2012年度入試問題を振り返る<国語> 学校別分析4【雙葉中、フェリス女学院中】[2012年度入試で何が問われたか<国語> 首都圏上位10校の問題を徹底分析 第4回]
首都圏上位10校の入試問題が2012年度は「理性」「感性」のどちらにより寄ったかを軸に、平山入試研究所の小泉浩明先生にお話しいただきました。
※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの小泉先生の講演を抄録したものです。
2012年度入試問題を振り返る<国語> 学校別分析4【雙葉中・フェリス女学院中】
次に、記述と選択肢などが半々ぐらいの学校【雙葉中・フェリス女学院中】についてです。
雙葉中 ⇒理性
雙葉中は、2006年度までは詩が出題されるなど、感性を大切にする問題が多かったのですが、2007年度くらいから、論理性が強化された問題に変化してきました。2012年度もその傾向は変わらず、一般的な入試問題を出題する学校になってきたともいえます。そして、知識問題が2010年度の9問から2012年度は3問にまで減少していたのも注目です。問題文は読みやすいものが多いです。
2012年度の出題で「(前略)~違う点を20字以内で答えなさい」というのがありましたが、これは字数内でまとめることが難しい問題でした。文章内にある解答のカギとなる「キーワード」をしっかりとらえて簡潔にまとめることが大切です。
対策としては、記述の書き方の習得と、説明的文章を読む力の強化が効果的です。2008年度に100~150字での記述がありましたので、100字以上の長文記述対策もしておいたほうがよいでしょう。
フェリス女学院中 ⇒理性
2012年度のフェリス女学院中は、文学的文章1題、説明的文章1題、文法問題1題、漢字8問の出題でした。フェリス女学院中は近年大きな変化があり、2009年度は物語文で記述の「気持ち問題」があったのですが、2011年度は、物語文の記述問題は180字の感想文のみで、あとは選択肢問題だけでした。
そして2012年度は、物語文の記述問題は三つとも「○○とはどういうことか」を問う「こと問題」であり、「気持ち問題」は選択肢問題で問う形でした。通常、物語文は物語文の本質を問うという意味で「気持ち問題」や「なぜ問題」が多いのですが、2012年のフェリス女学院中は記述でそうした出題はしませんでした。そうするとやはり難易度は下がります。8割ぐらいは正解したいところです。ミスは許されません。
一方、説明的文章のほうでは「『スピード社会』についてのあなたの考えを良い点と悪い点の両方を上げながら、百六十字以上、百八十字以内で書きなさい」という出題がありました。これは配点も高かったと思われますので、差が付いたのではないでしょうか。
フェリス女学院中への対策としては、平均点が高い学校ですので、ケアレスミスを最小限にし、選択肢などは確実に得点を重ねていくことです。また、選択肢、抜き出し、知識問題を手早く処理し、記述問題で完成度の高い答案をつくること、「こと問題」の記述を重点的に練習しておくことと、「考える」長文記述問題への対策も必要です。2012年度は、より理性に傾いた傾向が見えましたので、論理的思考力の強化が大切です。
各中学校の入試問題はこちらでご確認ください | |
雙葉中学校 9年間入試と研究 平成25年度用中学受験 9 | フェリス女学院中学校 10年間入試と研究 平成25年度用中学受験 10 |