小学校で時間割が複雑に!? 次期指導要領、英語の教科化で

2020(平成32)年度から全面実施される小学校の次期学習指導要領では、英語の教科化などに伴って、標準授業時数が3年生以上でそれぞれ年間35時間分(週1コマ分)増えます。
ただし、どこで増やすかは各学校の創意工夫に任されており、先生方は今後、いろいろ知恵を絞らなければいけないようです。

現行の週28コマは「限度」

小学校英語をめぐっては現在、高学年で「聞くこと」「話すこと」に慣れ親しませることを目的とした「外国語活動」が年間35時間、必修化されています。中学年以下は、あくまで各学校の判断で実施されています。

それが次期指導要領では、高学年で「読むこと」「書くこと」を含めて中学校以上と同様の教科「外国語」(外国語科)に格上げし、時間数も70時間に倍増します。また、従来の「外国語活動」の年間35時間は、中学年に前倒しします。つまり、いずれも年間35時間分の授業時数が増えます。

しかし、現行でも中・高学年の年間授業時数は980時間で、週当たり28コマ(3年生は945時間27コマ)となります。平日の3日間は6コマ、2日間は5コマというのが一般的です。なら6コマ授業の日をあと1日増やせばよいだけじゃないか……とも思えるのですが、実際には職員会議などがあって「週28コマが限度」(現行指導要領の改訂を提言した2008<平成20>年1月の中央教育審議会答申)です。

そこで、指導要領の改訂を提言した中教審答申(2016<平成28>年12月)は、高学年で▽10~15分程度の短時間学習(帯学習、モジュール学習)や▽現行の45分プラス短時間15分の60分授業……などを2週間に3回程度実施したり、長期休業中に対話的な活動を行ったりするなど、弾力的な時間割編成を提案していました。一方、初めて外国語活動が必修化される中学年は、短時間学習だけというわけにはいかず、年間を通じて弾力的な時間割編成を行うことが必要だとしています。

4パターンの選択肢を示す

指導要領案と同時に公表された検討会議の報告書では、考えられる選択肢として、〈(1)〉年間授業日数を増加させて時間割を編成(夏・冬休み中や土曜日に1日6コマを6日間実施、1日4コマを9日間実施など)〈(2)-1〉コマは増やさず、短時間や長時間等の授業を設定〈(2)-2〉45分授業のコマを週一つ増やして設定〈(3)〉年間授業日数の増と週当たり授業時数の増を組み合わせて時間割を編成……という選択肢を示しています。

どれを選ぶか、また、年間でどう時間割を組むかは、カリキュラムを編成する権限を持つ各学校で判断しなければなりません。過去の指導要領の下でも、週ごとに時間割を変えることを余儀なくされた時期がありました。今回も、同様の複雑な時間割編成が求められそうです。そのうえ、次期指導要領の全体的な方針に基づき、授業が「主体的・対話的で深い学び」となるよう、効果的な「カリキュラム・マネジメント」を行う必要があります。

その学校の子どもたちにとって、どんな時間割や授業日数がふさわしいのか、保護者・地域も一緒になって考えていく必要があります。それも、次期指導要領のキャッチフレーズである「社会に開かれた教育課程」の一環なのです。

※小学校におけるカリキュラム・マネジメントの在り方に関する検討会議 報告書
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/new/1382237.htm

※中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(2016年12月)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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