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ことばの理解

ひらがなカタカナの読み書きや、言葉の理解のために、こんな工夫をしました

読むことはできているのに書くことには関心がなかった子ども。本人が関心を持ち始めるまでじっくり待とうと決めました!

K.Uさん Hくん (体験談当時の年齢:5歳10ヵ月頃〜6歳11ヵ月頃 男 第2子 大阪府)

その当時の子どもの状況と私の気持ちはこうでした

ひらがなは3歳ごろから、カタカナは4歳ごろから読むことができたのですが、書くことにはあまり興味を持っていませんでした。「ものの形をきちんと認識できていない時期に字を教えても、きれいな字は書けないので、字を書く練習をするのは小学校入学ぐらいからがよい」というような話を聞いたことがあったため、それまで待とうと思っていました。

<こどもちゃれんじ>の教材のこんなところが役に立ちました。

「ひらがな なぞりんボード」が役に立ちました。何も書いていない白い紙に字を書くことは子どもにとって難しく、お手本のようにうまく書けないため、すぐいやになってかんしゃくを起こしていました。ところが「ひらがななぞりんボード」を使うと、お手本どおりのきれいな字を自分でも書けることがうれしかったらしく、何度も何度も一人で書いていました。

その後、子どもにはこんな変化が見られました。

本人が字を書くことに興味を持ち始めた6歳10ヵ月ごろ(うちの子は4月生まれなので年長の冬ごろ)に、ひらがなを正しい書き順でていねいに書くように教えました。字を書き始めたのはほかの子よりかなり遅かったのですが、一つ一つの字を丁寧にきれいに書けるようになりました。学校の宿題もほとんど花まるをもらっています。

さらに家庭で工夫してみたことは・・・。

親子いっしょに字を書く時間を作り、一つ一つの字をよく見て、どうしたらお手本のようにきれいに書けるかを2人でじっくり研究しました。このとき親も改めて子どもといっしょに字を書く練習をしました。字を書くこととは直接は関係ありませんが、寝るときの絵本の読み聞かせは、子どもが生まれてから今日までほとんど毎日しています。その効果があったのか、言葉の表現力が非常に豊かだなと思っています。字を書くことと同時に、字を使って何を表現するかということも大切ですね。

今振り返ってみて思うことは・・・。

うちの子は公立の幼稚園に行っていて、その園ではまったく字の勉強をしませんでしたが、小学校に入ったとき何の心配もいりませんでした。<こどもちゃれんじ>を使っての学習と絵本の読み聞かせだけで幼児期は十分だということが、自分でも実感できました。ちなみに、上の子は早期教育で有名な私立の幼稚園出身ですが、姉弟とも小学校入学時点で字についての差はあまりなかったように思えます。ほかの子が字を書けて自分の子が書けないと、親は少し焦ったりしますが、赤ちゃんが立って歩ける時期が一人一人違うように、字の読み書きができるようになる時期も一人一人違うと思います。お子さんが字に関心を持っているかどうかを見極めながら、その時期が来たときに丁寧にやさしく教えてあげてくださいね。

編集部から

ひらがなの書き方を楽しく学べる体験教材は、<こどもちゃれんじ すてっぷ>でお届けします。なぞりがきに何度も挑戦できるので、ひらがなが書けることを楽しく感じていただけます。

ことばの理解

沢井 佳子 先生

就学前までには文字の読み書きができなければ・・・とお考えのおうちのかたは決して少なくないでしょう。
「文字」や「数」は、机に向かって「勉強」して初めて身につくものだという、一般的な認識が、私たち大人の中にあるからかもしれません。ところが、幼児は小さいうちから、言語や数の基礎概念をつくる課題に、自然に触れて学んでいるのです。「我が子には、思いやりのある子に育って欲しい」と誰もが思います。
そしてそのために、道徳的なお説教をしようと考えがちです。しかし、「相手の言っていることが理解できる」とか「相手の立場(視点)を想像できる」というのは、実は認知能力の発達に基づく「想像力」や「言語」の力があるからこそ可能だといえるのです。

