13 気候変動に具体的な対策を 13 気候変動に具体的な対策を

目標13

気候変動に
具体的な対策を

気候変動及びその影響を軽減するための
緊急対策を講じる

2020年6月1日

世界の気候変動の
現状と
目標13の内容

近年、海面の水位の上昇や、世界のあらゆる国で頻繁な豪雨や洪水、猛暑による干ばつなどが起こるようになり、その被害が大きくなっています。これらの気候変動を引き起こしている原因の一つとされているのが、「世界の温室効果ガス排出量の増加」による地球温暖化です。このため、地球温暖化の防止と気候変動への対応は、世界中で今すぐに解決に向けて努力しなければいけない問題の一つとなっています。

1880年から2012年にかけて、地球の平均気温は0.85℃上昇しました。また、1901年から2010年にかけて、海面は19センチメートル上昇しています。平均気温が1℃上昇すると穀物の収穫量は約5%減るとされていて、実際にトウモロコシや小麦などの主要な作物は、世界で毎年約4,000万トンも収穫量が減っています。

平均気温が上がると、あらゆる生態系に悪影響が出てしまいます。森林や海や川とそこに住む生物は、私たちの生活に欠かせない貴重な資源です。気候の変化によって絶滅する生物が増え、生態系の多様さが失われることも防がなければなりません。

気候変動による被害は、住まいが使えなくなり、食べ物や飲み水に困り、仕事がなくなってさらなる貧困に陥るというふうに、貧困層、女性や子ども、障害のある人などの社会的に立場の弱い人の生活を直撃することも、配慮しなければいけない問題の一つです。

気候変動の原因となっている地球温暖化をくい止めるため、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を減らす取り組みが盛んに行われています。さらに、住居やビル、電気や水道などのインフラを含めた、災害に強い街づくりも、取り組むべき課題となっています。

気候変動に対応する
ための
世界中での取り組み

地球温暖化をくい止めるための代表的な例が、2015年に採択されたパリ協定です。パリ協定では「世界的な平均気温の上昇を、産業革命以前に比べて2℃以下に保ち、1.5℃以下に抑える努力をする」という長期的、国際的な目標が定められています。このパリ協定で示された数値に基づいて、各国の政府が国内での二酸化炭素排出量の削減について目標を決め、規制を設けたり政策をつくったりして、温室効果ガスの排出量を抑えるための取り組みを続けています。

世界の企業の間でも、地球温暖化を防ぎ、気候変動に対応するための取り組みが進んでいます。工場やプラントで使用するエネルギーを温室効果ガスの排出量を抑えられる天然ガスや水素に替えたり、輸送時の二酸化炭素排出量を抑えるために、長距離輸送をトラックから電車や船舶での輸送に切り替えたりする企業が増えています。

災害時の困りごとに対応できる金融商品も登場しています。資金の使い道を環境目的に限定した債券「グリーン・ボンド」を発行したり、災害時に通帳やキャッシュカードがなくても取引できる生体認証に対応したATMを設置したりといった取り組みが、その例です。

気候変動をなくす
ための
日本での取り組み

気候変動への取り組みで重要視されている考え方が、「緩和」と「適応」です。「緩和」とは温暖化を押し留めて、変動を起こさせないための取り組みのこと。たとえば省エネルギー対策や再生可能エネルギーやリサイクルの導入促進、森林吸収源対策など、最優先で取り組むべき事項が含まれているといえます。

「適応」は、温暖化による影響を人間社会の中で低減させる取り組みのことで、たとえば豪雨災害対策や災害時の避難対策、農作物の高温障害対策、熱中症対策などがこれにあたります。「緩和」と「適応」、気候変動への取り組みは、この両輪の考え方で動く必要があります。

世界では100年当たり約0.73℃のペースで気温が上がっていますが、日本はそれよりも早い約1.21℃のペースで気温が上がっています。それに伴い、大雨や猛暑が頻繁に起こるようになったり、農作物の収穫量が不安定になったり、熱中症の危険が高まったりするなど、各地で気候変動の影響が出ています。

気候変動への対応が急がれる中、日本の企業は、製造・流通・小売りといった産業に関わるさまざまな過程で、省エネルギーに配慮し二酸化炭素を削減する取り組みを行っています。石油や石炭に替わるクリーンなエネルギーの開発や、災害に強い建材や建造物の研究・開発も、日本の企業が力を入れている取り組みの一つです。

上で紹介した「緩和」と「適応」の考え方からわかるように、私たち一人ひとりも、なぜ地球温暖化が起こり、気候変動によってどのような影響があるのかを理解し、ふだんの暮らしを変えていく必要があります。二酸化炭素の排出量や省エネルギーに配慮されたサービスや商品を選んだり、使わない電化製品のスイッチをこまめに切ったりすることも、その第一歩となるでしょう。

参考資料

「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」5つのターゲット

[引用元]総務省・仮訳(2019年8月)

  • 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
  • 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。
  • 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
  • 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。
  • 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。

このターゲットでは、「気候変動」にまつわる目標と求められる取り組みが詳しく設定されています。

※ターゲットとは、「最終的な目標」に到達するために必要となる「より具体的な達成すべき目標・成果、必要な取り組み」のことです。

※目標13のターゲットの全文は参考資料としてこのページの末尾に引用しました。

  • 気候関連災害や自然災害に対する強靱性(きょうじんせい:レジリエンス)と適応能力を強化する
  • 気候変動への対策を国ごとの政策や計画に盛り込む
  • 気候変動への対策に関する教育や啓発を行う
  • 開発途上国のニーズに対応するため、2020年までに緑の気候基金を本格始動させる
  • 社会的に阻害されている人や地域も含めて、気候変動の対策として効果的な計画策定と管理能力を向上するメカニズムを推進する

[参照元]

「目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」 (国際連合広報センター/2018年12月)

https://www.unic.or.jp/files/Goal_13.pdf

「目標13 気候変動に具体的な対策を取ることはなぜ大切か」(国際連合広報センター/2019年3月)

https://www.unic.or.jp/files/13_Rev1.pdf

「13.気候変動に具体的な対策を」(国際開発センター/2018年)

https://idcj.jp/sdgs/img/IDCJ_SDGs_HANDBOOK_GOAL13.pdf