小学校英語は今「小学校英語の先にある課題 日本の英語教育の行方」[英語レポート]

これまで6回にわたり、「小学校英語に関する基本調査(教員調査)」のデータから、日本における小学校英語の実態について紹介してきました。このシリーズ最終回の今回は、すでに必修化に向けて動きだしている小学校英語について、「中学校」「アジア」という二つの観点で見つめ直してみたいと思います。

小学校英語の良さとは
小学校英語を経験した子どもを受け入れた中学校の先生方は、小学校英語についてどのように感じているのでしょうか。中学校の先生方からは、小学校英語を体験した子どもの良さとして、「語彙がある」「英語の音声に柔軟に対応し、わからない言葉でも聞こうとする姿勢がある」「英語で話すことを恥ずかしがらない、失敗を恐れない」など、英語自体や英語学習に対して積極的であるという声を聞きます。

中学校入学後の課題
反面、中学校に入ると本格的に始まる英語の文字(読み書き)には抵抗感をもつ子どもも見受けられ、そこで英語学習への意欲を失う場合もあるようです。「小学校英語に関する基本調査」の結果でも、英語教育を行っている小学校のうち、高学年で「英語の文字を読む活動」を行っている学校は全体の3分の1、「英語の文字を書く活動」を行っている学校は全体の1割強でした。

小学校英語で育まれる英語学習への意欲を生かしながら、中学校での英語教育にスムーズに着地させるためには、小学校段階での文字の扱い方が今後ますます大きな課題となりそうです。

中学校英語の問題
それでは、中学校の英語教育は今、どのような状況なのでしょうか。現在の中学校では、学習内容は、以前よりも「聞く」「話す」といった活動を多く取り入れるようになっています。時数は週3時間、学習指導要領で定められた語数は900語です。しかし、現在の学習指導要領以前は週4時間、最も多い時期の語数は1,300語だったことを考えると、中学校段階での英語教育内容は、量だけで見れば削減されてきているといえます。

また、小学校で英語に触れた子どもたちが中学校に入ってくるようになれば、これまで「初めて英語を学ぶ子ども」を想定していた中学校での英語教育(特に1年生)の指導内容も見直さざるを得なくなるでしょう。国際化が進展し、英語の必要性は年々増しているといわれますが、小学校英語の導入と同時に、中学校での英語教育の在り方についても見直す必要があるようです。

アジアのなかでの日本の英語教育とは?
また、すでに近隣のアジア諸国では、ほとんどの国が国際競争に勝ち残るために小学校での英語を必修化しており、そのなかで日本は小学校英語に関しては後進国になっています。そのような状況を考えると、小学校への英語導入の問題は、小学校だけの問題ではなく、実は中学校・高等学校の卒業段階でどのような英語力を身に付けさせたいか、という英語教育全体の大きな問題とつながっているのです。

小学校英語に関しては、前述のように日本の小学校にとどまらない問題認識の下で議論されること、そして何より、教育現場の実態に根ざしたデータを土台に議論されることが重要だと思います。そのために、今回の「小学校英語に関する基本調査(教員調査)」の結果が活用されれば幸いです。

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