海外大学への進学を語る(1)自分の可能性を探りつつ、キャリアを作る自由さ



プリンストン大学見学の際に、現地の友達と庭で話す山谷さん(右)

昨今、進路選択のひとつとして注目を集めているのが「海外大学」への進学です。現状に詳しい、海外トップ大進学塾「Route H(ルートエイチ)」(ベネッセコーポレーション主催)を担当する尾澤章浩さんによると、特に、海外の名門大学に進学を希望する日本の学生は年々増加傾向にあり、国による「グローバル人材の育成」に向けたさまざまな動きも手伝って、その傾向は「今後も確実に伸びると予想している」(尾澤章浩さん)とのこと。近年鈍化していた海外の名門大学への進学ですが、状況は変わりつつあると言えそうです。
そこで、今年度海外トップ大学に実際に合格し、この秋から進学するお二人に、受験のきっかけや準備などについてお話を伺いました。第1回は2013(平成25)年9月からプリンストン大学に進学予定の山谷渓さんです。



自由度の高さが海外大学の魅力

最初に海外進学に興味を持ったのは、中1の時に、学校で行われた海外大学進路説明会に、両親と共に参加したのがきっかけでした。その時、実際にわたしの高校から海外に進学した先輩の話を聞いて、おぼろげながら、海外の大学にあこがれ始めたのがスタートだったと思います。

学校も海外への進学を意識しているのか、わたしが通っていた学校では、毎年海外進学者の体験談を聞く機会が設けられているのですが、その後いろいろな先輩たちから聞いた生きた情報を通じて、海外の大学は日本の大学と違い、入学後でも自分が興味を持った方向に選択を変えられるので、自分のキャリアを作るうえでとても自由度が高いことがわかりました。

たとえば日本の大学だと、医学部に入るとその道しかありません。でもわたしは大学に入る段階で、自分の将来の道をすぐに決めることができるとは到底思えなかったのです。実際に、わたしは将来分子生物の研究がしたいと思っていますが、正直なところ、一生研究職をするかは今の段階ではまだ決められません。分子生物という分野に触れながら、研究というキャリア以外の道もあるかもしれないと思うからです。今後の自分のキャリアをどう作るかを自由に考えられる4年間を送り、じっくりと自分の夢に向かって歩いていきたい……そのためには入学と同時に進路が決まる日本の大学ではなく、海外の大学が良いなと思ったんです。



受験の準備と両親のサポート

幼い頃の海外生活のおかげで、英語力には困りませんでした。しかし受験準備には語学力のほかに、課外活動が重視されることを知り、まず中学生から課外活動としてボランティアを始めることにしました。それと、GPA制度(※)で学校での評価が大事になるので、とにかく学校の勉強はとことんがんばりました。並行して具体的な受験対策をサポートしてくれる「Route H(ルートエイチ)」の存在を高1の終わり頃に知り、高3の9月から通い始めました。

両親には、たくさん協力してもらったと思っています。高3の時に行ったアメリカの大学見学は、父が同行してくれました。また普通は自分で行うことが多い、奨学金の申請手続きや受験校の選択、また合格後の進路相談にものってもらいました。わたしは東大も受験したんですが、センター試験直前に、父と祖父母がたまたま同じ日に別々に湯島天神に行ってくれて、その結果お札とお守りが2つずつ手に入って驚いたことがありました。思わず笑ってしまうようなコミカルな話ですが、自分は本当に家族から応援されているのだなと心から実感しました。



自分の可能性を探りながらキャリアを作る

こうやって中2から海外大学めざして努力してきたかいあって、わたしはハーバード大学・プリンストン大学・東京大学の3校に合格できました。この9月から、プリンストン大に入学する予定です。そこで決め手になったのも、より幅広いキャリア選択ができるかという視点です。人によっては東大やハーバード大のほうが良いという印象を持つかもしれませんが、わたしにとってはそれらの大学よりも、プリンストン大のほうが自分のとりたいカリキュラムも豊富で、より自分に合っていると判断した結果です。入学後は、教授や学生たちと日本の大学では得られない、より充実したコミュニケーションを取ることがとても楽しみです。

日本の大学受験は18歳で将来を決めてしまわなくてはならない側面があると思います。しかし、たかだか18歳で人生を決めることはとても難しいし、実際に決められる人のほうが珍しいのではないでしょうか。ですから、わたしは学生生活を送る中で、手探りで自分の可能性を探りながら、時には方向転換をしつつ、自分のキャリアをじっくりと作っていきたいと思います。皆さんには、日本の大学にとどまらず、海外の大学という進路選択があるということを知っていただけたらと思います。

次回は、海外受験準備で始めた課外活動で貴重な経験を積んだ、スタンフォード大学合格者の山根寛さんにご登場いただきます。

※GPA制度=Grade Point Average(グレード・ポイント・アベレージ)の略称で、学生の成績評価方法の一種。授業科目ごとの成績評価を5段階(A、B、C、D、Eや1、2、3、4、5等)で評価し、単位当たり平均(グレード・ポイント・アベレージ)を出し評価する制度。


プロフィール

山谷渓さん

山谷渓さん

18歳。2歳から8歳までカリフォルニアに在住。帰国後、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校に入学。今年度、ハーバード大学・プリンストン大学・東京大学に合格。9月よりプリンストン大学へ進学予定。

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