小学校英語はどこへ向かうのか(5)世界の英語教育の動向[英語レポート]

英語は本当に必要か?
前回は12月に行ったWeb調査の結果から保護者のかたの声をご紹介しました。その中で、「20年後、英語は必要か?」という点については、保護者のかたの意見が大きく分かれており、英語の必要性についてはさまざまな認識があるようでした。これまで数回にわたり、小学校での英語必修化を中心に日本の英語教育について考えてきましたが、今回はこの根本的な疑問に立ち戻り、「英語は本当に必要なのか」という点について、日本から少し視野を広げて考えてみたいと思います。

英語は「国際語」
まずは、世界の国では、英語を話す割合はどの程度かを統計資料から見てみましょう。ある統計によれば、英語を公用語・準公用語として使っている国は国連加盟国192カ国中54カ国、人口にして約21億人とのことです(*)。2007(平成19)年現在の世界の人口は約66億人と言われていますので、単純に計算すれば全世界の約3分の1の国々・人々の間で英語が使われているということになります。もちろん、英語が公用語・準公用語の国でも英語を話さない人もいますので実質的にはその割合はもっと少ないと思われますが、それにしても英語を日常的に使う人々が非常に多いことがわかります。
日本人が英語を話す場面について考えてみても、現在では実は英語を母語とする人々(ネイティブ・スピーカー)とだけではなく、むしろ英語が母語ではない人々(ノンネイティブ・スピーカー)、たとえば韓国・中国といった同じアジアの国々の人々との間でも、英語を介してコミュニケーションすることが多いのではないでしょうか。このように、英語はすでに実質的に「国際語」としての役割を果たしており、英語教育の重要性は世界の多くの国々でより強く認識されるようになってきています。

世界の英語教育は今
それでは、世界の国々ではどのような英語教育が行われているのでしょうか。このシリーズの1回目でもご紹介しましたが、アジアのみならず、ヨーロッパでも英語教育はより重視されるようになってきています。
ヨーロッパでは、EU(欧州連合)共通の言語教育を検討しており、共通のレベル設定やカリキュラム作りに取り組んでいます。また、それぞれの国の中でも、その国の状況に応じてカリキュラムを工夫しています。言語教育としては、母語はもちろん重視されていますが、さらにそれ以外にも2言語以上の外国語習得を「できるだけ早い年齢から」始めることを推奨しています。このような背景から、ヨーロッパの多くの国々では外国語は小学校段階から必修とされています。2007(平成19)年には、フランスでも小学校での外国語教育が必修化されましたが、そのほとんどが英語を選択していますので、実質的には英語が必修化されたといっても過言ではありません。

それでは、日本の近隣であるアジアの国々はどのような状況なのでしょうか。ご存じのかたも多いかもしれませんが、韓国における小学校英語は1997(平成9)年の必修化からすでに10年以上たちました。韓国の大企業では非常に高い英語力が採用条件となっているそうです。また、次期大統領の公約に英語教育改革が掲げられるなど、英語教育が単なる教育問題という枠を超えて、重要な政治課題になっているほどです。
他の多くのアジアの国々でも、英語教育は強化されており、中国・台湾などでも小学3年生から(一部の都市では小学1年生から)英語は必修となっています。いまや洋の東西を問わず、英語は重要な教育課題と認識されているのです。このような状況のなか、2011(平成23)年度から本格的に必修化される日本の小学校は、アジアの中でも、大変遅いスタートであると言えます。

日本の英語教育の方向性
日本では、小学校英語必修化については賛否両論、さまざまな議論がありましたが、ここまで述べてきたような世界的な動向の影響も受けつつ、次の学習指導要領(国としてのガイドライン)では、小学校英語の必修化や中学校での時数増など、英語教育は強化されています。
次回は、小学校英語の必修化をはじめとして、日本の英語教育がどのように変わっていくのかについて、取り上げます。

(*)文部科学省中央教育審議会・外国語専門部会資資料(2006年)

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