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ことばの理解

ひらがなカタカナの読み書きや、言葉の理解のために、こんな工夫をしました

子どもの好きなことをきっかけにして、文字を覚えていけるように工夫しました。

K.Sさん Aくん (体験談当時の年齢:6歳3ヵ月頃 男 第1子 東京都)

その当時の子どもの状況と私の気持ちはこうでした

電車が好きなので、好きなことで文字や数字を覚えられたらと考え、おもちゃのパンフレット等を活用して、「電車あいうえおカルタ」を作りました。電車を50音順に並べて、写真をはっただけのものですが、区間と系統なども書いておいたところ、それを見て、文字、数字、アルファベットの読み書きが自然にできるようになっていました。ただ、自己流で覚えていったので、書き順がめちゃめちゃでした。

<こどもちゃれんじ>の教材のこんなところが役に立ちました。

ワークブックの文字に関するページや書き順練習の教材は、書き順や鉛筆の持ち方から、今度は親が付いて、再度学習する際に、とても役立ちました。電車には地名がつきものなので、地名に使われている漢字なども簡単なものなら書いたりしていたのですが、やはり書き順がめちゃめちゃだったので、「今は読むだけにしておこうね」という歯止めにも活用できました。新幹線の区間や系統などを覚えるには必然的に「数字」が必要ですし、「○○駅の次は△△駅」「■駅から3つ離れた駅は●駅」などと考えていくうちに、「順番」についても自然と感覚的に身についていったのだと思います。全て大好きな電車のことをもっと知りたくて覚えていったのです。

その後、子どもにはこんな変化が見られました。

自己流で書いていたときよりは、格段に字が上手になってきたようです。丁寧に書かないと、書き順がめちゃめちゃだったり、鉛筆の持ち方が間違っていたりするので、机にきちんと姿勢を正して座り、神妙な顔つきで一字一字丁寧に練習することができたのは、よかったと思います。

さらに家庭で工夫してみたことは・・・。

絵本の読み聞かせは、赤ちゃんの頃からしていましたが、字の本も最近ではよく読み聞かせています。自分で読むのとは、また違った発見があるらしく、一日に1章ずつお話が展開していくのも、楽しみのひとつのようです。数については、妹とりんごやお菓子を分けることをやらせたり、工夫とよぶのは大げさですが、毎日の暮らしの中で、数や文字に触れる機会を見つけています。

今振り返ってみて思うことは・・・。

自分から、漢字や算数の計算など先走ってしまうことが多いのですが、毎日先生に教わったことを中心に、繰り返し勉強していくことの大切さをおぼえてもらいたいなと考えています。本人の興味が学校以上に広がったときは、親も一緒に楽しんで勉強するような体制づくりくりをしていきたいと思っています。

ことばの理解

沢井 佳子 先生

就学前までには文字の読み書きができなければ・・・とお考えのおうちのかたは決して少なくないでしょう。
「文字」や「数」は、机に向かって「勉強」して初めて身につくものだという、一般的な認識が、私たち大人の中にあるからかもしれません。ところが、幼児は小さいうちから、言語や数の基礎概念をつくる課題に、自然に触れて学んでいるのです。「我が子には、思いやりのある子に育って欲しい」と誰もが思います。
そしてそのために、道徳的なお説教をしようと考えがちです。しかし、「相手の言っていることが理解できる」とか「相手の立場(視点)を想像できる」というのは、実は認知能力の発達に基づく「想像力」や「言語」の力があるからこそ可能だといえるのです。

「言葉」の理解は、社会性をはじめ様々な力を育む基礎になります。
例えば、Aちゃんのコップが割れて泣いているとします。「Aちゃんのコップが割れた」という事実と、「Aちゃんが泣いている」という事実から、「Aちゃんは自分のコップが割れて、悲しくて泣いているんだ」と関連づけて考えられるのは「因果関係」を理解しているからできることで、これは「論理」の基礎となります。
また、幼稚園で子どもたちの間でおもちゃのとりあいになることがよくあります。年少・年中のうちは、こうした「いざこざ」は頻繁に起きますし、仲裁には先生の力が必要です。それが、年長になってくると「いざこざ」の回数もぐんと減り、たとえ起こっても、自分たちで解決することができるようになります。

これは、まずお互いに相手の話している言葉が分かるという「言語」の力が発達してきたからという要因があります。更には、おもちゃを、Aちゃん、Bくん、Cくん、Aちゃんと使ったら次はBくんの番だという「系列(A→B→C→A→B→C→A→…)」の概念が理解できるようになり、「これが公平なんだ」と分かるようになったから…といえる場合も多いのです。そして、お互い言葉を使ってルールを決めて、理解し合い、自分達で解決するようになるのです。すなわち、言語や論理を理解する能力が、いざこざを減らし、思いやりや円滑な集団生活を支えているといえるのです。

「うちの子は思いやりがない」とか「人のおもちゃを取ってしまう」とご心配の方もいらっしゃるかもしれませんが、それはお子さんが、もともと人格の特性として思いやりがないわけでも、自分勝手なのでもなく、こうした「系列、順番という論理」を理解し、表現するための、認知的な力が発展途上だからといえます。このように日常生活にも、それらの認知的な概念は深い影響を与えているのです。

ある研究では、幼稚園年長組の時点で読み書きの習得状況に大きな差があった子どもたちも、小学校1年生の9月には、子どもたちの読み書きの技能(スキル)には差がなくなっていたという結果が出ています。ですから、読み書きの技能はいずれ身についていくものととらえて、あまりこだわりすぎないことが大切です。むしろ幼児期に育ててほしいのは、言葉の持っているルールや仕組みのおもしろさへの関心です。日常生活や遊びと結びついた、ことばの理解の積み重ねが、将来の作文表現の豊かさや言葉の使い方などのセンスに直結するのです。

文字に関心を持ち始めた子どもは、先ず手紙を書きたがることが多いようです。子どもの作文能力を育てる最初の段階では、身近な大人が、子どもの話した言葉を口述筆記する(書き取ってあげる)といいでしょう。手紙を書くときも、先ずは口述筆記から始めたいものです。つまり、子どもが想像をふくらませて表現した言葉を、そのまま文章として定着させて、子ども自身にその内容を読み聞かせて確認することは、子どもにとっても楽しく、文字言語への深い興味を抱かせる経験となります。そして、そのような口述筆記(大人が書き取った文面)に加えて、子どもが絵を自由に描いて挿し絵にするのもよいですね。

さらに子ども自身が、字を書きたいと言い出したら、「どんな言葉を、書きたいの?」とたずねて、おうちのかたがそのお手本の文字を書いてあげて、子どもに文字を書かせてみるのもいいでしょう。もちろん、このときは、書く楽しみを中心にして、字の形の悪さなどは大目に見てください。子ども本人が書いた文字情報だけが手紙だと考えずに、子どもの話し言葉の豊かさ(口述筆記の文章)や、子どもの字への興味(名前のサインや、ひとこと)、絵で描いた表現等々をミックスして、手紙に盛り込むという発想を持って、子どものコミュニケーション世界をいきいきとしたものにしてあげましょう。

ひらがな・カタカナの読み書きや、言葉の理解のために、こんな工夫をしました

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