「推薦・AO」2020年度入試まで存続も…… 重要なのは大学入学後!

大学入学者選抜の抜本的な見直しを含めた「高大接続改革」の論議が、今月末に大詰めを迎えます。2014(平成26)年12月の中央教育審議会答申では、一般・推薦入試・AOという入試区分の廃止が提言されていたのですが、そうした「新たなルール」は、21(同33)年度入学者選抜(現在の中学1年生が受験)から適用することが固まりました。裏を返せば、いま実施されている推薦入試やAO入試が、20(同32)年度入試まで存続できることになったわけです。

入試区分の廃止は、どんな入学者選抜であっても「学力の3要素」(知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性)をきちんと判定すべき、という考えから提言されたものでした。答申では、文部科学省が毎年5月に定める「大学入学者選抜実施要項」の抜本的見直しの中で、入試区分の廃止も行うとしていたのですが、肝心の見直し時期は「可能なものから」「段階的に」反映させるとして、具体的に明記していませんでした。

入学者選抜改革の大きな目玉といえば、大学入試センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を、2020(平成32)年度から導入することです。2月24日に開催された文科省の「高大接続システム改革会議」では、同テストの結果が使えるようになる21(同33)年度入学者選抜から、入試区分の新ルールについても適用する案が示されました。

答申の段階では、新テストの導入を待たずに、2020(平成32)年度以前の実施要項で、入試区分廃止に踏み切ることもできたはずでした。しかし、そうした判断を採らず、2021(平成33)年度にまとめて改革することにしたわけです。これによって、多くの私立大学などでは、2020(平成32)年度までは現行どおりの推薦入試や、AO入試が続けられることでしょう。

ただし、一部の大学では、大きな変化があるかもしれません。多面的・総合的な入学者選抜は、何も入試要項の改正を待たなくても、各大学が独自の判断で行えるからです。今春入試では、東京大学が推薦入試を、京都大学が特色入試を導入しましたが、いずれも、センター試験などで一定の成績を求めるものでした。これまでは、多くの推薦・AOがペーパーテストを課していないことから、「学力不問入試」だと批判されることも少なくありませんでした。しかし、これからは推薦・AOでも、何らかの形で知識・技能や思考力・判断力・表現力等をきちんと測ろうと、選抜方法を工夫する大学が、少しずつ増えてくることでしょう。

なにより推薦・AOは、入学後に活躍し、他の学生にもよい影響を与えるような、意欲のある学生を選抜するための入試方法です。一方で、個々の学生にとっては、たとえ合格できたとしても、学力面で大学教育についていくことができなければ、何にもなりません。入試方法だけにとらわれず、その大学に入ったあとのことを考えて、高校での勉強をがんばる必要があることを、決して忘れてはいけません。

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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