宿題に追われる子どもたち 第16回 [Oh,my Gooodness!]

親子で英語圏に住み、現地の学校に行きながら英語を学ぶ……。3歳の娘と母親である筆者は、夫のアメリカ転勤のために、そんな理想的な環境に飛び込むことになりました。果たして本当に「子どもは英語にすぐ慣れるから大丈夫」? アメリカに住みながら英語を学ぶメリットとデメリットとは? 筆者のアメリカ生活をとおして、日本に住むご家庭では、どんな取り組みができるのか考えていきます。
※「Oh,my Gooodness!」とは、「あらまあ!」という驚きを表すことば。

「今週は補習校で漢字テストなのよ」と、ある日本人のお母さんがため息をつく。
「あ、ほかのお母さんたちもみんな言ってた。大変なんですってね」と私はあいづちをうつ。アメリカに住む日本人の子どもたちは、なかなか漢字を使う機会がなく、どこの家庭でも漢字の習得は悩みの種らしい。こういうとき、我が娘は小学校に行っていないから、私は悩みの種がひとつ少ないのだと実感する。 

うちの近くに日本人学校はないので、日本から来た子どもたちは、みんな現地にあるアメリカの学校に通っている。高校は義務教育なので、地元の高校に無試験で入れる。また、幼稚園の年長さんは「キンダーガーデン」という公立幼稚園が義務教育として小学校の敷地に建っているので、そこに通う。

日本から来たばかりで、英語がわからない状態でアメリカの現地校に通う子どもは、相当の忍耐と努力を要求される。言葉ができなければ友達も簡単にはできないし、ほとんど聞き取れない英語の授業を5時間から6時間も受ける苦痛とストレスは想像にあまりある。私のまわりにいるお子さんは、みんな努力を続けてうまく適応しているが、学校がいやで、毎日泣いていたといった話は珍しくない。専門家の報告を読むと、ノイローゼになって帰国を余儀なくされるケースもあるという。現地校に通うというのは、それほど厳しいことなのだ。

どの子もみんな必死に努力して我慢して、1年ぐらいでヒアリングはかなりできるようになり、2年過ぎたころには英語にかなり慣れて、英語がどんどんしゃべれるようになってくる。そして英語の伸びに反比例するかのように、日本語の力が伸び悩む。

もちろん日本語を勉強する場はあるのだ。子どもたちは、平日の現地校のほかに、土曜日の午前中に近くの大きな街にある「日本人補習校」に通っている。ただ、週に4時間だけでは、やれることに限りがあるから、大量の宿題が出る。みんな、漢字ドリルや計算ドリルなど、毎日のように3、4時間かけて親子で勉強しているのだった。

しかし、アメリカの学校からも、けっこうな量の宿題が出る。作文を書くならば英作文だし、算数も引き算が「subtraction」といった具合にすべて英語だ。小学校低学年だろうと、過去形に現在完了形、関係代名詞の入った文章を読まなければならない。中学年・高学年になると、調べ学習をして模造紙にまとめ、発表する課題も増えてくる。

帰国子女といえばみんな英語がペラペラだから、アメリカに来れば英語が話せるようになるのだろう、と私は思っていた。しかし現実はそんなに甘いものではない。中学・高校生はもちろん、小学生たちも、毎日夜の10時、11時まで、日曜日は一日じゅう宿題と格闘している。「バイリンガル」への道は、知れば知るほど険しいものだった。

プロフィール

山本美芽

音楽・ノンフィクションライター。中学校教諭、養護学校教諭からライターに転身。現在は音楽と教育をテーマに執筆活動を行う。著書に「りんごは赤じゃない 正しいプライドの育て方」「子どものセンスは夕焼けが作る」など。2006年3月より米カリフォルニア州在住。1児の母。

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