幼稚園・保育所とどう違う? 認定こども園の利用時はここに注意しよう!
今後、認定こども園にお子さまを通わせる予定のかたも多いはずです。なかには幼稚園や保育所から「名称が変わっただけ?」と思うかたもいるかもしれませんが、実は制度の中身も大きく変わっています。ここでは、認定こども園を利用するうえで注意したいポイントを中心にご説明します。
認定こども園の数は昨年度に比べて倍増!
今、認定こども園が急増しています。内閣府によると、2015年4月1日現在の数は2,836園と、前年度の1,360園からおよそ倍増しました。現在通われている幼稚園や保育所が認定こども園に移行するケースも十分に考えられますから、すぐに利用する予定がなくても制度について理解しておくに越したことはありません。
【ポイント1】まず「認定区分」を押さえよう
認定こども園について理解する前提として、まず新制度が設ける以下の3つの「認定区分」を押さえておきましょう。認定区分によって利用条件が異なるためです。簡単にいうと、1号認定は従来の幼稚園、2号・3号認定は保育所に通っていた子どもが該当します。
◎1号認定(3歳以上で保育が不要な場合)
◎2号認定(3歳以上で保育が必要な場合)
◎3号認定(3歳未満で保育が必要な場合)
さらに、2号認定と3号認定は、保護者の勤務時間によって2つに分かれます。
◎標準時間(1日11時間まで保育を受けられる)
◎短時間(1日8時間まで保育を受けられる)
標準時間は主にフルタイム勤務、短時間はパートタイム勤務が想定されています。
【ポイント2】誰でも自由に利用時間を選べるわけではない
認定こども園は、これまでの幼稚園と保育所の機能を併せ持った施設です。保護者が働いている、いないにかかわらず入園できるため、「働いているけど、幼稚園の教育を受けさせたい」といったニーズにも対応できます。また、保育所は保護者が仕事を辞めるなどして保育の必要がなくなると退園する必要がありましたが、認定こども園では通い慣れた園を継続して利用できるのも大きなメリットです。
ただし、誰でも自由に利用時間を選べるわけではありません。例えば、2号・3号認定の子どもとは異なり、原則として1号認定の子どもは閉園時間まで預かってくれません。「預かり保育」で延長が可能な園でも18時くらいまでの対応が多いようです。また、通常の利用料とは別に預かり保育の料金が発生します。決められた登園時間より早い時間から預ける場合も、同様に預かり保育としての扱いとなるのが普通です。
【ポイント3】待機児童問題は依然として残る
認定こども園が誕生した大きな目的は、待機児童問題の解消です。しかし、当初の想定よりも認定こども園の数は増えておらず、都市部などでは依然として待機児童が発生する状況が続いています。2号・3号の子どもであっても、必ず入園できるわけではないことにご注意ください。
【ポイント4】これまでとは料金が変わる
新制度では基本的にすべての認定区分の料金は、保護者の収入に応じて決まります(これを「応能負担」といいます)。具体的な料金は、国が定める上限をもとに自治体が決定します。これまで幼稚園の料金は、公立、私立ともに定額でしたが、認定こども園に通う1号認定の子どもも応能負担が原則となります。そのため、想定と比べて料金が高額となるケースがあるかもしれません。また、従来、利用料の算出は所得税額に基づいていましたが、新制度では住民税に変更になった関係で、毎年、9月に料金が決定されることになります。
【ポイント5】保育所に比べ、平日の園行事が多い場合がある
園によって異なるものの、保育所に比べると、認定こども園のほうが平日に保護者が参加する園行事が多く、なかなか仕事が休めない保護者のかたは困ることがあるかもしれません。特に、幼稚園から移行した「幼稚園型」と呼ばれる認定こども園は、そうした傾向が強いようです。
【ポイント6】認定区分にかかわらず、給食が一般的
保護者のかたにとっては、お子さまの昼食が給食かお弁当かは、生活スタイルを左右する問題でしょう。認定こども園では、認定区分にかかわらず給食が出るのが一般的です。
メリットとデメリットをよく比較して、利用するかどうかを検討しよう
幼稚園と保育所の両方のよさを併せ持つ施設といわれるように、認定こども園は家庭の多様なニーズに対応できる施設です。しかし、利用の仕方によってメリットもあればデメリットもあります。まずはお子さまの認定区分や制度の内容をよく理解し、「うちの場合はどのような利用の仕方ができるか」と、各家庭のケースに当てはめて考え、メリットとデメリットを比較してみましょう。