「学力を伸ばしてくれる学校」は本当にあるのか?[中学受験]

■「我が子に合った学校」と「学力を伸ばしてくれる学校」

本当に「学力を伸ばしてくれる学校」が存在するかという疑問があった。中学入試で学力の高い生徒をとることのできる偏差値の高い学校の大学合格実績は高く、そうでない学校は低いことは経験則でわかっていた。偏差値が高い学校には生徒の学力を伸ばすシステムがあるから、人気が出て偏差値が高くにあり、学力の高い生徒が集まる好循環でさらに大学合格実績が高くなるのかもしれない。


学校は生徒の学力をどれだけ伸ばしているのか。入り口となる中学入学時の学力を「中学入試の偏差値」で、出口となる6年後の学力を「大学合格実績」で示し、6年間でどれだけ学力を伸ばしたかを測定しようという試みは、以前から行われてきたが、これまでのところ、納得できる測定方法はないようだ。

測定方法を確立するためには、必要なことがある。例えば、卒業生の多い学校と少ない学校を公平に比較するために、卒業生100人当たりの合格実績で評価することが必要だ。また、中学入試偏差値と大学合格実績の差をとって、学力の伸びを計算することは、単位が異なるので意味がない。大学合格実績の大学の偏差値を加算して中学入試偏差値との差をとっても母集団の異なる偏差値は比較できないので学力の伸びを見ることができない。


下のグラフのように、森上教育研究所では、男子向けと女子向けとに分けて、入学時の中学入試偏差値と高校卒業時の大学合格実績についてどのような関係があるかを調べた。大学合格実績については東大・京大・一橋大・東工大、早稲田大・慶應大・上智大、GMARCH(学習院大・明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)の3つの大学群で集計した。首都圏全域だけでなく、東京・神奈川・千葉・埼玉や東京の内訳となる23区北東部・それ以外の23区・多摩地区についても学校の所在地ごとに調べた結果、データ数が少ない1件を除き、すべてのグラフで凹曲線上またはその付近に偏差値と合格実績で示される点が集まり、中学入試偏差値と大学合格実績には、一定の関係があることが明確となった。これは大きな発見となった。


というのも、一定の線上に学校が集まるということは、生徒によって学力を伸ばした者もいれば逆の場合もあるであろうが、平均では「大学合格実績は中学入試の偏差値で決まる」ということだ。もちろん、私学のほとんどは大学受験指導には熱心に取り組んでいると思うが、どの学校も熱心なので差が付きにくいと考えられる。グラフの中で、例外的に曲線の上側(または左側)に大きく外れた学校があることがわかる。その学校こそが保護者が追い求める「学力を伸ばしてくれる学校」だといえる。今回、森上教育研究所で作成したグラフを見ると、簡単に「学力を伸ばしてくれる学校」を見つけることができるのである。


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プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(1977年に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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