意外と多い? 独自の奨学金 自治体や大学で

受験シーズンもそろそろ大詰めを迎えてきました。もう進路が決まっている者、これから決めようとしている者など、現段階では状況はさまざまでしょう。しかし、いずれにしろ保護者にとって大きな問題は、入学費用などの教育費でしょう。そこで助けになるのが、奨学金などの教育支援制度です。中心となる独立行政法人日本学生支援機構の奨学金の他にも、地方自治体や大学などを探してみると、意外と多くの奨学金制度があります。同機構はホームページをリニューアルして、所在地や学校別で、さまざまな奨学金などを探せるようになっています。

日本学生支援機構の奨学金は最もメジャーな奨学金制度で、保護者の中でもご存じのかたは多いと思います。無利子奨学金(第一種奨学金)と有利子奨学金(第二種奨学金)の2種類がありますが、いずれも返還を必要とする貸与型奨学金です。返還を必要としない給付型奨学金の創設が期待されますが、まだ道は遠いようです。また文部科学省は「有利子から無利子へ」の方針を掲げ、2016(平成28)年度は全体で無利子奨学金貸与者を47万4,000人(前年度比1万4,000人増)、有利子奨学金貸与者を84万4,000人(同3万3,000人減)とする予定ですが、依然として奨学金総額・貸与者数共に有利子奨学金が主体であることは変わっていません。

貸与型奨学金の最大の課題は、卒業後に返還が困難になった時の対応です。同機構は、経済的理由などで返還が困難な場合、最大で通算10年間の返還期限猶予をしています。また2012(平成24)年度から返還者の一部に年収300万円を超えるまで返還を猶予する「所得連動返還型無利子奨学金」を導入し、さらに17(同29)年度大学進学者などから、年収によって月々の返還額が変わる「より柔軟な所得連動返還型奨学金」を導入する方向で検討しています。ただ、「所得連動返還型無利子奨学金」は無利子奨学金貸与者の一部に限られており、新たに導入される本格的な所得連動返還型奨学金も無利子奨学金貸与者が対象になる予定です。

一方、同機構の奨学金以外にも、さまざまな地方自治体・公益法人・大学などが、独自の奨学金制度を持っています。これらの奨学金の中には、給付型や、一定の条件を満たせば返還免除になるものがあるのも、特徴の一つです。出身地や成績など、奨学金給付のための条件が付いているものが少なくありませんが、存在を知っておけば役に立つこともあるでしょう。

先頃リニューアルされた同機構のホームページでは、都道府県や学校名などで、さまざまな団体の奨学金を検索できるようになりました。奨学金だけでなく、大学などの授業料の減免制度、授業料徴収猶予制度なども探せるようになっています。たとえば、「東京都」「私立大学」で検索すると、約100校がヒットします。

  • ※大学・地方公共団体等が行う奨学金制度
  • http://www.jasso.go.jp/about/statistics/shogaku_dantaiseido/index.html

中には大学や自治体などのトップページにリンクされているため、奨学金などを探すのに手間取るところもありますが、使える制度があるかどうか、一度探してみてはいかがでしょうか。

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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