目標12 つくる責任 つかう責任
今までのような大量につくり、大量につかう形の社会では、限られた資源を未来に残すことができません。 これからの社会では、資源を無駄なく有効活用してものをつくる。 つかう人も、必要な分だけ使う、大切に使い続けていく。それぞれに責任があることを自覚していくことが求められています。
使った紙がその場で
再生紙に変身!?
ペーパーラボ
の秘密を調べよう!
登場人物
はるとさん
小学校6年生
SDGsをテーマにした
自由研究に取り組んでいる
多田さん
エプソン販売株式会社
今日見学するペーパーラボ
について説明してくれる
Paper Lab(ペーパーラボ)
社会科見学!
ペーパーラボって何だろう?
今日は「エプソンスクエア丸の内」というところにやってきたよ!
わーすごい!色々な種類のプリンターがあるなー。
こんにちは!エプソン販売株式会社の多田(ただ)です。今日はよろしく。
よろしくお願いします!今日はSDGsにつながるすごい技術があるって聞いて、見学させてもらいにきました!
見学に来てくれてありがとう。今日は使い終わった紙から新しい紙を生み出す「ペーパーラボ」について紹介していくよ。
え?それって資源ごみとして古紙を回収してもらって、再生紙にしていることと同じじゃないんですか?
再生紙についてよく知っているね!その通り。みんなのお家でも資源ごみとして再生できるものを出して、リサイクルしているよね。でもこの「ペーパーラボ」は使い終わった紙を「その場で」「3分で」新しい紙にすることができるんだ。
その場で!?3分で!?ど、どういうことですか??
では、早速実物を見てみよう!
目の前で使い終わった紙が、
新しい紙に・・・!
これが「ペーパーラボ」だよ。
うわー、大きい!でも、古い紙から新しい紙を生み出す工場みたいなことをできる機械と考えたら、思っていたほどは大きくはないかも・・・。
そう。たくさんの研究を重ねて、会社や役所のオフィスに置けるような今のサイズにすることができたんだ。でも、もちろんもっと小さくできるように今も研究を続けているんだよ。
これでいったいどうやって古い紙から新しい紙を生み出すんですか!?
では実際に見てもらおうか!
ここを見てごらん。
中に印刷された紙が入ってる・・・。
そう、オフィスで使い終わった紙を、ここにセットするんだ。
そうすると・・・
あ、機械の中に吸い込まれていった!
そう。こうやって使い終わった紙を機械の中に取り込むよ。そして、このペーパーラボの中で新しい紙に生まれ変わらせて、約3分後に最初の1枚が出てくるんだ。そして、60分で720枚の紙を作れるんだよ。
※90g/m² A4サイズの場合
たったの3分で紙ができあがるの!?前に学校で牛乳パックを溶かして紙を作ったけれど、もっと時間がかかったな・・・。この機械の中ではどんなことをしているんですか?
まず、取り込んだ紙をこんな風に繊維の状態にするよ。
さっきの紙がこんな風になるんだ・・・
そして、この繊維状態になった紙をもう一度結合させるために、ペーパープラスという結合剤を混ぜ合わせるんだ。
色々な色の結合剤があるんですね。
例えば、色のついた紙を作りたい場合などに使うよ。
へー!色紙も作れるんだ!
結合させた後は、成形という形を整える工程を経て、出てくるよ。お、そろそろ最初の1枚が出てきそうだよ。
わ!出てきた!すごい!思っていたよりもずっとすべすべで普通の紙と変わらない!
最初の1枚が出るまでは約3分がかかるけれど、その後はこのような感じで次々出てくるので、1時間に約720枚の紙を作ることができるんだ。
目の前でどんどん紙がリサイクルされていってるなんて魔法みたい!
ペーパーラボの効果
ペーパーラボをオフィスで使ったらその会社が紙を使う量は減りそうですね!
その通り。実際にペーパーラボを導入した会社や役所からは新たな紙の購入量が減ったという声をもらっているよ。そして、紙をオフィスの中でリサイクルできることで、それ以外にも環境にとって良い影響があるんだ。
紙を使う量を減らす以外に良いこと?
通常の紙のリサイクルは、大量の古紙や再生した紙を車で運んでいるんだけど、今の車の多くは化石燃料を使って走っているため、二酸化炭素が出てしまっているんだ。そういった運輸を減らすことでも環境に良い影響があるんだよ。
なるほど。そういえば食べ物の勉強をしたときに、できるだけ地元の食材を食べるようにすると、運搬で出る二酸化炭素を減らせるって勉強したな。確か、地産地消(ちさんちしょう)だったかな。
ああ、確かに。地産地消の効果と似ているかもしれないね。さすが、SDGsについてよく勉強しているね。
質問タイム!
さあ、ペーパーラボの見学はここまで。最後に何か質問はあるかな?
いっぱい聞きたいことがあるけど・・・まずは・・・
このペーパーラボを開発することになったきっかけは何ですか?
今から10年ほど前に、当時の社長がプリンターから大量に出てくる紙を見て、「これをどうにかできないだろうか?」と思ったらしいんだ。そこで、研究開発チームに声をかけたのが最初のきっかけだよ。エプソンは紙に印刷するプリンターを販売している会社だからこそ、「紙をいかに有効活用して、環境への負荷を下げられるか」ということに取り組んでいくべきだという考えがあったんだ。
開発にあたって苦労した点はありますか?
