小学生の英語学習のカギ「英語を教室の外でも実際に使ってみたい」と子どもが思えるように、保護者が実践できること

2020年度から小学校で始まっている新学習指導要領。2021年度以降、順次中学校、高校でも施行されていきます。小学生にとって望ましい英語学習はどのようなものか、保護者はどのように関わればよいのか。英語・言語教育研究に取り組んでいるベネッセ教育総合研究所言語教育研究室の加藤室長に聞きました。

この記事のポイント

「教室の外で英語を使ってみたい」と考える子どもほど、英語に関する意識が高い

第一回で「英語がわかったり、通じたりするとうれしい」という子どもの気持ちが強いことをお伝えしました。同じベネッセ教育総合研究所「小学生の英語学習に関する調査」(2015)で、もう一つ興味深い結果があります。

「教室の外で英語を使ってみたい」と思う・思わない、の意識別に英語に関する意識を見たものです。思う・思わない、の差が大きいものを上から見てみると「中学校で英語を学ぶことが楽しみだ」「外国の人と友だちになりたい」「スポーツ選手や英語を使っている大人を見ると自分も英語をがんばろうと思う」と続きます。(図1)

「教室の外で英語を使ってみたい」と考える子どもほど、英語に関する意識が高いことがわかります。英語学習は長く続けるものです。子どもたちには英語に関しての意識を高くもって、英語学習を続けてほしいと思います。

図1:英語に関する意識(「教室の外で英語を使ってみたい」意識別)

出典:
小学生の85%は「英語がわかったり、通じたりするとうれしい」 これからの英語の授業で大切にされること【2020年度からの新課程・小中高】
https://benesse.jp/eigo/202012/20201216-1.html

子どもが「教室の外で英語を使ってみたい」と思える英語学習とは?

「教室の外で英語を使ってみたい」とは、自分に関わることで英語を実際に使ってみたい、ということだと思います。その意識を高めるために英語学習の質の工夫が重要であると慶應義塾大学名誉教授の田中茂範先生は述べています。それがMAP(*)です。

*ARCLE新企画リレーコラム第1回「My Englishの育成」(2017年)より
https://www.arcle.jp/note/2017/0021.html

子どもがMAPを実感しながら英語学習を続けるために保護者にできること

子どもが英語学習をするうえで、MAPを実感できるようにするために、保護者のかたに実践していただきたいことを紹介します。お子さまが「おもしろい」「やる価値がある」「リアルだ」と感じられるようにすることがポイントです。

小学校英語の教科書や教材の内容を一緒に見て、聞いて、楽しむ

英語の教科書を使う授業は、保護者のかたの世代のものと大きく変わっており、MAPを十分に考慮した内容になっています。

まずは、教科書を一緒に見たり、音声のあるものを一緒に聞いたりしてみてください。そのときに保護者のかたが英語の意味を全部わかっていなくても、内容に興味を示し、楽しんでいただくことが大切です。

英語のスキルとして、「聞く・読む・話す・書く」がどこまでできていてほしいかは学校で段階的に目標設定されていますので、保護者のかたの感覚で一部の単語や文を取り出して、わかっているか、すぐに言えるか・書けるか、を確かめるようなことは避けたほうがよいと思います。

教科書で扱っていること、わかること、できることは同じではありません。ことばの学習の大きな特徴ですが、まずはふれる、だんだん意味がわかる、繰り返し使ううちにだんだん使えるようになる、というステップがあります。

日常生活の中で英語や外国語に一緒にふれ、楽しむ

家庭内でお子さまの好きな遊び、スポーツ、アニメなどの子ども向けテレビ番組、インターネットコンテンツなどを英語や外国語音声で一緒に見てみるのはいかがでしょうか。

好きなもの、意味がわからなくても内容に興味があるものに英語でふれることは、英語学習によい影響を与えます。お子さまのほうがよく意味をわかっていたり、一部の単語や表現を聞き取れたりする場合もあるかもしれません。

そういう場合は「すごいね!」とほめてあげてください。また、食品や生活用品などにも英語や外国語の文字がたくさん書いてあります。一緒に見つけたり、その意味をスマートフォンで調べてみたりすることも楽しいですね。

このような活動を通して、「へー、知らなかったね」「おもしろいね」とお子さまと保護者のかたが英語を一緒に楽しむ会話ができるといいですね。この積み重ねの中で、英語は学校の教室の中だけで学ぶものではなく、教室の外で、自分のために使うことばであるという感覚が磨かれます。

「教室の外で英語を使ってみたい」という気持ちが、英語に関するいろいろな意識を高めることにつながったり、もっと英語を学びたいという気持ちにもつながったりしていくのではないかと思います。

そして、教室の外で実際に英語を使ったときに「英語がわかったり、通じたりしてうれしい!」と感じてもらいたいです。

まとめ & 実践 TIPS

小学校の時期の英語学習において重要なことは、のちのちの英語学習を続ける原動力になるものを育むことだと思います。

出典
ベネッセ教育総合研究所 「小学生の英語学習に関する調査」(2015)
https://berd.benesse.jp/up_images/research/pressrelease1105.pdf

ベネッセ教育総合研究所の教育研究知見を元にした子育て・学びに関する記事の一覧はこちら
https://benesse.jp/special/berd.html

小学生の85%は「英語がわかったり、通じたりするとうれしい」 これからの英語の授業で大切にされること【2020年度からの新課程・小中高】
https://benesse.jp/eigo/202012/20201216-1.html

プロフィール

加藤由美子

加藤由美子

ベネッセ教育総合研究所 言語教育研究室室長 主席研究員。ベルリッツシンガポールを経て、ベネッセのさまざまな英語事業に携わる。研究部門に異動後は英語教育研究を担当し、19年度からは言語教育に領域を広げて担当。

プロフィール

ベネッセ教育総合研究所

株式会社ベネッセコーポレーションの教育、調査、研究機関です。子ども、保護者、先生、学校などを対象に、教育に関連する調査、研究を行い、その研究成果や調査報告書、各種データを無償で公開しています。

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