ICT・プログラミング教育、なぜ重要?

2020(平成32)年度の小学校から順次、全面実施に入る次期学習指導要領では、「教科等を越えた全ての学習の基盤」として、言語能力とともに、情報活用能力を挙げています。また、小学校では、プログラミング教育が必修化されます。ICT(情報通信技術)教育は今までも行われてきましたが、自治体や学校によって、機器の整備や、教員の指導力に偏りがあるのも事実です。ICT教育やプログラミング教育が、なぜ重要なのでしょうか。

アナログでもデジタルでも「情報活用能力」を

国立教育政策研究所は、このほど「ICTリテラシーと資質・能力」と題する報告書をまとめました。リテラシーとは「活用能力」のことで、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のB問題でも知識を「活用」する力が問われているところです。一方、資質・能力とは、次期指導要領で、三つの柱(<1>知識・技能<2>思考力・表現力・判断力等<3>学びに向かう力・人間性等)によって、すべての教科等を横断して共通に育むことを目指しているものです。

情報教育というと、教員でさえICT機器を駆使して行う授業のことだというイメージを持つ人が少なくありませんが、実際にICT教育の先進校に行ってみると、大概は板書や掲示物など、旧来型のやり方と上手に使い分けています。報告書でも、情報にはデジタル情報だけでなく、アナログ情報もあるとして、どちらかという議論ではなく、情報をどのような目的で活用するのか、活用能力をどのような目的で育成するのかのほうが重要だと指摘しています。次期指導要領のもとになった中央教育審議会答申(2016<平成28>年12月)でも、情報活用能力とは、「世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉えて把握し、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力のこと」だとしています。

そのうえで報告書は、情報活用能力を教育したいのであれば、学習・指導方法や評価、教師教育の改革、インフラの整備などを、総合的に行う必要があるとしています。どれかが十分にならないとできないという話ではなく、全部を一体的に改善しながら進めていかないと、デジタルにせよアナログにせよ、子どもが情報を使いこなす力は育たないのです。

どんな資質・能力を育てたいかが重要

プログラミング教育に関しては昨年、指導要領に盛り込まれることが固まって以来、学校内外でプログラミング教室が活況を呈するなど、一大ブームが来ていると言っても過言ではありません。ただ、今なぜプログラミング教育なのか、必ずしも正確に伝わっていないかもしれません。

中教審答申では、「『プログラミング的思考』などを育むプログラミング教育」という言い方をしていました。報告書でも、たとえば「計算論的思考」を育てようとするなら、「計算論的思考を学ぶために計算装置を使って情報を計算論的に捉える」教育が必要だとする一方、プログラミング教育によって「新しい学び」が引き起こされることに期待を掛けています。

単に機器を使えば、あるいは、プログラミング教育をやればよい、というものではありません。それによって、どんな資質・能力を育てたいのかを明確にすることこそが重要なのです。

※ 「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究報告書4: ICTリテラシーと資質・能力」の概要について
http://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pdf_seika/h28a/syocyu-1-4_s.pdf

(筆者:渡辺敦司)

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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