期テストの準備をする場合には、対象になる文法事項がはっきりしています。学習する際に文法を、実際に使う場面と切り離して考えると、無味乾燥な学習となってしまい、学習に難しさを感じやすくなります。定期テスト準備でお子さまが文法に困っているような場合は、いま学習している文法は、どのような場面で、どういった内容を伝えるために使うのかを考えながら、読んだり書いたりするように伝えていってください。頭の中に英語の音や文字と意味が入りやすくなるでしょう。

英語の教科書を見ると、保護者のかたの中学校時代よりも学習量がかなり多いと感じられ、驚かれるかもしれません。特に、学習する単語数が増えたことは大きな変化の1つです。
ただ、「全部の単語を覚えなくちゃいけない」と慌てる必要はありません。単語には、聞いたり読んだりした時に理解できる「受容語彙(ごい)」と、話したり書いたりする時に用いる「発信語彙(ごい)」の2種類があります。
まずは、教科書に太字で表記されている「発信語彙(ごい)」が使えるようになれば大丈夫です。お子さまが単語学習に負担を感じすぎないようにアドバイスしていってください。

英語の学習量が増えるなか、すべてをすぐに完璧にできなくてもよいので、大切なものから、だんだん触れ続け、使い続けるように応援してあげてください。

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プロフィール

太田 洋

太田 洋

東京家政大学教授。東京都公立中学校と東京学芸大学附属世田谷中学校で21年間教鞭をとり、駒沢女子大学を経て現職。東京学芸大学大学院修了。英語授業研究学会理事。2006,2007年度NHKラジオレベルアップ英文法講師。小学校検定教科書・中学校検定教科書『Here We Go!』(光村図書出版)の著者を務める。
主な著書:『英語力はどのように伸びていくか』(大修館書店)共著、『英語を教える50のポイント』(光村図書出版)単著、『“英語で会話”を楽しむ中学生』(明治図書)共著

プロフィール

加藤由美子

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