3 飢餓をゼロに 3 飢餓をゼロに

目標3

すべての人に健康と福祉を

あらゆる年齢のすべての人々の
健康的な生活を確保し、
福祉を促進する

2020年6月1日

世界の健康・福祉の現状と
目標3の内容

世界には十分な医療を受けられないために、命を落とす人々が大勢います。世界の人口のおよそ半数にあたる約36億人が、生きるために最低限必要な医療を受けられていないという衝撃的な実態もあります。また、毎年600万人を超える子どもが、5歳の誕生日を迎える前に亡くなっているのです。また、開発途上国の妊産婦と乳幼児の死亡率の高さが問題となっています。特に、サハラ以南のアフリカと南アジア地域では、助産師が立ち会う出産件数は全体の半数以下にすぎません。出産する時に、衛生的な施設で、医師や助産師が立ち会うことができれば、死亡率を大幅に減らすことができます。母子が医療や保健のサービスを平等に受けられるように取り組んでいかなければなりません。

感染症を撲滅することも重要なターゲットです。たとえば、2017年時点で世界のHIV感染者は、約3,690万人に上ります。そのほかに、マラリア・結核・肝炎といった感染症も根絶されたとは言えない状況です。

感染症対策が進められる一方で、心疾患や呼吸器疾患、がんなどの非感染性疾患で亡くなる人も大勢います。さらに、交通事故、薬物の乱用、大気汚染といった健康にまつわる問題が残っています。

こうした健康や福祉に関する状況は少しずつ改善されてきてはいますが、すべての人が健康に暮らすためには、よりさまざまな方策を講じていかねばなりません。病気やケガの治療だけでなく、健康診断・予防接種・避妊などの性教育を含めた基礎的な医療保健サービスを、世界中のすべての人が平等に受けられるように取り組みを進めることが求められています。

健康と福祉は大切な人権の一つです。また、健康と福祉の普及は、経済的成長にもよい影響があります。いくつかの最貧国では、健康状態と医療制度の改善により所得が24%伸びたというデータもあります。すべての人々に十分な医療や福祉が提供されることは必要不可欠なことであり、それが実現して初めて豊かな社会が構築されると言えるのではないでしょうか。

健康を確保し福祉を促進する
ための世界中での取り組み

世界中の人々の健康を確保し福祉を促進するためには、病院などの衛生的な施設を充実させ、医療従事者の育成に力を入れること、水やトイレをはじめとする衛生状態を改善していくことが基本です。また、適正な費用で医療を受けられるよう保険制度を整えるための財源を確保すること、性別や年齢、住んでいる国や地域に関わらず、必要な時に医療にアクセスできる医療体制の整備などを行っていく必要があります。

世界でも、予防できる死を防ぐための医薬品やワクチンなどの開発費の支援をはじめとして、国単位でさまざまな取り組みが実施されています。また、開発途上国の医療を支援する寄付や募金活動も世界中で広く行われているのです。

医療と衛生状況が整い感染症に脅かされない先進国でも、環境汚染による疾病や飲酒・喫煙のリスクなど、さまざまな課題があります。生活習慣と健康についての教育、環境保護への考え方など、知識と情報を広め、人々の意識を変えていくことが必要です。

健康を確保し福祉を促進する
ための日本での取り組み

日本政府も健康と福祉に関する取り組みの一つとして、ODA(政府開発援助)を通してアジア・アフリカ諸国に母子手帳を広める活動を続けています。日本企業の間でも、開発途上地域で感染症対策として手指のアルコール消毒を広めたり、感染症検査の試薬の開発に取り組んだり、蚊が媒介するマラリアを防ぐための蚊帳(かや)を提供したりと、開発途上国への支援に取り組む動きが広がっています。

日本は世界でトップクラスの長寿国です。それは、充実した医療体制や、保険制度が整っていることが大きく関係しています。しかし、今後予想される少子高齢化社会では、病院にかかる人が増え、医療費を負担する世代が減少すると言われています。そうした場合、現在の医療保険制度を維持できるかが懸念点です。高齢化社会においても医療費が増大しないように、健康寿命(※)を延ばすことを国として推進しています。生活習慣病を防ぎ健康を増進するための機器やアプリ、栄養のバランスに配慮した食品やメニューなどが多く見られるようになりました。さらに、介護ロボットの開発や、介護・福祉関連事業への投資なども活発に行われており、さまざまな企業・団体が問題解決に向けて取り組んでいます。

※健康寿命とは、健康上の問題点がない状態で日常生活が送れる年齢のことをいいます。

社員の健康を守るための企業による取り組みも重要視されるようになっています。うつ病などを予防するためのメンタルヘルス対策として従業員へのストレスチェックを実施したり、事業を通じて健康的な生活習慣の啓発を行ったりと、その活動は多岐にわたります。

妊産婦や新生児の死亡率や主な感染症による死亡者数は減少傾向にありますが、健康と福祉に関する目標を達成するためには、さらなる取り組みが必要です。世界中のすべての人が健康で豊かな生活を送るために、私たちに何ができるのか、もう一度考えてみましょう。

参考資料

「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」13のターゲット

[引用元]総務省・仮訳(2019年8月)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000562264.pdf

  • 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
  • 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
  • 2020年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
  • 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
  • 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
  • 2030年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
  • 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。
  • 全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
  • 2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
  • 全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
  • 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特に全ての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
  • 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼(とうしょ)開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
  • 全ての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。

このターゲットでは、「健康と福祉」にまつわる目標と求められる取り組みが詳しく設定されています。

※ターゲットとは、「最終的な目標」に到達するために必要となる「より具体的な達成すべき目標・成果、必要な取り組み」のことです。

※目標3のターゲットの全文は参考資料としてこのページの末尾に引用しました。

  • 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する
  • 全ての国で新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する
  • 性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする
  • 2030年までに、エイズ・結核などの伝染病を根絶し、肝炎・水系感染症などの感染症に対処する
  • 非感染性疾患による若年死亡率を3分の1に減少させる
  • 薬物やアルコールの乱用の防止・治療を強化する
  • 2020年までに、世界の交通事故による死傷者を半減させる
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する

    ※ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)…すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられること

  • 有害化学物質や環境汚染などによる死亡・疾病の件数を大幅に減少させる
  • 性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする
  • 全ての国でたばこの規制を適宜強化する
  • 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性・非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する
  • 開発途上国を中心に、医療従事者の訓練と定着を拡大させる
  • 世界規模の健康危険因子の早期警告や管理能力を強化する

[参照元]

「目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」 (国際連合広報センター/2018年12月)

https://www.unic.or.jp/files/Goal_03.pdf

「目標3 すべての人に健康と福祉をもたらすことはなぜ大切か」(国際連合広報センター/2019年3月)

https://www.unic.or.jp/files/03_Rev1.pdf

「3.すべての人に健康と福祉を」(国際開発センター/2018年)

https://idcj.jp/sdgs/img/IDCJ_SDGs_HANDBOOK_GOAL3.pdf

中学生向けの副教材『私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~』(外務省・日本ユニセフ協会作成)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/sdgs_navi.pdf

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