目標13 気候変動に具体的な対策を

目標13 気候変動に具体的な対策を 『未来』と向き合う夏にしよう SDGs×自由研究

どんな目標?

世界の平均気温は、1880年から2012年の間に、0.85℃上がりました。 「たった0.85℃?」と思うかもしれませんが、実はこの気温の変化によって、海面が高くなったり、大雨や大きな台風が増えたり、農作物が育たなくなったり、さまざまな災害が起きています。 人間が自然とともに生きていけるぎりぎりのレベルは、1880年にくらべて2℃高い気温までと言われています。地球で生きる私たちは、気候変動について心配するだけでなく、実際に効果のある行動をしていく必要があります。

日本でも増えている大雨災害。
降水量を測定してみよう!

気候変動は、さまざまな面で人間や他の生き物に影響(えいきょう)をあたえます。
世界全体で見ると、食糧(しょくりょう)の生産などへの影響が特に心配されていますが、現在の日本でも実感しやすいのは「大雨」や「台風」の増加です。
気象庁では、1977〜2006年の30年間は1901〜1930年の30年間と比べて、100mm以上の雨が降った日が1.2倍、200mm以上の雨が降った日が1.4倍になっているとして、「長期的な大雨日数の増加に、地球温暖化が関係している可能性がある」としています。
最近でも、2018年には西日本で大雨による災害が起きて200人以上の人がなくなったり、2019年には関東に上陸したものとしては観測を始めて過去最大級の台風が発生したりと、大雨や台風による災害が多く発生しています。夏休みの間、実際に降水量を測定して、大雨の日がどれくらいあるかを調べてみましょう。

やってみよう!

用意するもの

降水量はどうやって測る?

天気予報などで「1時間に1ミリの雨」といった言い方を聞いたことはありますか?
降水”量”なのでよくかんちがいされるのですが、この「1ミリ」は「1ml(ミリリットル)」のことではなく、「1mm(ミリメートル)」のことです。
例えば、「1時間に100mmの雨」が降った場所では、雨量計には100mm(10cm)の雨がたまることになります。これは、まったく水の流れない「ため池」などがあった場合、水位が約10cm上がるとも言えます。

雨は空から色々な場所に降ってくるので、mlなどの量の単位で測ろうとすると、入れ物の大きさ(主に面積)によって量が変わり、比べるのが難しくなってしまいます。
一方、雨がたまった「高さ」で測れば、色々な場所で、ちがう入れ物で測った雨の量を比べることができるので、mmという単位で測ることになっています。
降水量などを公式に発表する気象庁でも、ふつうの入れ物とちがって水が少したまると流れる仕組みはありますが、基本的にはたまった高さで量を測る「アメダス」という雨量計を使っています。
ちなみに、100mmの雨というのはものすごい大雨で、1平方メートルあたりの水の量は100リットル(重さで言うと約100kg)になります。

雨量計は、基本的にまっすぐの筒(つつ)のような形をしていることが必要です。算数の図形で言えば、5年生で習う「柱(ちゅう)」と呼ばれるものです。円柱でも、四角柱でも、それ以外の柱でも構いません。逆に、上に行くほど細くなったり太くなったりしているような入れ物は、高さで量を測ることができないため、雨量計には向いていません。

牛乳パックで「雨量計」を作ってみよう

上で見たように、まっすぐの筒のような形のものなら何でも雨量計になるのですが、そのような形をしたものは身の回りに多くはないかもしれません。
簡単な雨量計を作るおすすめの方法は、牛乳パックを使う方法です。空になった牛乳パックが2つあれば作れるので、作ってみましょう。

  • 牛乳パックを下から15cmのところで切ります。

  • パックの上の部分から、幅2cm、長さ15cmで切り出します。切り出したものに定規を使って油性のボールペンでメモリを入れましょう。

  • つくったメモリを牛乳パックの下の分に差し入れます。

  • 内側の角に合わせてはり付けましょう。

牛乳パック雨量計ができたら、置く場所を決めます。屋根や木など、降ってきた雨が雨量計に入るのをさえぎってしまうものがある場所では、正確に測ることはできません。また、雨量計がたおれてしまっても測定ができないので、地面が平らな場所に置き、石やひもなどを使って、少し風がふいてもたおれないように固定しておきましょう。

マンションなどに住んでいる場合、屋根のない場所がなかなか見つからず、置き場所に困るかもしれません。残念ですが、そのような時は無理しておうちに雨量計を置かず、別の実験をすることも考えてみましょう。
水がたまって重くなった牛乳パックが高いところから落下すると、人や物にぶつかるかもしれませんし、とても危険です。階下のおうちや道に落ちるかもしれない場所には、絶対に置かないでください。

夏休みの間に、大雨の日は何回ある?