一番苦労したのは水をほとんど使わないでどうやって再生紙を作るかというところだよ。再生紙は作る工程で大量の水を使うんだ。そのため、水資源に負担がかかるのはもちろん、何より大量の水を入れるための容器がある今よりも大がかりな機械が必要になってしまって、設置できる場所も限らてしまうという課題があったんだ。
※通常の紙を作るのに、木の生育段階も含めて7,610m³(注1)の水を消費します。これは25mプール(注2)で換算すると21杯分以上。一方、PaperLab A-8000が使用する水はわずか70m³(注3)、通常の製紙にくらべて1%弱の水しか消費しません。
前提:それぞれ7.7tの用紙にて算出、PaperLabによる紙の坪量は90g/m²
(注1)P.R.VAN OEL & A.Y. HOEKSTRA(2010)
(注2)25mプール:長さ25mx6レーン(レーン幅2m)x深さ1.2mの場合、360m³
(注3)東京都市大学 環境学部 伊坪研究室算出(2018)
なるほど。それで今の繊維の状態にしてから結合させる方法になったんですね。
その通り。でも最初はなかなか解決策が見つからなくて、すごく苦労したんだ。そんな時に当時の開発チームのリーダーが何気なく紙を指ではさんでグリグリとこすっていたらボロボロッって繊維状態になったのを見て、この技術のヒントをひらめいたらしいよ。
新しい技術を生み出すきっかけがそんなところに!面白い!
何がきっかけになるかは分からないけれど、「どうにかして解決したい」という気持ちを持っていたからこそ、そのボロボロになった紙からひらめくことができたんだろうね。
ペーパーラボは今、全国で何台くらい動いているんですか?
約60台が動いているよ。(2021年7月現在)
色々な会社や、市役所・県庁などの役所で使われているんだ。
ペーパーラボを導入しているオフィスの人はどんな感想を言っていますか?
もちろん紙の使用量が減って喜んでもらっているのも多いけれど、それ以上に多いのが「ペーパーラボがあることで、その職場で働いている人たちの意識が変わった」というものなんだ。
職場で目の前で紙が生まれ変わっている様子を見たり、そういう機械が職場にあるということを知ることで、自然と「紙を大切に使おう」、「無駄にしないようにしよう」という気持ちが高まるのかもしれないね。実際にある職場では、ペーパーラボを導入したことで減ると思っていた以上に、紙の使用量が減ったというデータも出ているよ。もちろんこういう技術で資源を有効活用することも大切だけど、こういう技術がきっかけになって、「資源を大切に使おう」という一人一人の意識が変わることが一番大切なことだと思うな。
なるほど。僕もこの見学で知ったことを自由研究にまとめて、みんなに知ってもらって、みんなが少しでも「資源を大切に使おう」と思ってもらえるように頑張ります!ありがとうございました!
いいね!今日は見学に来てくれてありがとう!自由研究、がんばってね!
Paper Lab(ペーパーラボ)
について自由研究にまとめよう!
社会科見学、いかがでしたか?
ここまで読んだ君はペーパーラボについてしっかり理解が深まったと思います。
ぜひ、はるとさんと一緒に学んだことを、自由研究にまとめてみましょう。
まとめよう
例)
さらに深める!
さらに研究を深めたい場合は、以下のようなステップで研究してから「わたしのアクション宣言」をしてみよう。
身の回りで調べよう!
ペーパーラボについて、よりくわしく調べよう
乾式オフィス製紙機 Paper Lab https://www.epson.jp/products/paperlab/
ペーパーラボ A-8000 オンラインデモ動画 https://www.epson.jp/products/paperlab/movie.htm
紙のアップサイクル・ストーリー https://www.youtube.com/watch?v=b2yuVzYoMN8
世界について調べよう!
エシカル消費について調べて「つかう責任」を考えよう!
<参考サイト> 消費者庁 「みんなの未来にエシカル消費」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/material/
総合監修:門川良平/「子どもと大人のSDGs学習ゲーム Get The Point」開発者
大学卒業後ベネッセコーポレーションに入社。進研ゼミ小学講座の教材開発、マーケティングに従事した後、通信制大学にて学び直し小学校教員免許を取得。都内の公立小学校にて教壇に立つ。その後、出版社にて学習事業のプロデューサーを経て独立。独自に開発した小学生から学べるSDGsゲームで、ワークショップ型の学びを展開中。
総合監修:門川良平/「子どもと大人のSDGs学習ゲーム Get The Point」開発者
大学卒業後ベネッセコーポレーションに入社。進研ゼミ小学講座の教材開発、マーケティングに従事した後、通信制大学にて学び直し小学校教員免許を取得。都内の公立小学校にて教壇に立つ。その後、出版社にて学習事業のプロデューサーを経て独立。独自に開発した小学生から学べるSDGsゲームで、ワークショップ型の学びを展開中。
SDGsの
自由研究テーマを見てみよう!
SDGsの
他のテーマも見てみよう!