小学校で「新学習指導要領」スタート

小学校で2011(平成23)年4月から「新学習指導要領」が全面実施されました(中学校は2012<平成24>年4月から)。授業時間数増加、それに伴う学習内容の増加に対して、現場の先生たちはどのような対応を考えられているのでしょう。
Benesse教育研究開発センターでは2010(平成22)年8~9月、小・中・高校の校長約1,900名と先生約10,000名を対象に、現在の学校の取り組みや、学習指導の実態を尋ねる「学校指導基本調査」の第5回目を行いました。
そこで今回は、この調査をもとに、学校教育目標や授業時間数の変化と、先生方の対応についてご報告します。子どもたちの学校生活の変化を知り、家庭の役割について考えるキッカケにしていただければと思います。






授業時間数は……小1・2年は、昨年度より週1コマの増加(中学生は来年度から週1コマの増加)

●新たな2008年告示「新学習指導要領」では【確かな学力をめざす】
確かな学力をめざして、「新学習指導要領」への移行期間中だった2010年度は、2008(平成20)年度までに比べて、小学校では年間総授業時数が34~35時間増(どの学年も週1コマ増)。
2011年度、小1・2年生はさらに34~35時間増で合計68~70時間増(週2コマ増)。
2012年度には、中1~3年生も35時間(週1コマ)増えます。

【図1 小・中学校の年間総授業時数の変化(1992<平成4>年度~)】

図1 小・中学校の年間総授業時数の変化(1992<平成4>年度~)

※小学校は1単位時間45分、中学校は1単位時間50分



教育目標は……「学力向上 学力定着」「学習習慣」が急上昇!

「学校教育目標」に含まれる言葉について、「ゆとり教育」真っ只中に行われた02(平成14)年度調査(第3回目)と10(同22)年度(第5回目)を比較します。

【図2 貴校の「学校教育目標」には、次の言葉が含まれていますか(小学校)】

図2 貴校の「学校教育目標」には、次の言葉が含まれていますか(小学校)

※複数回答
※02年調査の選択肢は33項目、10年調査は、02年調査の選択肢に「その他」を加えた34項目。そのうち10年調査の上位25項目を示している
※1校あたりの選択数は、「その他」を除く33項目のうち選択された項目数の平均。無回答・不明を除いて算出している


【図3 貴校の「学校教育目標」には、次の言葉が含まれていますか(中学校)】

図3 貴校の「学校教育目標」には、次の言葉が含まれていますか(中学校)

※複数回答
※02年調査の選択肢は33項目、10年調査は、02年調査の選択肢に「その他」を加えた34項目。そのうち10年調査の上位25項目、および02年調査と10年調査で5ポイント以上差があった「情緒、情操」の数値を示している
※1校あたりの選択数は、「その他」を除く33項目のうち選択された項目数の平均。無回答・不明を除いて算出している


●「心の教育 豊かな心」「思いやり」「健康 体力」は小中学校ともにトップ3
02年度調査でも、10年調査でも、小中学校ともにトップ3は変わりません。

●小学校では「学力」や「学習・生活習慣」が大幅アップ!
「学力向上 学力定着」や02(平成14)年調査では下位だった「学習習慣」が20ポイント前後、「基本的生活習慣」「社会規範 きまり」が10ポイント前後アップしています。
保護者の約9割が公立小学校に期待する上位項目に「基礎学力」「学ぶ意欲向上」「社会性の育成」が入るという調査があり(「学校教育に対する保護者の意識調査」2008(平成20)年ベネッセ教育研究開発センター)、新学習指導要領にも保護者の声にも応えた教育目標と言えそうです。

●中学校でも「学力」や「学習習慣」がアップ! 「自ら学ぶ力」「社会性 協調性」がダウン
小学校と同様、中学校でも「学力」や「学習習慣」といった項目が急上昇し、10ポイント以上アップ。「自ら学ぶ力」「社会性 協調性」が10ポイント前後のダウンとなり、学力重視の傾向がハッキリと出ました。



実は……実際の授業時数は、標準時数より多い!

