全般的な出題傾向 2[2012年度入試で何が問われたか<社会> 「社会科のアンテナ」を張って力をつける 第5回]
首都圏を中心に国・私立中学校のべ119校の2012年度社会科入試問題を徹底分析。その傾向と対策について文教大学専任講師の早川明夫先生にお話しいただきました。
※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの早川先生の講演を抄録したものです。
※分析対象は首都圏の主な国・私立中学校と、首都圏以外では、ラ・サール中学校(鹿児島県)、海陽中学校(愛知県)、神戸女学院中学校(兵庫県)など20校です。公立中高一貫校は除き、複数回入試を実施した学校は、それぞれ1校分として計算してあります。
全般的な出題傾向 2
前回に引き続き、今回も各中学校の入試問題を具体的に見ていきます。
(4) 資料の読み取り問題も頻出
表・グラフ・雨温図・分布図・史料・絵画資料・写真・地形図など、資料の読み取り問題が数多く出題されました。分析力と合わせて表現力も求められています。自分の言葉で、言いたいことをまとめる練習をしておきましょう。
<資料の読み取り問題の出題例> 筑波大学附属中 大問1
工業生産額に関するこのような問題は、多くの他の学校でも出題されています。工業生産額のトップ5位くらいまでの都道府県はおさえておくようにしましょう。
<工業生産額の出題例>横浜雙葉中 大問2 問5
この問題は、まず、長野県が接している8県をすべて思い浮かべることができないといけません。絶えず地図帳を眺めて都道府県の位置を確認するくせをつけます。自分で地図がイメージできるような訓練をすることも有効です。
都道府県がわかったら、一覧表を見て、数字が大きいところと小さいところに目をつけて考えます。
(5) 衣食住など生活に身近なテーマや設問が多い→社会科と理科の問題の一体化
以下の2つの問題は、両方とも理科の問題です。社会科の問題ではありません。このようにどちらの教科から出題されてもおかしくない内容が多く出題されました。
<社会科的な要素を含む理科の出題例> 明治大学付属明治中 (理科)第1回 大問4 (1)~(3)
(1)国内3件目の自然遺産 (3)外から持ち込まれた生物の名称 などを答えさせる問題
(1)2005年に登録されたことは知らなくても、選択肢の中に「自然遺産」は一つしかありませんのでわかります。ウの「知床」です。
(2)答えは「外来種」ですが、これは反対の意味の「固有種」とセットで覚えましょう。こうした問題では、一つの言葉からどれだけイメージをふくらますことができるかが大切です。
たとえば「平清盛」という人物については、日宋貿易(大量の銅銭の輸入)、大輪田泊、太政大臣、厳島神社、平治の乱(平清盛×源義朝)などの言葉がどんどん出てくるような練習をしておくとよいでしょう。
また、情報は単に頭に入れるだけではだめです。使わないとすぐに忘れてしまいます。特に時事問題については、折にふれて家庭で話し合うようにしましょう。
<社会科的な要素を含む理科の出題例>立教女学院 (理科)大問3 問5
このように理科と社会科の問題に境目がなくなってきていますので、そこでたとえば理科で「地震」や「エネルギー」を学習したら、社会科のその分野の学習内容を見直すようにしましょう。反対に理科で「地震」の学習をしたら、社会科の地震関連の復習もしておきましょう。そうすることにより、学習にも広がりが出て理解が深まり、おもしろみも感じることができます。
各中学校の入試問題はこちらでご確認ください | ||
筑波大学附属中学校 8年間入試と研究 平成25年度用中学受験 11 | 明治大学付属明治中学校 5年間入試と研究 平成25年度用中学受験 43 | 立教女学院中学校 10年間入試と研究 平成25年度用中学受験 67 |