二瓶 健次 先生

総合監修:二瓶 健次 先生

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症状・病名と予防接種

病気と予防アドバイス - アトピー性皮膚炎

発疹0歳6ヵ月
寄せられたご相談

湿疹(しっしん)が首まわり、耳の後ろ、胸、おなか、背中、太ももにできて、特にお風呂上がりは赤くなり、皮膚がざらざらになっています。アトピーではないかと心配です。

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4ヵ月を過ぎたころから急に湿疹(しっしん)が出始め、今では唯一顔には出ないぐらいで、首まわり、耳の後ろ、胸、おなか、背中、太ももにできています。
特にお風呂上がりは赤くなり、皮膚がざらざらになっています。すぐに保湿クリームを塗り、小児科で処方してもらったステロイドの軟膏(なんこう)や、乳児湿疹の薬を塗っていますが、一向に治りません。
小児科の先生からは、乳児湿疹のひどい状態としか説明を受けておらず、アトピーではないかと心配です。このままのケアで治るのでしょうか?
それとも皮膚科を受診してアレルギー検査を受けるなどした方がよいのでしょうか?

先生からのアドバイス
馬場 直子 先生

乳児期の湿疹が2ヵ月以上続くようであれば、アトピー性皮膚炎の可能性もあります。一度皮膚科を受診して、家での正しいケアと軟膏治療の具体的な方法を習い、アレルギー検査も受けるといいでしょう。

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乳児期は最も湿疹が出やすい時期で、3割近くもの乳児が一度は湿疹を経験するほどです。

この時期に出やすい湿疹の部位として、圧倒的に顔、頭、首から始まるケースが多く、そこだけで治る場合と、次第に体幹や四肢にも広がってくる場合とがあります。生後2〜3ヵ月ごろから出始めることが多いようですが、この出始めた時期に皮膚科や小児科で診てもらっても、すぐにアトピー性皮膚炎なのか、一過性の乳児湿疹なのか、判断できない場合があります。
乳児のアトピー性皮膚炎はだいたい湿疹が2ヵ月以上続いた場合に疑うということになっています。

期間的なこと以外では、湿疹が顔や頭だけでなく、胸やおなか、背中、腕や脚にも広がり、特に首、ひじやひざの裏側、手首や足首などの関節部位に湿疹が強く出ている症状が見られる場合も、アトピー性皮膚炎を強く疑います。
また、ご両親や兄弟姉妹などの親族に、アトピー性皮膚炎・ぜんそく・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎などの、いわゆるアレルギー性疾患をもつ人がいるかどうかの家族歴も参考になります。
また、激しくかき壊して皮膚がむけていたり、血がにじんでいたり、かゆみが強そうな湿疹はよりアトピー性皮膚炎を疑います。このようなさまざまな観点から総合的に乳児期のアトピー性皮膚炎と診断します。

しかし、アトピー性皮膚炎にしても、乳児湿疹にしても、乳児期に大切なスキンケアの方法と軟膏治療の方法は、基本的には変わりがありません。
入浴時に石鹸(せっけん)で丁寧に優しく洗うこと、湿疹のある部位には指示された薬をきちんと塗り、乾燥しているだけの部位には保湿薬を塗ることが基本です。それ以外に、もしアトピー性皮膚炎であれば、アレルギーを起こしているような悪化因子があるかもしれないので、それを確かめるためにアレルギーの検査も必要になってきます。

2ヵ月以上続いて治りにくい、かゆみが強い湿疹であれば、一度アレルギーの検査も受けてみた方がいいでしょう。その結果によって、患者さんに応じたアレルゲン対策の指導がされるはずです。

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プロフィール


二瓶健次

東北大学医学部卒業。東京大学小児科、自治医科大学小児科を経て、 1979年から2001年まで国立小児病院神経科医長、 2001年から2004年まで国立成育医療センター神経内科医長 、2006年から、東京西徳洲会病院小児センター神経・発達部勤務。 小児神経学、発達神経学が専門。

プロフィール


馬場直子

神奈川県立こども医療センター皮膚科部長。滋賀医科大学医学部卒業。横浜市立大学医学部皮膚科、横須賀共済病院皮膚科勤務などを経て1994年より神奈川県立こども医療センター皮膚科医長。2002年から現職。横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼任。