小学校英語の「教科化」で指導要領の改訂も-渡辺敦司-

下村博文文部科学相が、小学校の英語を正式な教科にする方針を表明しました。そうなれば中学校以降の英語教育も大きく変わるだけでなく、先の記事で紹介した道徳教育の「特別の教科」化と併せて、学習指導要領の改訂が早まることも現実味を帯びてきました。

政府の教育再生実行会議が5月にまとめた第3次提言(外部のPDFにリンク)では、小・中・高校の段階からグローバル化に対応した教育を充実させるため、小学校で「実施学年の早期化、指導時間増、教科化、専任教員配置等」による英語学習の抜本的拡充を行うよう提案していました。文部科学省ではこれを受けて6月から省内に英語教育に関する検討チームを立ち上げ、小・中・高校を通じた英語教育の在り方について具体化の検討を進めてきました。
同チームの検討案については23日以降、新聞報道が先行していましたが、下村文科相は記者の質問に答えて「現時点でまだはっきりと固めているわけではない」としながらも、同チーム案では、(1)小学3・4年生で週1回程度、英語に親しむ(2)5年生から週3回程度、教科化した英語を行う……と提案していることを明かし、この案を中心として「必要な指導体制の整備も含め、早期に結論を得たい」と述べました。また、「小学校だけ前倒しして、中学校が現状維持では無駄になる。当然、中学校の英語も大幅にレベルアップする必要があるし、高校入試や、高校以降の英語教育にも影響してくる」と、英語教育全体の見直しにつながることを明かしています。教科化の開始年度までは明示しませんでしたが、「2020(平成32)年の東京オリンピック・パラリンピックに対応できる形でスケジューリングする必要がある」としています。

小学校で2011(平成23)年度から全面実施されている現行の指導要領では5年生から「外国語活動」が必修化されていますが、道徳の記事で紹介したように「教科」になると、先生には免許が必要になるほか、教科書の発行も必要になります。ただし先生に関しては、文科省の英語教育見直しに中心的に関わってきた吉田研作・上智大学教授が本サイトのインタビューに答えて「当初は英語の教え方を学んだことがない小学校の先生がずいぶんと戸惑ったようですが、ここ数年で慣れてきた」との見方を示しています。また、文科省の調査(外部のPDFにリンク)によると1~4年生でも6割前後の学校が何らかの形で「外国語に触れる活動」をしています。英語教育の前倒しや教科化を実現させる環境は、以前に比べても整いつつあるようです。

英語の教科化は現行指導要領の改訂時にも一時検討されましたが、「英語より国語」という世論にも押されて頓挫した経緯があります。下村文科相は「日本人のアイデンティティーとしての文化・伝統・歴史を踏まえた日本語教育も更に強化するという、トータル的に制度設計する中でスタートすることが必要だ」との考えも示していますから、今度こそ本当に実現するかもしれません。


プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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