【お子さまが算数の勉強を嫌がる…そんな保護者のかたに】算数が好きな子どもの親はこんなサポートをしている!【後編】

親子で一緒に算数遊びを楽しむことも、お子さまに算数を好きになってもらう方法の一つです。勉強している時は、達成感を得やすくなるように工夫をしたり、急いで答えを求めず、じっくりと考えられるように待ったりすることも大切です。引き続き、幼児さんすう総合研究所代表の大迫ちあきさんが解説します。


【お子さまが算数好きになるサポート法 1】あの手この手で、算数の楽しさを伝えよう

 お子さまに算数を好きになってもらうためには、親子で一緒に楽しむことがいちばんです。低学年ならトランプや積み木、パズル、サイコロなど、算数の要素を含む遊びを楽しんでみましょう。また算数関連の知育玩具は、高学年でも十分に楽しめるものがいろいろとあります。小さいお子さまには、時計やカレンダーなど身のまわりの物を使って、数に対する意識づけをしてあげるのも良い方法です。

 

勉強を通して楽しさを実感させてあげることも大切です。算数の面白さの一つは、問題が解けたときに達成感が味わえることです。これは、クイズやパズルができたときの喜びに似ています。お子さまが問題を解いて、「できた!」「わかった!」と喜んでいるときは、「やったね」「すごいね」と、一緒に盛り上げてあげましょう。

 

知らなかったことを知ることは、子どもたちにとって楽しいことなのです。複雑な計算が解けるようになったり、2つの三角形をくっ付けると四角になることを知ったり、どんどん知識が広がっていきます。また問題によっては、解法が一つではなく、いろいろと工夫できることも算数のおもしろさといえます。お子さまの問題の解き方が効率の良いものでなかったとしても、「そういうやり方もあるね」と認めてあげるといいでしょう。

 

 

【お子さまが算数好きになるサポート法 2】急いで答えを教えず、子どもが考えるのを待とう

 算数の楽しさを味わうためには、しっかりと自分の頭で考えることが重要です。新しい法則や決まりを発見する体験をくり返すことで、考える力はどんどん育っていきます。算数は試行錯誤によって伸びていく教科なのです。大人にとって学習の目的は「結果」ですが、子どもの学習の目的は「過程」です。答えを教えるのではなく、考える力を育てることが大切なのです。

 

お子さまがなかなか答えにたどりつけずに悩んでいる姿を見ると、つい答えを教えたくなるかもしれません。しかし、それではお子さまは自分で考えたことにはなりません。親御さんは、グッとこらえて「待つこと」が大事と心得てください。子どもが考えているときには、話しかけないようにしましょう。

 

特に小さいお子さまほど、自分で考える習慣を身につけたい時期です。親御さんがすぐに答えを教えると、ちょっと難しくなったら「分からないから、教えて」と、自分で考えなくなってしまいますから注意してください。

 

 

【お子さまが算数好きになるサポート法 3】算数の勉強中は達成感を得やすくなるような工夫をしよう

 お子さまの算数の勉強をみてあげるときは、達成感が得やすくなるように工夫してあげましょう。例えば、子どもがゲーム好きなら、「レベル1はクリアしたから、次のレベルに挑戦ね」などと、ゲームっぽい用語を使って成長を感じさせてあげます。ちょっとしたことですが、それだけで算数の勉強が少し身近になります。

 

問題を解く時はまず、簡単なものから始めます。最初から難しい問題を与えるとやる気を失う恐れがありますし、「成功体験」を与えにくくなります。初期の学習で大切なのは、「嫌にならないこと」です。

 

最初のうちは、「自分はできる!」という半ば根拠のない自信を与えてあげることも大切です。これが、ひいては自分に対する自信となり、「やればできる」という思いが自己肯定感につながっていくのです。

 

問題集やドリルを購入する際は、保護者のかたはコストパフォーマンスを重視して、できるだけ一冊で済むように分厚いものを選んでしまいがちです。しかし、逆に薄っぺらくて、レベルごとに何冊にも分かれているほうが、自分の成長がわかりやすく、達成感を得やすくなります。

 

 

【お子さまが算数好きになるサポート法 4】失敗や間違いを恐れない「心」を育てよう

 これはどの教科にも共通しますが、「心」を育てることは、算数の学力を伸ばすためにも不可欠です。最近の子どもを見ていると、失敗やまちがいをとても恐れている姿に気づくことがあります。「失敗するとしかられる」「失敗は悪いことだ」といった不安を感じてしまうようです。

 

教室に通う保護者のかたがたとお話していると、ほめるためのハードルが高過ぎると感じることがよくあります。例えば、テストで90点を取っているのに、ほめないばかりか、「どうして、あと10点が取れなかったの?」と詰問してしまうという保護者がいます。「もう少しで満点だったのに……」という悔しい気持ちはわかりますし、まちがいを振り返ることも大切ですが、まずがんばったことを十分にほめることが先決です。子どもは、親が思っている以上に、親の評価を気にするものです。「良い点数ではなければしかられる」「がんばっても認めてくれない」と感じさせてしまうと、失敗やまちがいを恐れて、簡単なことしかやらなかったり、難しい問題にチャレンジしたりしないようになります。失敗するからこそ、成功につなげることができるのです。失敗やまちがいを避けるのではなく、失敗に負けない強い心を育て、それを乗り越えられるようにお子さまを導いてあげてください。

 

 

プロフィール


大迫ちあき

幼児さんすう総合研究所代表。公益財団法人日本数学協会認定数学コーチャー。東京・世田谷で算数教室「M&C Studyroom」を運営し、小学生・中学生に算数・数学を指導するほか、未就学児を対象とした幼児さんすうスクール「SPICA」を展開。日本数学検定協会認定資格「幼児さんすうインストラクター養成講座」の講師を務め、幼児算数指導者の育成にも力を入れている。著書に『算数ができる子の親がしていること』(PHP研究所)。

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