「言葉」の理解は、社会性をはじめ様々な力を育む基礎になります。
例えば、Aちゃんのコップが割れて泣いているとします。「Aちゃんのコップが割れた」という事実と、「Aちゃんが泣いている」という事実から、「Aちゃんは自分のコップが割れて、悲しくて泣いているんだ」と関連づけて考えられるのは「因果関係」を理解しているからできることで、これは「論理」の基礎となります。
また、幼稚園で子どもたちの間でおもちゃのとりあいになることがよくあります。年少・年中のうちは、こうした「いざこざ」は頻繁に起きますし、仲裁には先生の力が必要です。それが、年長になってくると「いざこざ」の回数もぐんと減り、たとえ起こっても、自分たちで解決することができるようになります。

これは、まずお互いに相手の話している言葉が分かるという「言語」の力が発達してきたからという要因があります。更には、おもちゃを、Aちゃん、Bくん、Cくん、Aちゃんと使ったら次はBくんの番だという「系列(A→B→C→A→B→C→A→…)」の概念が理解できるようになり、「これが公平なんだ」と分かるようになったから…といえる場合も多いのです。そして、お互い言葉を使ってルールを決めて、理解し合い、自分達で解決するようになるのです。すなわち、言語や論理を理解する能力が、いざこざを減らし、思いやりや円滑な集団生活を支えているといえるのです。

「うちの子は思いやりがない」とか「人のおもちゃを取ってしまう」とご心配の方もいらっしゃるかもしれませんが、それはお子さんが、もともと人格の特性として思いやりがないわけでも、自分勝手なのでもなく、こうした「系列、順番という論理」を理解し、表現するための、認知的な力が発展途上だからといえます。このように日常生活にも、それらの認知的な概念は深い影響を与えているのです。

ある研究では、幼稚園年長組の時点で読み書きの習得状況に大きな差があった子どもたちも、小学校1年生の9月には、子どもたちの読み書きの技能(スキル)には差がなくなっていたという結果が出ています。ですから、読み書きの技能はいずれ身についていくものととらえて、あまりこだわりすぎないことが大切です。むしろ幼児期に育ててほしいのは、言葉の持っているルールや仕組みのおもしろさへの関心です。日常生活や遊びと結びついた、ことばの理解の積み重ねが、将来の作文表現の豊かさや言葉の使い方などのセンスに直結するのです。

文字に関心を持ち始めた子どもは、先ず手紙を書きたがることが多いようです。子どもの作文能力を育てる最初の段階では、身近な大人が、子どもの話した言葉を口述筆記する(書き取ってあげる)といいでしょう。手紙を書くときも、先ずは口述筆記から始めたいものです。つまり、子どもが想像をふくらませて表現した言葉を、そのまま文章として定着させて、子ども自身にその内容を読み聞かせて確認することは、子どもにとっても楽しく、文字言語への深い興味を抱かせる経験となります。そして、そのような口述筆記(大人が書き取った文面)に加えて、子どもが絵を自由に描いて挿し絵にするのもよいですね。

さらに子ども自身が、字を書きたいと言い出したら、「どんな言葉を、書きたいの?」とたずねて、おうちのかたがそのお手本の文字を書いてあげて、子どもに文字を書かせてみるのもいいでしょう。もちろん、このときは、書く楽しみを中心にして、字の形の悪さなどは大目に見てください。子ども本人が書いた文字情報だけが手紙だと考えずに、子どもの話し言葉の豊かさ(口述筆記の文章)や、子どもの字への興味(名前のサインや、ひとこと)、絵で描いた表現等々をミックスして、手紙に盛り込むという発想を持って、子どものコミュニケーション世界をいきいきとしたものにしてあげましょう。

ひらがな・カタカナの読み書きや、言葉の理解のために、こんな工夫をしました

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