英語は「聞く・読む・話す・書く」をバランスよく!

新学期から5年生となるお子さんは、外国語活動が必修になり、中学1年生は正式な教科としての勉強が始まります。次期学習指導要領(小学校は2020<平成32>年度、中学校は21<同33>年度から)では、外国語活動を小3から必修化するなど、更にパワーアップさせることが決まっています。そんななか、実際の英語力はどうなっているのでしょうか。

半数近くが「好きではない」

現行の第2期教育振興基本計画(2013~17<平成25~29>年度)では、中学校卒業段階で英検3級程度(ヨーロッパ言語共通参照枠=CEFR<セファール>=でA1上位)以上、高校卒業段階で同準2級~2級程度(同A2~B1)以上を達成した生徒の割合を50%にする数値目標を掲げています。文部科学省は、中学3年生と高校3年生を対象に、英語力の抽出調査を実施しており、このうち中学校の2016(平成28)年度結果がまとまりました。

それによると、A1上位以上の生徒の割合は、「読むこと」で25.3%(前年度比0.8ポイント減)、「話すこと」で31.2%(同1.4ポイント減)、「聞くこと」で24.8%(同4.6ポイント増)、「書くこと」で50.8%(同7.6ポイント増)と、やっと「書くこと」で目標値に達したものの、他は微減したものさえあります。これら4技能は、「使える英語」のためにもバランスよく育成することが不可欠なのですが、依然としてアンバランスなのが実態です。

英語の学習が好きかどうかを尋ねても、「好きではない」との回答が45.4%(同2.2ポイント増)と増えています。テストのスコアが高いほど英語好きの割合が高いのですが、英語の指導を強化しても、英語嫌いが増えてしまっては何にもなりません。とりわけ「書くこと」で、スコアの高い層と、低い層の意欲の差が大きくなっています。

国外はもとより、国内で仕事や社会生活をするにも、英語は今後ますます必要になっていきます。英語を使わなくても、異文化を持つ人たちとコミュニケーションを取る能力を育てるには、やはり英語の学習が有効です。

そこで次期学習指導要領では、英語に慣れ親しませることを目的とした「外国語活動」を小学校高学年から中学年に前倒しするとともに、高学年を正式な教科(外国語科)として、読むことや書くことを加えるのはもちろん、話すことを「やり取り」と「発表」に分けた「5技能」を、バランスよく身に付けさせる目標を掲げています。一方、中学校では、5技能はもちろん、授業を高校と同様、外国語で行うことを基本とし、扱う言葉の数も、現行の「1200語程度」から「1600~1800語程度」に増やします。

注意したいのは、改訂に伴って、CEFRを中心とした「国際基準」を参考にした目標が設定されていること、そして、指導要領全体の方針に沿って、外国語教育でも(1)知識・技能(2)思考力・判断力・表現力等(3)学びに向かう力・人間性等……の「資質・能力の三つの柱」の育成が求められていることです。

そのための学習・指導方法がアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び、AL)ですが、「英語が使える」ことを目指す外国語教育は、教科の知識を実社会で生きて働く資質・能力にまで高める改訂方針全体の先導役にもなっています。単にテストのためというのではなく、実際に使ってみたいと思えるような勉強姿勢が求められます。

※2016年度 英語教育改善のための英語力調査 報告書(中学校3年生)
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1382899.htm

※次期学習指導要領
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000878&Mode=0

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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