ちょうど良い場所に雨量計を置けたら、いよいよ測定開始です。
夏は大雨が降りやすい季節ですが、晴れの日が1週間続くようなこともよくあるので、あるていどの長さの期間、毎日続けて雨の量を測ることが大切です。
おすすめの方法は、自分にとって無理のない時間を決めて、その時間に必ず雨量計の様子をチェックすることです。例えば、毎朝7時に起きている人なら、起きてすぐに雨量計に水がたまっていないかを確認し、水がたまっていた場合はそれが何mmかをワークシートに記録した後に、水を捨てて雨量計を空にします。こうすれば、午前7時から次の日の午前7時までの24時間ごとに、定期的に降水量を測っていることになり、十分しっかりした測定と言えます。

一方で、同じ「1日に100mmの雨」でも、1時間に100mm降るのと、10時間に10mmずつ降るのとでは、私たちの感じ方はまったくちがいます。大雨の日は外出しないという人も多いと思いますし、そうした日は雨の量を1時間ごとに測定してみると良いでしょう。

ちなみに、天気予報などでは、降水量が1時間に何mmかによって、雨の強さを表す言葉が決まっています。

  • 10mm以上20mm未満:やや強い雨
  • 20mm以上30mm未満:強い雨
  • 30mm以上50mm未満:激しい雨
  • 50mm以上80mm未満:非常に激しい雨
  • 80mm以上:猛烈(もうれつ)な雨

気象庁では、雨の強さによって私たちが受けるイメージについても説明しています。例えば30mm以上50mm未満の「激しい雨」の時、私たちは「バケツをひっくり返したように降る」と感じるそうです。
こうした雨の強さについての言葉を覚えて、大雨の量を1時間ごとに測れた日は、そのこともワークシートのメモの部分に書きこむと、測定がより面白くなると思います。

まとめよう!

わたしのアクション(やること)を宣言しよう!

やってみよう!を通して感じたことと、SDGs の目標「13:気候変動に具体的な対策を」を踏まえて、自分ができることを宣言しましょう。

例) ・夏休みの最初に雨量計をつくり、ほぼ1ヶ月間続けて雨の量を調べることができました。実際に50mm以上の雨が降った日も3回ありました。最近は日本でも大雨の日が増えたり、大きな台風が増えたりしていることを知り、今後も気候変動によってどんな変化が起きるのかが心配になりました。気候変動を食い止めるために、私も自分にできることから始めようと思うので、次は何をすれば気候変動を止められるのかをしっかり調べようと思います。

まとめよう

例)

さらに深める!

さらに研究を深めたい場合は、以下のようなステップで研究してから「わたしのアクション宣言」をしてみよう。

身の回りで調べよう!

インターネットや図書館で、大雨による災害について調べよう!

<参考サイト> 気象庁 台風について https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/index.html 首相官邸 大雨・台風ではどのような災害が起こるのか https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/taifu_ooame.html

世界について調べよう!

インターネットや図書館で、気候変動の世界への影響について調べよう!

<参考サイト> 環境省 こども環境白書 https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/kodomo.html

環境省 COOL CHOICE 地球温暖化の現状 https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/ondanka/

参考になる本

あなたが世界を変える日
(12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチ)

著者:セヴァン カリス=スズキ 出版社:学陽書房

流氷の伝言—アザラシの赤ちゃんが教える地球温暖化のシグナル

著者:小原 玲 出版社:教育出版

【DVD付】異常気象 天気のしくみ (学研の図鑑LIVEeco) 3歳~小学生向け 図鑑

監修 :武田康男 出版社:武田康男

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