幼児期から育成したい! 「非認知能力」とは?【前編】

 「非認知能力」という言葉を聞いたことがありますか。忍耐力や社交性、自尊心など幅広い力や姿勢を含み、学歴や仕事など将来の成功の支えとなるものとして、今、世界的に注目されています。特に、幼児期から育成することが重要とも言われています。非認知能力について理解することで、子どものなかに育てたい力が明確になって、日常の接し方や言葉がけは大きく変わるに違いありません。

「非認知能力」は学歴や仕事など将来の成長に結び付きやすい!

 いわゆる早期教育の話を耳にして、「うちの子は何もしなくて大丈夫かしら……」と心配する保護者のかたは多いかもしれません。読み書きや計算、英語といった知的教育の成果は目に見えやすく周囲と比較しやすいだけに、保護者として敏感になりやすいものです。

しかし、幼児期にどれくらい知的教育に力を入れるべきか、私たちはもっと深く考える必要があるかもしれません。というのも、近年の研究では、幼児期の知的教育による効果は一時的に過ぎず、長続きしないことが明らかになりつつあるからです。最初は他の子どもを大きくリードしますが、小学校に入学して学年が上がるにつれて差が見られなくなることがわかっています。

それでは、幼児期の教育にはあまり意味がなく、ただ遊んでいればよいかというと、答えはノーです。幼児期は、小学校以降の学力の土台となる「非認知能力」と呼ばれる力や姿勢を十分に育てるべきだ、そんな研究成果が世界的に注目されています。幼児期に非認知能力を伸ばすことで、学歴や仕事など将来の成功に結び付きやすいということがわかってきたのです。

実は、欧米などの先進的な園では、知的教育ではなく、非認知能力を伸ばす教育へと重点をシフトさせているのが世界的な潮流です。早期教育に力を注ぐ日本の状況は、国際的には逆行していると言えるかもしれません。

「非認知能力」が育っていないと、小学校で伸び悩むケースも

 それでは、非認知能力とは、具体的にはどのような力や姿勢を指すのでしょうか。ひと言で表すのは難しく、例えば、次のようなものが含まれているとお考えください。

◎目標を達成するための「忍耐力」「自己抑制」「目標への情熱」
◎他者と協力するための「社会性」「敬意」「思いやり」
◎情動を抑制するための「自尊心」「楽観性」「自信」

いずれも大切な力や姿勢だと思われるのではないでしょうか。

非認知能力は具体的にどう働くのか、一例として算数の問題の解き方を学習する場面を想定してみましょう。まず、算数の問題を解くためには、授業の内容を理解したり、公式を暗記したりといった「認知能力」が求められます。しかし、それだけでは不十分で、理解できるまで根気強く勉強を続けたり、友だちと教え合って理解を深めたりといった非認知能力の支えが必要です。学年が上がって努力や工夫が求められるようになるにつれて、非認知能力の支えがなければ主体的に学び続けることができず、伸び悩んでしまう可能性は高まるでしょう。

もちろん、非認知能力は学力だけに結び付くわけではありません。生涯にわたって自分を成長させたり、豊かな人間関係を構築したり、人生のあらゆる営みの支えとなります。

目に見える力の育成だけに気を取られないように注意!

 ここまでお読みになり、非認知能力がいかに重要であるか、おわかりいただけたでしょう。確かに、読み書きや計算などのスキルも大切です。しかし、目に見える学力を伸ばすことにばかり気を取られて、人生の土台となる非認知能力を育てる視点がすっぽりと抜け落ちてしまわないように十分な注意が必要です。

中編では、幼児期から非認知能力の育成に力を入れる方がよい理由を解説します。

※この記事は、ベネッセ教育総合研究所が刊行する『これからの幼児教育』(2015年度春号・夏号)を参考にして作成しています。

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