二瓶 健次 先生

総合監修:二瓶 健次 先生

各専門分野の先生の紹介

症状・病名と予防接種

病気と予防アドバイス - せき

アレルギー性鼻炎5歳1ヵ月
寄せられたご相談

アレルギー性鼻炎の疑いと診断されていますが、部屋の環境や食べ物などで改善することはできるのでしょうか。

相談内容の詳細を見る

夜、寝始めと明け方に鼻水がのどに流れ落ちてせき込み、起き上がって吐きます。
2歳を過ぎたころに耳鼻科でアレルギー性鼻炎の疑いと診断され、2年前に関東から関西へ引っ越してきて症状が悪化しました。もう鼻はかめますが、夜中は眠いのと苦しいのとで、鼻をかむように言ってもパニックになっていてできません。気管支拡張剤や抗アレルギー剤を1日2回服用して2年、毎晩吐いていたのが数日おきになり少し回復してはいますが、部屋の環境などで改善できるでしょうか。
温度や湿度、加湿器や除湿機、吸入器など家庭でできるアドバイスをぜひお願いします。また、改善できそうな食べ物や飲み物がありましたら教えてください。

先生からのアドバイス
土橋 信明 先生

アレルギー性鼻炎対策において最も重要なポイントは、抗原(アレルギーの原因物質)を避けることですので、まずは原因物質を確認し、そのうえで原因抗原を避ける日常生活上の対策を行うことが望ましいと考えられます。

アドバイスの詳細を見る

アレルギーの原因物質の検査は行われましたでしょうか?
アレルギー性鼻炎の場合、鼻粘膜は蒼白・浮腫状(そうはく:白っぽく、ふしゅじょう:むくんだ感じ)の特徴的な外観を呈しますので、鼻の中の診察だけでもある程度診断は可能と思われます。
しかしながら、診察のみでは、何が原因となっているかを知ることはできません。通常お子さんのアレルギー性鼻炎では、ハウスダストやダニが原因である場合が多いのですが、5歳のお子さんであれば、スギやカモガヤ、ブタクサなどの季節性の原因をもっている可能性もあります。あるいはペットを飼われているようであれば、そのペットに対するアレルギーの可能性もあるかもしれません。

血液検査などで、何が原因となっているかを確認し、そのうえで初めて、それぞれの原因物質を回避するさまざまな対策を立てることが可能になります。

例えば、ハウスダストやダニの場合、生活の場、特に寝室にはカーペットや畳を避けることが望ましいと考えられます。やむを得ない場合は、掃除を徹底する、空気清浄機を使用するなどの対策が考えられます。また、寝具は羽毛や羊毛布団を避け、頻繁に干して日光消毒を行い、まくらや衣類、ぬいぐるみについているホコリにも注意する必要があります。

ペットが原因の場合は、そのペットとの接触を避ける、できるだけ室内での飼育を避けるなどの対策が、季節性アレルギーでは、飛散時期には外出を避ける、マスクやつばのついた帽子をかぶるなどの対策が考えられます。

また周囲の大人のかたは、喫煙などのアレルギー悪化の要因となることを避けるよう注意してください。さらに、アレルギーに負けない体力づくりのため、規則正しい生活、適度の運動を行うことが望ましく、バランスのとれた食生活にも注意を払う必要があるでしょう。

これらの日常生活でのさまざまな対策を行ったうえで、それでもアレルギー症状が続く場合には、抗アレルギー剤等による治療を考慮することになります。

なお、ご相談のお子さんの鼻詰まり・せき症状は、アレルギー性鼻炎以外に、副鼻腔(ふくびくう)炎やアデノイド(咽頭扁桃:いんとうへんとう)が関与している可能性も考えられますので、一度レントゲンなどで副鼻腔の状態やアデノイドの大きさを確認しておくことも必要かと考えます。

関連するQ&A

Yahoo!ブックマークに登録ヤフー このエントリーをはてなブックマークに追加 はてな

プロフィール


二瓶健次

東北大学医学部卒業。東京大学小児科、自治医科大学小児科を経て、 1979年から2001年まで国立小児病院神経科医長、 2001年から2004年まで国立成育医療センター神経内科医長 、2006年から、東京西徳洲会病院小児センター神経・発達部勤務。 小児神経学、発達神経学が専門。

プロフィール


土橋信明

慶應義塾大学卒業後耳鼻咽喉科専修医研修を経て、1991年より国立小児病院、 2002年より国立成育医療センター耳鼻咽喉科医長として勤務。 2003年9月より神谷町耳鼻咽喉科院長、現在に至る。小児耳鼻咽喉科、神経耳科が専門。