各学校の年間授業時数と、学習指導要領に示された標準時数を比べました。

【図4 今年度の貴校の各学年の年間総授業時数は何時数ですか(小学校)】

図4 今年度の貴校の各学年の年間総授業時数は何時数ですか(小学校)

※年間総授業時数の平均は、無回答・不明を除いて算出している


【図5 今年度の貴校の各学年の年間総授業時数は何時数ですか(中学校)】

図5 今年度の貴校の各学年の年間総授業時数は何時数ですか(中学校)

※年間総授業時数の平均は、無回答・不明を除いて算出している


●小学校の5割強が、標準時数より多い時間数を設定
標準時数通りの設定をしているのは、全学年で4割前後。全学年で授業時数の平均が標準時数より約40時間多くなっています。

●中学校の3割強が、標準時数より多い時間数を設定。年々差は開く傾向
標準時数通りの設定をしているのは、全学年で6割強。平均は標準時数より約20時間多くなっています。特に標準時数と平均時数の差は調査を重ねるごとに大きくなり、授業時数は多く設定される傾向にあると言えます。



内容増への対策は……「ポイントに絞って教える」が6割強

新学習指導要領の内容増への対応策を、現場の先生方にお聞きしました。

【図6 新学習指導要領において学習内容が増加する教科について、あなたはどのように対応する予定ですか(小学校)】
図6 新学習指導要領において学習内容が増加する教科について、あなたはどのように対応する予定ですか(小学校)

※複数回答。
※教職経験年数別の数値のうち、最大値に下線を引いている


【図7 新学習指導要領において学習内容が増加する教科について、あなたはどのように対応する予定ですか(中学校)】

図7 新学習指導要領において学習内容が増加する教科について、あなたはどのように対応する予定ですか(中学校)

※複数回答。
※担当教科別の数値のうち、最大値に下線を引いている


●ベテラン教員ほど「ポイントを絞って教える」、若手教員ほど「授業の進度を速める」
小学校の先生の内容増への対応策トップ3は「教科書の内容のうち、ポイントを絞って教える」6割強、「全体的に授業の進度を速める」5割5分、「家庭学習指導を強化する」3割弱。
職務経験年数によって違いがあり、ベテラン先生ほど「ポイントを絞る」が多く、若手の先生ほど「授業進度を速める」が多いという結果になりました。

●中学校では、担当教科ごとに対応策に違いが
対応策のトップ3は小学校と同じですが、「ポイントを絞って教える」は、国語の先生が8割強なのに対して、数学や理科の先生は5割弱。「授業の進度を速める」は理科の先生が5割弱に対して、国語や外国語は3割弱。
また、外国語の先生の多くが、「家庭学習指導の強化」(5割弱)、「宿題などを増やす」(2割強)といった家庭での取り組みを対応策として挙げられています。



(まとめ)
学校は、学力アップを目指して授業時数増・内容増に必死に対応
放課後時間のやりくりや、家庭学習といった家庭でのフォローも大切

学校教育目標から、学力重視の取り組みが強まっているのは明らか。そのため新学習指導要領が定める標準時数より、さらに多い年間授業時数を設定する小中学校が増えていると考えられます。
学校が週6日であった20年前に近い授業時数を週5日でこなすとなると、先生も子どもたちも大変。放課後時間は少なくなりますから、家庭での時間のやりくりに工夫が必要でしょう。
また、内容増に対しては先生方にお任せで済むことではなく、家庭学習の役割がより一層重要になることを覚悟する必要もありそうです。

次回は、「新学習指導要領」で必要とされている≪基本的な知識・技能の習得≫だけに終わらない、≪活用・探究≫に関する先生方の取り組みをご報告し、保護者のかたに学校生活の変化を知っていただきたいと思います。


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