景気動向から2013年の中学入試を考える[中学受験]
■2013年度中学入試の展望
まだデータが少ないので、2013年入試の展望を行う時期としては早すぎるかもしれない。9月に本格化する大手学習塾の模試の受験者数や、学校説明会の参加者数を見なければ、明確にはいえないが、2012年入試と4月~7月の大手学習塾の模試や学校説明会の参加状況から、2013年の中学入試の予測をしてみたい。通常、入試の予測は過去の受験者数の推移と大手学習塾の模試や、学校説明会の参加状況から翌年の受験者数を予測することで行う。
下のグラフは、公立中高一貫校(以降「公立」と称す)と、公立・私立の新規開設校を除いた2007年に存在した国立私立中高一貫校(以下「「国・私立」)の受験者数の実績と予想を示したものだ。「国・私立」を受験する受験生が大多数を占めるということもあるが、絞り込んだ分析をしなければ、不確定要素が多すぎて予測の精度が低くなる。
2007年以降の国・私立中高一貫校の受験者数 実績と予測
受験者数が増減する確実な要因として、小6人口の増減がある。小6人口が増減すると受験者数も呼応して増減する。グラフを見ると、小6人口は2008年に激減し、2009年に急増したが、2010年以降は横ばい状態となっている。小6人口は2015年以降に減少するが、2013年入試では横ばい状態が続くので、受験者数を増減する要因として考えなくてもよいだろう。2009年入試では「リーマンショック」の影響で、受験者数はそれほど増加せず、小6人口の増加を差し引くと実際には減少していたことがグラフでもわかる。
2010年~2012年の入試では受験者数が急減しているが、その要因は「リーマンショック」に端を発した不況の影響だ。不況は入試にはあまり影響しないといわれてきたが「バブルの崩壊」では明確に受験者数が減少した。「バブルの崩壊」による受験者数減少は、4年目にピークを迎え、その後は横ばいとなった。そのメカニズムは「リーマンショック」でも再現されると考えられる。2013年入試は、受験者数が減少から横ばいになるターニングポイントになるのではないだろうか。
「バブルの崩壊」の事例は「リーマンショック」と一致しているところも多いが、異なるところも多い。しかも、将来的な受験者数を変える要因は多く、それらすべてを考慮して受験者数を予測することはできない。つまりこの予測は、来年の中学入試までには受験者数を大幅に変えるような異変が起こらない、という仮定のもとに行っている。
今後、不況が深刻化する要因は多いため、実際に景気が悪化すれば、おそらくは、受験者数が減少し続けることになる。不況は、受験者数の減少に直結するといってもよいほど影響が大きい。たとえば「リーマンショック」よりも大規模な不況を引き起こす可能性のある「欧州危機」が、すぐにでも決定的になるかもしれない。そのような観点から考えれば、2013年入試における受験者数には、さらなる減少がみられるという予測になってしまう。