「できたよ!マット運動」 第3回 「後転」

前転ができたら、次は後転に挑戦しましょう。後転は、回るときに後ろが見えないため、前転より恐怖感があるかもしれません。でも、ちょっとしたポイントを押さえれば、前転と同じようにスムーズに回転することができます。ぜひ家庭で、布団をマットがわりにして練習してみましょう。

<できたよ!マット運動 「第3回 『後転』」(動画)>

最初に、後転のありがちな悪い例を4つ挙げます。

・後ろに回転する恐怖感から、手のひらを着く前に、ひじをついて回転を抑えてしまう。
・回転する前にお腹を伸ばして、回転を止めてしまう。
・手のひらや腕を使わずに回転しようとして、途中で止まってしまう。
・回転したあとに足の裏ではなく、膝(ひざ)を床に着けてしまう。

どうすれば、スムーズにできるでしょうか。丁寧に見ていきましょう。

正しい後転は、以下のような順序で行います。



「後転の順序」

1. まずはしゃがんで、手を耳の横あたりにつけるようにします。さらに手のひらを天井に向けます。

2. 背中を丸めて、おへそを見るようにして屈みます。

3. そのまま、後ろに倒れます。「第1回 準備運動」で行った「エビのポーズ」のときのように、勢いをつけて回転します。

4. 手で床をしっかり押し、回転の勢いを利用して立ち上がります。その際、脚はきちんとそろえるようにするときれいに見えます。

いかがでしょうか。最初からうまくはいかないかもしれませんね。でも要領よくコツをつかむ練習方法があります。2つの練習方法をご紹介しましょう。

【後転の基本練習(1) 坂道を使って後転】
平らな床の上ではうまく回転しきれない、という場合でも、ゆるい傾斜を作って、下り坂を利用して後転すると、勢いがついて回りやすくなります。家庭では、マットがわりの布団を重ねて傾斜を作ります(「第2回 前転」のときと同様、布団を段々畑のようにずらして3枚、4枚と重ねてスロープを作ります)。

この練習で通常の後転の仕方と違うのは、「後転の順序」の「1」のところ。ふつうはしゃがんだ姿勢からスタートしますが、ここではスロープの高いほうの縁に腰掛けるようにします。

【後転の基本練習(2) 補助付き後転】
前転と違って後転が難しいのは、途中で回転が止まってしまいがちな点です。ですから、「勢いよく回りきる」「勢いよく立ち上がる」という面で、おうちのかたが補助をします。

まずおうちのかたは、後転をするお子さんが回転するときに頭を床に着くことになるあたりの近くに、膝で立って待ちかまえます。お子さんが回転を始めたら、おうちのかたが左右の腰骨のあたりを持って支え、回転を助けます。回転したあと、お子さんがマットを押して体を起こそうとするときにも、おうちのかたは腰を持って、体を持ち上げてあげましょう。慣れてきたら、少しずつ補助の手をゆるめて、自力で回転、起立できるよう促していきます。

家で練習するときには、周りのものにぶつかってしまわないようにするためにも、ぜひおうちのかたが一緒に行ってください。

次回は、開脚前転のトレーニングです。


プロフィール


武田晴信

湘南とびうお体操クラブ代表。湘南とびうお体操クラブは、競技用の床を一面に設置した体操専用体育館を拠点とする、日本でも数少ない体操クラブです。 ここで武田先生は、運動の苦手な子から体操選手まで、幅広い層に指導を行っています。

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