中学受験する?しない? と思ったときに、まず考えること【後編】

お子さまに中学受験をさせようかと思案している保護者のかたが、まず考えなければいけないことについて、森上教育研究所の森上展安先生にお聞きしました。
前編に続き、後編ではより詳しく、中学受験の種類と、実際に必要な勉強量について教えていただきます。



通える中学校の範囲と中学受験の種類

地元の公立中学校の場合、通学時間は平均的に15分前後といわれており、通いやすいのが魅力です。しかし中学受験をするとなると、通える範囲にたまたま希望の学校がある場合は珍しいといえるでしょう。全国的に公立の中高一貫校は、国立の中学校に比べると、比較的通いやすい距離にあることが多いようです。逆に、私立中学校を受験する場合は、40・60分かかり、あえて住んでいる地域から離れているところを選択することも多く見受けられます。ただ、あまりに長時間の通学は睡眠不足などを招きがちで、お子さまの身体的な負担も大きくなるため、通学圏はよく検討する必要があるでしょう。

では、国立・公立中高一貫校・私立校は、どのような違いがあるのか、それぞれの特徴を見ていきましょう。



●国立の中学校
国立大学の付属校である国立中学校。私立校と同様、学科試験での選抜があり、難問が出題される傾向がある。特に最近では、文部科学省による学習指導要領の縛りがなくなったため、私立のようなひねりのある問題が出題されることも。

●公立の中高一貫校
学科試験での選抜はないが、学力テストとして「適性検査」、作文、面接などの選抜がある。適性検査は教科を縦断した問題が出るのが特徴。私立のように学費が高額ではないため、高い人気が続いている。

●私立の中学校
学科試験による選抜があるのが一般的。面接がある場合も。学校によって独自の出題傾向があるため、比較的長期的な準備期間が必要。高校受験をしなくてよい一貫校が人気を集めている。



国公立・私立の準備期間はどれくらい?

では実際、中学受験するにはどれくらい勉強をすればよいのでしょうか?
一般的に、国立と公立中高一貫校は、1年ほどの準備期間が必要な試験の形式だといわれています。
一方、私立は2年ほどの準備が必要といえます。というのも、1・2年分先取りした内容が試験で出されるため、その分の準備期間が必要になってくるというわけです。ただ、ゆとりを持って準備をするには、もう少し前から始めたほうがよいでしょう。
試験の具体的な内容としては、私立の難関校では、高校入試レベルより少し難しい程度、私立中堅校で、高校入試の内容を小学生向けにやや易しくした問題のイメージとなっており、かなり難易度が高いのものになっているのが特徴です。



子どもの成長の度合いと「学校戦略」

私立校の入試問題を例に考えると、小学生のお子さまが高校入試レベルの問題を解くというのは、とても大変なことです。
特に、小学校中学年程度ですと、身体的にも精神的にも、まだまだ成長の度合いに個人差があるのが事実。お子さまの成長の度合いを見極めて、中学受験にとらわれない「学校戦略」を練ってみてください。
また、何時間も机に向かって勉強するのはとても体力のいることです。塾に限らず、運動神経を発達させ、基礎体力を上げることのできる水泳や、反射神経を鍛えるパズルなどをさせるのもよいでしょう。勉強以外でも「できる」を増やしてあげることが、お子さまの自信にも繋がっていきます。

お住まいの地域や、きょうだいの有無など、ご家庭ごとの考え方がおありかと思います。
お子さま自身が置かれた環境のなかで、なるべくよい選択をしてあげたいものですが、無理は禁物です。積極的な子どももいれば消極的な子どももいますし、なるべくお子さまが劣等感を抱かないように、自分で乗り越えられる手助けができればよいですね。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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