英語のテレビ番組に挑戦する(1) 第63回 [Oh,my Gooodness!]

親子で英語圏に住み、現地の学校に行きながら英語を学ぶ……。3歳の娘と母親である筆者は、夫のアメリカ転勤のために、そんな理想的な環境に飛び込むことになりました。果たして本当に「子どもは英語にすぐ慣れるから大丈夫」? アメリカに住みながら英語を学ぶメリットとデメリットとは? 筆者のアメリカ生活をとおして、日本に住むご家庭では、どんな取り組みができるのか考えていきます。
※「Oh,my Gooodness!」とは、「あらまあ!」という驚きを表すことば。

第63回  [Oh,my Gooodness!]英語のテレビ番組に挑戦する(1)テレビに頼らずに子育てをされているご家庭の話を時々聞く。素晴らしいとは思うが、うちの場合はテレビなしで過ごすなど、はっきりいって無理。そこで私は、娘の日本語維持という目標のもとに、番組を選んで見せている。ベネッセの教材の「しまじろう」やネットオークションで安く落札した日本語アニメのボックスセット、アメリカで放映している日本語放送の録画、日本から送ってもらったテレビ番組の録画など、あの手この手で用意している。
果たして「語学学習」教材としてどの程度効果があるか、半信半疑で日本語のテレビを娘に見せてきたが、在米1年半を過ぎたころから効果らしきものが徐々に現れてきた。
「道草をくう」「食いしん坊」「転校生」など、私と娘の会話では普段使ってない言葉を娘が発するようになったのだ。「誰がそんなこと言ってたの?」と聞くと、「日本語のテレビで覚えたの」と言う。日本にいれば何気なく見ているテレビ番組も、アメリカでは立派な日本語学習ツールとして役立つのだ。

英語学習ツールとしてみても、やはりテレビの威力というのはすごい。アメリカ育ちの日本人幼児が英語のテレビを見ながら歌っているのを聞くと、あまりに発音が良すぎて聞き取れないことがある。また、アメリカ人と結婚している日本人女性からは「アメリカに来たばかりのころって、夫の英語はわかっても、他の人の英語が聞き取れなくて困ったのよね。ヒアリングに関しては、こっちのテレビを見ているのが一番勉強になったかなあ」という話を聞いた。
結局、アメリカのテレビで使われている英語というのは、本当に現地の人が普段しゃべっているのと同じスピード、同じボキャブラリーを使っている。これに慣れてしまえば、少なくともヒアリング面では、いつアメリカに来ても困らないはずだ。第54回のコラム「リスニング力は長期戦で育てる」で述べた「リスニング貯金」に真剣に取り組むのならば、英語圏のテレビを活用しない手はない。

ただし、子ども向け番組であってもアメリカのテレビ番組は、多くの日本人にはかなり手ごわいはずだ。私自身、アメリカに来たばかりのころは、4、5歳児が見るストーリーのある番組はチンプンカンプン。赤ちゃん向けのものがやっと理解できた程度だった。4、5歳向けの番組が聞き取れるようになってきたのは、在米1年を過ぎてからだ。
したがって日本に住んでいて英語学習を始めて間もないお子さんが、アメリカの子ども向けの番組を見ても、スピードも語彙(ごい)の量も洪水のように感じられて、ほとんど理解できず、ぜんぜん面白くなくても当たり前だと思う。でも、だからといって「英語番組を普段のテレビ視聴に組み入れる」ことを将来的な目標に入れないのは、非常にもったいない。

プロフィール

山本美芽

音楽・ノンフィクションライター。中学校教諭、養護学校教諭からライターに転身。現在は音楽と教育をテーマに執筆活動を行う。著書に「りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方」「子どものセンスは夕焼けが作る」など。2006年3月より米カリフォルニア州在住。1児の母。

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