一人っ子のお悩み解決します!【前編】実は一人っ子はメリットがいっぱい

「一人っ子なので、ワガママにならないか心配です」「一人っ子なのでケンカすることも少なく、打たれ弱い子になってしまわないか心配です」など、一人っ子はなにかとネガティブな面が強調されることがあります。一人っ子は本当にそうした傾向があるのでしょうか? 明治大学文学部教授で教育カウンセラーでもある諸富祥彦先生にお伺いしました。



一人っ子のお悩み解決します!前編】実は一人っ子はメリットがいっぱい


一人っ子だからかわいそうというのは幻想!

「一人っ子だからワガママ」「一人っ子だから友達ができにくい」と心配する保護者のかたは非常に多いのですが、それを実証した研究はありません。私はこれまでの30年近くにわたって教育カウンセラーとして子育て相談にたずさわってきて、むしろ「一人っ子」のほうが「きょうだいのいる子」より、安定した幸せな人生を歩める可能性は高いと考えています。
一人っ子は、きょうだいのいる子に比べ、保護者の愛を独占できるというメリットがあるからです。「パパやママは自分のことを世界でいちばん愛してくれている」とお子さんは感じることで心が安定し、自分に自信を持つことができます。
きょうだいのいる子の場合、どんなに保護者が公平に子どもたちに接したとしても、「ほかのきょうだいに比べて私は愛されていない」という自己否定の感情を抱いてしまうことがあります。相談者のかたでも、幼いころ保護者にきょうだいと比較されてしまったため、大人になってからも自己否定し続け、それを一生引きずってしまうかたがたくさんいます。一人っ子の場合、こうしたリスクを回避でき、保護者の愛を独占できるため、自己肯定感を持ちやすいといえます。また、マイペースで自分らしく生きることができる人が多いと感じています。ですから、「一人っ子でさみしい思いをさせてごめんね」と保護者のかたが罪の意識を持つ必要はありません。子どもは保護者にそんなことを言われると、かえって「自分はさみしい子なんだ」と思いはじめ、自己否定につながります。



一人っ子の親が気を付けたいこと

(1)同世代の子どもと遊ばせよう!
一人っ子の場合、幼少期から子どもより大人と過ごす時間が多いため、タテの人間関係の付き合いは得意です。しかし、力関係がはっきりしていないヨコの関係、つまり同世代の子たちと、どのように付き合えばいいか戸惑ってしまうことがあります。同世代の子ども同士の場合、お互い100%全力でぶつかってしまうため衝突してしまうことがしばしばあります。そのため、自分の気持ちを伝えつつも、他者の気持ちを受け入れる技術が必要です。きょうだいのいる子はこうした能力に長けている子が多いです。たとえば、自分のお気に入りのおもちゃを弟に貸すといった経験をとおして、人間関係を円滑にするための技術を学んでいるからです。
もし、お子さんがお友達の輪に入るのが苦手、自分の気持ちを友達に伝えるのが少し苦手だと感じたら、同世代の子と関わる機会を増やしてあげると良いと思います。2、3歳違いの同世代の子たちと日常的に触れ合わせることで、一人っ子に不足しがちな経験を補うことができます。

(2)厳しくしつけすぎない
惜しみなく愛情を注いでもらえることが一人っ子の最大のメリットですが、同時に祖父母や周囲の人からの期待や関心も一身に受けてしまいます。そのため、保護者は「一人っ子だからきちんとした子に育てなければ」というプレッシャーを感じ、厳しいしつけをしてしまうことも多いようです。しかし、厳しすぎるしつけをすることで、お子さまは「お母さんは自分のことは好きじゃないんだ」「自分はダメな子なんだ」と考えてしまい、自己否定的な気持ちばかりが大きくなり、心の折れやすい子に育ってしまいます。
お子さんが幸せな人生を生きていけるかは、「自分はお父さん・お母さんから本当に愛されている」と感じられるかどうかにかかっています。乳幼児期に、十分に甘えさせることができると、「何があってもお父さん、お母さんは僕の味方」と思え、つらいことがあっても立ち上がれる力を持つことができるのです。ただ、先回りして子どもを誘導してしまうなど過干渉(甘やかし)にならないように注意をしたいですね。

次回は、諸富先生に一人っ子の育て方のポイントをシーン別に教えていただきます。


プロフィール

諸富祥彦

諸富祥彦

明治大学文学部教授。教育カウンセラー。教育学博士。臨床心理士。全国で保護者向けの講演を実施。『ひとりっ子の育て方』『男の子の育て方』『女の子の育て方』 (WAVE出版)ほか、教育・心理関係の著書が100冊を超える。

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