電子辞書を持ち歩こう 第66回 [Oh,my Gooodness!]

親子で英語圏に住み、現地の学校に行きながら英語を学ぶ……。3歳の娘と母親である筆者は、夫のアメリカ転勤のために、そんな理想的な環境に飛び込むことになりました。果たして本当に「子どもは英語にすぐ慣れるから大丈夫」? アメリカに住みながら英語を学ぶメリットとデメリットとは? 筆者のアメリカ生活をとおして、日本に住むご家庭では、どんな取り組みができるのか考えていきます。
※「Oh,my Gooodness!」とは、「あらまあ!」という驚きを表すことば。

第66回  [Oh,my Gooodness!]電子辞書を持ち歩こうアメリカに来てから今までずっと、私はどこに行くのにも電子辞書を必ず持ち歩いている。とにかく、持っていないと困るのだ。たとえば、食料品を買いにスーパーへ行き、鶏肉コーナーを探し当てても、どれが「もも」「むね」「ささみ」なのか、わからない。最初、見た目を頼りに「breast」を買ったらむね肉で、から揚げを作ったもののパサパサで家族には大不評。こうした失敗を何度も繰り返したので、今ではスーパーの売り場で辞書を引いて「もも肉はthighだ」というように、確認する習慣がついた。

はじめのうち何カ月かは、辞書が手放せないことにイライラしていたのだが、慣れるとだんだん面白くなってきた。たとえば今、日本ではアメリカのサブプライムローン問題で大騒ぎになっているけれど、我が家の周りにも売出し中の空き家がいっぱいある。先日、ご近所の空き家の看板に「foreclosure」という赤い文字を見つけた。なんとなく庭も荒れていて、ただならぬ雰囲気。さっそく辞書を引くと、なんと「質流れ」! その家は、銀行の差し押さえ物件になっていたのだ。驚きのあまり「foreclosure」という単語は覚えてしまった。その後、新聞を見ると、不動産関連の記事には「foreclosure」という単語だらけ。それまで難しくて読み飛ばしていた話題なのに、急によくわかるようになって、自分ながらおかしかった。 
ほかにも、サンフランシスコから程近いオークランドの海岸に、東京大空襲に使われた航空母艦「ホーネット」が博物館として係留されているのを見学したあとには、「aircraft carrier」(空母)という単語が頭に入った。娘は、空母の中にたくさんあったはしごを登ったり下りたりしながら「これはladder」と覚えた。

こんなふうに、外を歩きながら「見たもの」「出会ったもの」は、思いのほかスムーズに頭に入ってきて、忘れにくい。もちろんアメリカに住んでいるから、辞書を「持ち歩かざるを得ない」「引かざるを得ない」状況に追い込まれるのは事実。だけど、和英入りの電子辞書を持ち歩き、見たものをいちいち「これは英語でなんていうんだろう」と調べること自体は、日本に住んでいても十分できたなあと思う。
うちの娘はまだ電子辞書を引けないので、結局私が語彙(ごい)を増やして娘に教えるしかない。でも、小学生ぐらいになれば、自分で辞書を引くこともできる。そこでさらに、英語の絵本やテレビが身の回りにあると、「あっ、この前辞書で引いた単語が出てきた」ということが起こり、覚えた単語がぐっと生きてくる。
電車の中や買い物、散歩、それから家に帰ってからでもいい。とにかく気が付いた時に「これって英語でなんていうんだろうね」と親子で辞書を引く習慣ができれば、楽しく語彙が増やせるだろう。

プロフィール

山本美芽

音楽・ノンフィクションライター。中学校教諭、養護学校教諭からライターに転身。現在は音楽と教育をテーマに執筆活動を行う。著書に「りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方」「子どものセンスは夕焼けが作る」など。2006年3月より米カリフォルニア州在住。1児の母。

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